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掌ですくいあげた物語14 ~迷える表示板~

作者: タンザン

神戸の町を車で走った

神戸は日本有数の港湾都市で 国際貿易港だ 

片側三車線の広い道路

コンテナ専用トラックが 列をなして走っている


その道路の傍らに 鉄製の表示板が立っていた

縦書きの青色文字で《フェリー左折》と書かれている 


・・・?

《フェリー》って 船のフェリーのことだよな

まさかこの広い道路を フェリーが走るのか?

思わず 前方を走る車列やバックミラーの中を探した

フェリーは走っていない


以前にテレビで 新型の新幹線の車体を 特大のトラックで 

深夜に幹線道路を使って 運んでいるのをみたことがある


フェリーも同じように トラックで運ぶことがあるのか?

神戸だから 近くに船の工場でもあるのかも

それにしても表示板が必要になるほど 頻繁に運ばれているのか?


確かめよう

表示板の指示する方向に ハンドルを切った

ぼくのうしろを走っていたトラックもついてくる


   *    *    *


港湾が一層近くになった

たくさんのトラックが 秩序正しく整列している

その奥にフェリー乗り場があった


なんだ・・・《フェリー左折》って

「フェリー乗り場へ行くには ここを左折」ってことなんだ

まあ そりゃあ そうだよな・・・苦笑がもれた

車でフェリーに乗る人や出迎えに来る人にとって親切な表示板だ


もしぼくが トラックで新幹線の車体を運ぶのを 

テレビで見ていなかったら 

表示板をへんてこに解釈することもなかっただろう


時としてぼくの思考回路は 関係のない情報を 勝手に組み入れて 

あるがままの解釈を 歪めてしまったりする


こうして今回も 無駄なエネルギーを使うこととなった

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