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Educator  作者: 槇 慎一


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7/30

7 シンイチが、学校でどんなかって?


「タケル、いい?」

「うん」

 お母さんが僕の部屋に入ってきてドアを閉めたた。


「どうしたの?」

「今ね、美桜のピアノの先生から電話が来て。すごく頑張っていて嬉しいって」

「よかったじゃん」

 それを何で僕に言うんだ?


「それで、何かあったんですか?って聞かれたから、タケルのお友達に教えてもらったって言ったのよ」

「今までが今までだから、そりゃおかしいと思うだろうね」

「そうしたらね、教えてもらうのはいいんだけど、あのシンイチくんて、天才なんですって?あ、先生はそう仰らなかったけど、とにかくすごい子だし、性格もいいから、教えてくれるでしょうけれど、御礼をしてくださいねって」

「ふーん、じゃお礼したら?」

 

 お母さんは、小さい声になった。

「まあ、タケルにこんなこというのはアレだけど、音大の先生って、一回のレッスンで何万もするらしいのよ」

「はあ……」

 何の話だ?


「シンイチくんのお母様はそういう先生で、その教えを直々に受けているから、シンイチくんも既にそれだけの力があるし、いずれそういう先生になるから、そういう御礼をしてって……」

「ふーん、すごいなとは思ってたけど、そんなにすごかったんだ」

 僕に言われてもな……。


「正直、美桜は趣味だし、続くかわからないし、若い音大生なら安いかなって思ったからあの先生にしたんだけど……。ねぇ、シンイチくんて学校ではどんな子なの?」

「シンイチ?すごくいい奴。性格もいいし真面目だし、班のリーダーをいつもやらされてる。誰かに注意する時も、言われた方がちゃんとしなきゃって思わせるような、自然な……とにかくいい奴。運動もできるし、成績も上の方。10番から20番位にいつもいて……たまに僕が負ける時もある。クラブは僕と同じ読書クラブで、いつも何か調べてノートに書き写してる」

「タケルと同じくらいできるなんて、すごいのね。この前来た時も礼儀正しくて感じがよかったし……ありがとう。あ、美桜には言わないでね。頑張るなら応援したいから。シンイチくんがよければまた連れてきて」

「わかった」


 本当はわからなかった。

 呼んでいいのか、いけないのか。もちろん、呼んでみてもシンイチが来るかどうかはわからない。

 学校から反対方向だし、シンイチの家からここまで、二時間弱か?


 この前は学校が早く終わって、翌日が休みだったから誘えたんだ。来てくれただけでも本当にラッキーだった。


 また、電話してみよう。


 僕は終わらせた夏休みのドリルを閉じて、夕食に降りていった。













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