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第6回小説家になろうラジオ大賞byごはん

「あ〜、寝言の人」とよく言われるVRゲーム配信者のスカーレットと申します。以後お見知り置きを。



 VR-MMORPG「迷宮メイキュウ」シリーズ。

 剣と魔法に、精霊を題材にした世界観が人気を呼び、ゲーム人口は勿論もちろん。ゲーム実況配信者も多く活躍かつやくするサーバーである。


 楽曲関係には詳しいが、最近のVRゲームはあまりと言う社長に、私は簡潔かんけつに説明した。


 リアル配信者や、固定アバターを駆使くしするバーチャル配信者にまじり、ゲーム内アバターのみで生動画なまどうが配信するスタイルが確立しつつある近年。


 我々VR配信者は共通の悩みを抱えていた。



「寝言……か。あ〜、寝言の人かきみは! トレンド1位おめでとう」


「ぅぐっアリガトウゴザイマス」


「社長。彼女にこれ以上のダメージを与えないで下さい。代わって僕が説明に入りますので、お手元の資料48ページ目をご覧下さい」


「す、すまん。それにしても凄い数の資料だな」


「それだけゲーム部門の方では深刻な問題なんです」


「うむ……」



 社長の顔つきが変わった。


 私も先輩の用意してくれた資料を確認する。

 そこには、ある有名配信者の「迷宮メイキュウ」シリーズ内で起きた事例がっていた。


 VRゲーム中に寝落ちし、「苺タルトが食べたいにゃー」と配信用マイクに寝言が乗ってしまったと書かれていた。



「これはまずいな。彼、普段から勇者設定の硬派こうはなイメージで歌も売りにしてるだろう?」


「ファンから解釈不一致かいしゃくふいっちくさがボーボー生えています」



 他にも、人外設定の小魚配信者が体重を暴露ばくろして、問題になったり。

 リスナーやお母さんに日頃の感謝をべる、クソガキムーブをしている配信者の心が折られたり。


 VR配信者は固定アバターがないかわりに、ゲームキャラになりきり、リアルタイムでのロールプレイを大事にする人が多い。

 むしろ、そこで他の配信者やゲームプレイヤーと差別化をはかり、動画視聴者数を伸ばしてると言っても過言ではない。


 そのため、無意識にさらけ出される寝言問題が深刻な影響を与えていた。



「あー……なるほど、なぁ」


「くっ!」



 社長から生温かい目を向けられ、先輩にポンポンと肩を叩かれ、なぐさめられる私。


 ちなみに、私がやらかした事例は内容自体は大した事ない。


 VR-MMORPG「迷宮メイキュウ」シリーズの最新作。

 ボンキュッボンのナイスバディ。普段は高圧的なSっ気強い敬語キャラの魔王様が、寝言だとネイティブでこってこての関西弁をしゃべったとして、現在、動画視聴者を爆笑と混乱のうずに叩き落としている。


 VR配信者プロとして、── 魔王スカーレット・キャンベルとしても、一生の不覚でしてよ。

 


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― 新着の感想 ―
2次惨事www  コレは笑える事例でつが、ワロエナイ事例もあるよーで  (^_^;)
「そうでっか〜。続きは地獄で聞くわ。ほな、サイナラ!」 想像すると笑えますwww 楽しいお話ありがとうございます。
寝言の人,1人や2人の話ではなかったのですね…そりゃ資料の数も増えるというもの… でもほのぼの系の寝言が多いようで^^
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