表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

大願/呪詛 10

「こんな方法で呪いをかけてやろうとしても、所詮殆どの場合はオカルト止まりで呪いなど一切発揮されないものです。ですが、例え呪いなどかかっていなくても、こうしてヒトに見立てた物を痛めつけてやれば、それを見てしまった人間に精神面で多かれ少なかれダメージを与えることができます。それが特定の誰かを指し示しているものならば、猶更です。どうですか? 穴があけられた辺りが痛む気がしませんか?」


「知らないわよ」


 不調の真の箇所を探るために、いくらか鎌をかけたつもりだったが失敗だったようだ。

「おそらく夢の原因はこの人形だけではありません。次は神社です。辿り着かなければ困りごとは解決しないかと思いますが、歩けますか?」


「……行けますよ」


「箱は僕が持ちます。その様子だともはや持って歩けないでしょうから。いいですね?」

 紅色は箱を背負い、二人は神社に向かった。



 石碑の場所から、さらに十分程。夜は更け、街の灯りが益々届かなくなる。二人は住宅が立ち並ぶ土地の一角に鳥居、奥に十数段の急な石段と小さな社が建てられた神社に辿り着いた。


 入口には鍵がかかる柵が設置されていたが、夜間にも関わらず開いていた。首領が手配して開けさせたのだろう。その前で一旦足を止める。


(――いるな)


 ヒトが潜むのを察するのは紅色には難しい。だが、そうではない何者かであれば、今までの経験と『箱』の中身が持つ性質から、存在に気づくことはできる。


 紅色は箱を静かに下ろし、箱を控えめに開け、それを包んだ布を剥いだ。静寂の中に姿を現したそれは――太刀だった。


「刀? ちょっと、そんなもの出したらヤバいでしょ?」


 関内が動揺した様子を見せるが、紅色は意に介さずに太刀の緒を手早く腰に結わえ付ける。


「むしろ出さない方が色々と危険です。これからは絶対に離れないようにお願いします」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ