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家族旅行に合流した伯父はクールなイケオジ

美織から避けられ、僕も美織を避ける。そんな状態になったまま年を越し、短い3学期も終わって春休みとなる。更に4月になって僕も六年生だ。


美織とは五年生から相変わらず同じクラス。だけどクラスではお互いが避けあっているし、プライベートでも生活リズムを微妙にずらしているからもう殆ど僕は美織には接する事が無くなっていた。


そうして僕は六年生になって美織とは疎遠となった分、友之や貴文なんかの男友達と連んでいる。そして再び夏休みになると僕のウチ青木家は伊豆半島は伊東へ2泊3日の家族旅行に出掛ける事となった。


一昨年迄は夏の旅行といえば美織の有坂家と一緒の合同家族旅行だった。2家族7人でワイワイと賑やかに小田急線のロマンスカーで行く箱根家族旅行は楽しいもので、旅行の前日なんかは僕も妹の真樹も美織も興奮して眠れなかったな。


去年は美織が進学塾の夏期講習に参加したためそうした旅行も無くなっている。だから去年は有坂家と一緒に旅行に行くと思っていた真樹は残念がって怒ったり不貞腐れたりして宥めるのがめんどく、いや大変だった。


今年は父さんが運転する自家用車(スバルのフォレスター)で伊東へと向かう。まず1日目はバナナワニ園からの大室山にリフトで登り鉢巡りコース。そして伊東マリンパークで昼食とショッピングを楽しんでから宿泊するホテルにチェックイン。


この旅行で泊まるのはハトで有名な大きなホテルで、昔はテレビCMもあったとか。オーシャンビューのフロントは広くって、父さんはフロントにある大きなマグロのぬいぐるみを抱えた僕と真樹の写真を撮る。なんでも、これはこのホテルに泊まる際のお約束なんだとか。


慣れというものは恐ろしいもので、この頃の僕はもうすっかり美織に避けられている事なんてどうでもよくなっていた。


最初の頃は僕も意地になって美織を避けていた。僕が美織に何かした訳じゃない。何か理由があるなら言えばいいのに、その理由も言わず僕を避けて口も聞かず、たまに憎々しげに睨まれる。そんな幼馴染はこちらから願い下げ、中学受験でも何でもしたらいい、ってな感じでさ。


だけどそんな生活が1年以上も続けばそれが当たり前のようになっている。当初抱いていた美織への腹立たしさも意地もすっかり薄れ、所詮は男女の幼馴染なんてこんなものかと思うし、僕の人間関係も美織を省いてすっかり再構築されているからね。


だからこの旅行でも初めて来た伊豆の自然や温泉、アミューズメント性の高いホテルや施設といった非日常の世界の中で僕は美織の事は全く思い出さないでいる。


そしてその日の夜になると、我が青木家の旅行に一人のゲストが加わった。誰あろう母さんの兄、茂庭是親伯父が合流したのだ。


是親伯父さんは母さんの二歳上で40歳、だったかな。僕の母さんは、僕が言うのも何だけど大和撫子風の美人。なので是親伯父さんも男の僕から見てもクールでワイルドなイケメンだ。


因みに僕は母さん似なので是親伯父さんにも顔が似ていると良く言われる。妹の真樹は父さん似だ。母方が切長の目が涼しい和風な顔立ちなのに対して父方はハッキリした顔立ちだから、父さん似の真樹は兄の僕から見ても瞳の大きな美少女だ。


実は僕達兄妹は以前に何度か親戚に頼まれてモデルみたいな事をしていたんだ。僕はもうやってはいないけど、真樹は今でも時々頼まれている。更にその親戚経由でスカウトも来ているらしい。真樹は断っているようだけど。


え?僕達の兄妹仲はどうかって?一緒に出かけたりゲームしたりするから良いと思うけどな。


だけど、この旅行に是親伯父さんが加わるなんて父さんからも母さんからも聞いてない。是親伯父はカッコいいし、優しくって面白いし大歓迎なんだけどさ。でも何かありそうな気がするよ。

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