14 決戦へ
足音が廊下の先から近づいてくる。走っている。すぐに出くわすことになるだろう。
悲鳴や鳴き声から、ミミは自分のクラスの子たちだと疑わなかった。
「ミミ」
「うん」
ぬいぐるみのウィプスがちょこんと伸ばした手を、ミミが掴む。
「ドレスコード・スピリット!」
ミミが力ある言葉を叫ぶと、ぬいぐるみだったウィスプが炎の鎧と剣となってミミを覆う。
「ウーマン・イン・ルージュ! 大空駆ける炎の翼! ヒートスピリアル!」
炎の騎士ヒートスピリアルへと変身したミミは、教室前の廊下で仁王立ちした。
足音がひときわ大きくなり、止まる。
「こっちにもいるぞ!」
「バケモノだ!」
「違うよ!」
クラスメイトが廊下の先で足を止めた。遠くから炎の翼を背負ったミミを見て、モンスターだと叫んだのだ。
「ミミ、あの子らは動揺しているんだ」
モンスター呼ばわりされたことに抗議するミミに、セルキーが冷静に宥める。
「僕にまかせて。落ち着かせるよ」
プーカが飛び出した。
「あれはなんだ?」
「ぬいぐるみだ!」
「ギャー!」
「……なんで?」
廊下の真ん中でおどけて踊り出したプーカを見て、全員がパニックに陥ったのだ。
「ミミ、プーカを連れてモンスターを倒しにいこう。これ以上ここに居れば、騒ぎが大きくなるばかりだ」
「う、うん……」
炎の妖精騎士は力なく頷くと、指示した本人のセルキーとプーカを抱きかかえた。
「ミミ、燃える!」
「燃えるはずがないだろう」
悲鳴をあげたプーカを、セルキーが諭す。二人とも、ミミの腕の中である。
「僕、ぬいぐるみなんだよ!」
「俺もだ」
「じゃあ、燃えるじゃない!」
「格好はな。実体は妖精だ。土の妖精のプーカが、燃えるもんか」
「あっ、そうか……」
二人の話し合いはともかく、ミミは教室に戻った。教室には誰もいないからである。
「ミミ、モンスターの場所はわかるな?」
「うん。音楽室だよね」
「モンスターを倒すぞー」
プーカが元気に拳を振り上げた。
ミミは教室に入るなり、床を蹴って体を浮かせた。
背中の炎の翼で滑空し、よく掃除され、戸締り万全の窓ガラスに激突した。




