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Educator  作者: 槇 慎一


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21/30

21 もう、君に合わせる顔がない……


 勝手に高田先生に話してしまった。





 しかし、まだ話していないことは山ほどある。


 妹の美桜が音楽大学を考えていること。


 だから、私立中学を受験することにしたこと。


 偏差値の低い学校には行きたくないこと。


 音楽の高校や中学を考えていること。


 それから、美桜が慎一を好きなこと。


 慎一には小さな恋人がいること。


 美桜は自分の想いが彼に届かないこと。


 しばらくふさぎこんでいたこと。


 静かに荒れていたこと。


 お父さんが新しいピアノの先生を見つけてきたこと。


 偉い先生だとかで、もう引っ込みがつかないこと。


 お父さんが言うには、私立の先生は高いだろうからと、会社の知り合いの知り合いの先生である、国立大学の偉い先生に頼んだこと。


 レッスンに行ったら、自分は人気があるから、自分に習っていることを他人に口外しないよう言われたこと。加藤さんでもう枠が一杯だから、他の生徒をとれないからねと。願書などに◯◯先生に師事など、本来は書く必要がないため、自分の名前を書かないようにと言われたこと。


 僕は、それ絶対ちがうだろ!と言いたかった。


 言われたレッスン代は非常に高額で、お母さんはびっくりしていた。


「私立の先生の方が高いだろう!もう断れん!タケルの友達に教わっている場合じゃない!タケルもその子に、もう頼むんじゃないぞ!話もするな!」

お父さんがこんな感じだ。


 美桜の進度が遅いので、偉い先生から下見の先生を紹介され、週に何度もそのレッスンに通い、その上で国立大学の先生のレッスンにも通っていること。


 当然、下見の先生のレッスン代もある。偉い先生よりは少し安いとはいえ、回数が回数だ。それもお母さんを不安にさせ、悩ませていること。


 それに、ピアノ以外にソルフェージュや視唱や聴音とかの科目はまだ手をつけていないので、そちらの先生も紹介されるとのこと。



そして、もうすぐ高田先生にお別れをすることになるであろうこと。







 僕は、本当はシンイチに何もかも話したかった。

 何よりまた、シンイチと仲良くしたかった。



 中学は、クラスが増えた。二人ともクラス委員長をやるタイプだ。シンイチとは別のクラスになった。


 僕は1組、シンイチは9組だ。

 家も遠い。


 シンイチは部活動には入っていないらしい。


 もう、接点がなかった。

 合わせる顔もなかった。














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