001『職業適性“√開拓師”』
『治癒師』『兵士』『軍師』『発明家』『商人』etc……
魔法と科学技術によって築かれたこの世界では義務教育の終了に伴って職業適性が送られる。
この適性基準は才能よりも15年間の人生で成し得たことが大きく反響されるため、多くの人間は10歳ごろから自らの進路を考え下積みに出たり、自分のしたいことを職にするために勉強を始める。
職業適性がなくとも夢を叶えるため努力さえすれば適性外の職に就くことも可能だが、多くの職場は適性のある者〈即戦力〉を求めることが多く並の努力では適性という壁を超えられないのが常識だ。
そして、今日は「ガーディア学院」の卒業式。僕の職業適性の選択肢が判明する日だ。
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「起立・気をつけ・礼」
委員長の長谷川さんが号令をかけ最後のHRが始まった。この礼をした後のガタガタっと音のする椅子を引き、座るという動作も最後だと意識するといつもとは違った印象を受ける。
「はい、10年間の習業ご苦労様でした。人生の一段落が終わった気になっているやつもいるようだけどな。まだまだ君たちはこれから苦労をする。職業適正公表という制度が誕生してから50年近くが経ったが、ここ数年職業適正公表がゴールだと勘違いするやつが増加傾向にある。厳しいのはこれからだからな。ほどほどに力を抜いて、向上心を忘れることなく世界へと羽ばたいて欲しいと先生は思っています。」
教師の職業適正が98という担任の杉村先生。彼は職業適正が判明して以降も教職に対しての熱意が留まることを知らない教育者の鏡のような先生で、全国から多くの教育者が指導風景の見学に来る凄い人だ。
ふと、周りを見渡すと女子の大半やヤンチャだった男子達は涙を流し。その他のクラスメイトはこれからへの期待と不安を隠せないといった表情をしている。
「先生、本当に今まで数々のご指導ありがとうございました。」
クラスを代表して委員長が声を上げると次々に「ありがとうございました」と声が上がる。
「君達と過ごした10年間を私は忘れないだろう。何か迷いが生じた時はここで学んだことを思い出しなさい。過去に縋ることは良くないことだが、過去を振り返り自分の原点を確認することは大切だ。もし、何か誰にも言えない相談があればいつでも帰ってくればいい。ずっと君たちが教え子であったことは変わらない。教育者として君達の悩みを解決できるよう尽力するからな」
締めくくりに僕らへ檄を飛ばした先生は一度深呼吸をし息を整えると言った。
「それじゃあな、皆へ職業適正表を渡して修了とする。何か質問などがあれば面談の場を設けるつもりだ。自分の端末から学校宛に質問内容などをまとめ送信するように。それでは解散」
先生が最後の挨拶を口にしたのと同時に自分の通信端末が震える。
クラス全員が恐る恐るスクリーンタップし自分の適性を確認する。
因みに、僕の夢はダンジョン攻略で荒稼ぎして、それを資金に自分の食堂を経営してほのぼのするという人生設計図があり、体が言うことを聞く内はダンジョン攻略家と実家の旅館で料理人をする二刀流を目指す。
さぁ、僕の適性は……
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ガーディア学院
宛先 michi_kakeru73@goetiaschool.com
職業適性
第一 √開拓師(100)
第二 魔剣師(90)
第三 料理人(86)
推薦
???
ダンジョン攻略ギルド
旅館 みち (板前見習い)
ホテル オーヴェル(料理人見習い)
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とりあえず、目標にしていた適性はあった。それは良かったことだ。おめでとう僕、よくやった。
……面談希望しよ