まさかの脅す
すみません。第8話とこの話が逆になってしまいました。
第8話の方からお読みください
「…」
怪訝そうな顔でこちらを見てくるラインハルト公爵。
やらかした。
いくら焦ってたとはいえ、これはない。
ラインハルト公爵のルックスの良さは社交界でも当然のごとく認知されていることだ。
しかも夜に開催されるパーティーにしか参加しないことから、「夜の貴公子」と呼ばれている。
彼と一言喋りたいとたくさんの人々が集まってくるのだが、 彼は誰に対しても冷たくあしらっていた。
それでも彼に一目惚れする人は絶えなかった。
彼に一目惚れし、激しくアピールする女性達をあしらうことに嫌気がさしていた、というのがプロフィールに書いてあった気がする。
(つまり一番やっちゃいけないことをしたということだよね?!)
何か弁解を…!
と口を開いて出ないことに気づく。
(またか…ということは)
予想した通りの音が聞こえる。
ウィーン
1、好きです
2、結婚してもらわなきゃ死にます
3、弱みを言う
(は?)
前回の選択肢でもここまでではなかった。
どう転んだって彼に好印象を抱いてもらうことはないのだ。
1と2は言った瞬間、周りの女性と同じだと思われるだけだし、3なんかもはや脅している。
「そういうことならお受けできません。お帰りください」
ピーピー
警告音を聞こえる。
5秒前です、4秒前…
あーヤバい、ヤバすぎる。
(こうなったらどうにでもなれ!)
急いで選択肢を押す。
ちょうど彼は執事に私を追い出すよう伝えているところだった。
また同じように勝手に口が動き出す。
「いいんですか?あなたの呪い」
私が選んだのは3だった。
我ながら最悪だとは思うのが、自分の命がかかってる。
ラインハルト公爵はある呪いにかかっている。
愛する人と一緒にいないと日光の光を浴びれないのだ。
彼が夜のパーティーにしか出席しないのはそれが原因
だ。
皇室でさえ知らない彼の秘密。
私が知っているのは乙女ゲームで培った知識のおかげだろう。
まぁ今回の交渉にそれを使うつもりはなかったのだけど。
彼は案の定目を見張って固まっている。
かすれた声を出して
「退出しろ」
と執事に命令するのが精一杯のようだ。
「か、畏まりました」
(本当にごめんなさい)
土下座をしようとしたものの、体はピクリとも動かない。
「どこでそれを知った?」
「それをあなたに言う必要がある?」
相変わらず勝手に動き始める口は辛口である。
「くっ…何が目的だ?」
「だから言ったじゃない。結婚してって。こちらの出す条件を全てのんでもらうわよ?」
「…」
とても辛そうな顔をする彼に罪悪感をがどんどん増してくる。
(本当にごめんなさい…)
「分かった…」
「ふふ素直で良かったわ。それでは契約書を作りましょう。」