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まおう、でびゅーする3

本日2話目です

タイトルを『私、魔王です。魔王ですってば!』から『わたくし、魔王です。魔王ですってば!』に変更しました。

 

「なんでクジを引くだけなのにお前は涙目なんだ……」


 名前を呼ばれて今回のクジ担当である暗黒騎士のブラック先生の元まで行くとわたくしの顔を見たブラック先生はあからさまに兜越しでもわかるくらいにため息を吐き出されました。


「歴代最強の暗黒騎士と呼ばれてた先生には分かりませんわ……わたくしの今の気持ちなんて」


 なにせわたくしは歴代最弱と名高い新米魔王なわけですし?

 選んだ異世界が下手なものなら死ぬわですし?


「安心しろ。いくらお前が歴代最弱と言われていようと魔王は魔王だ。そこらの一般人に殺されるようなことはないだろう」

「そこそこ強い騎士なら?」

「……」


 ねえ、なんでそこで黙るんですの?

 わたくし、そこそこ強い騎士にもやられるくらいに弱いんですの⁉︎


「まあ、お前の神聖魔法なら魔王だとは思われないだろ」

「エリザベスちゃんと同じこと言いますわね」


 攻撃力がないと言われてるようなものですわ。

 仮にも魔王なのに……そう、仮にも……フフフ、自虐すぎて笑いが溢れてしまいますわ。


「魔王だからといって初めから戦わなければいけないわけじゃない。ある程度の戦力が揃ってから戦うのもありだ」

「それはそうですけど……」

「とりわけお前は神聖魔法を人前で使えば魔王だとまず疑われない。その利点を利用すればいいだろ」

「なるほど」


 確かに魔王が神聖魔法で人を回復させたりするなんて誰も思わないわけですし。

 つまり、上手くいけば人間を操る事が出来るかもしれないですわ!


「何事も考え方次第だ」

「わかりました! 先生!」


 ブラック先生、なんていい先生なんですの。

 体術の授業でわたくしを虐めて楽しんでるのかと思ったけど違ったのね。


「じゃ、さっさとクジを引け。お前で最後だから。俺は早くサキュバスのバーに行きたい」


 そう告げるとブラック先生は手にしていたクジの入った箱を目の前に持ってくる。

 いい先生だと思ったら自分のためじゃないですの⁉︎ わたくしの感謝の気持ちを返して欲しいですわ!

 でもクジを引かないといつまで経っても何も変わらないのも事実ですし……


 わたくしがドキドキしながらクジの箱へと手を入れる。

 ああ、どれを選んだらいいんだろう。

 エリザベスちゃんやブラック先生にああ言われたもののやっぱり怖いですわ! だって死活問題ですし!

 ええい、女は度胸と誰かが言ってましたわ!


「これですわ!」


 やけくそ気味になりながら手に触れたクジを力一杯引き抜きます。

 そして手に収まったクジを開こうとしたその時、脳内にここ数年慣れ親しんだマオ学のチャイムの音が鳴り響きました。


『現在を持って最後の卒業生のクジが引き終えた。これをもってここにいる者をマオ学を卒業したものとみなし、新米ながら魔王を名乗る資格を得たのじゃ』


 チャイムの音の続いて響いてきたのは男性とも女性とも取れる声はマオ学の校長である大魔王カハネウス様の声です。


『皆がこの声を聞いている頃には我はそこにはいないだろう。ちょっとその時間は気になる連続テレビドラマがあるのでその卒業式には不参加じゃ』


 どこまでも自分本意な大魔王様ですわね!


『なお、この音声を聴き終えた五秒後に諸君らは強制的にクジで引いた異世界へと転移される。敵は待ってはくれないぞ? このいきなりの転移は我からの最後の試練みたいなものじゃ。別にこの後に打ち上げでサキュバスのバーに早く行きたいから急いでおるわけじゃないぞ?』


 めちゃくちゃ本音が出でますわ!


『一年後にまた生き残っていたらこのマオ学こと大魔王パレスに一度生きている全員を呼ぶのでな。グッドラック! カウントを開始する。5、4……』

「ちょ⁉︎ 待ってくださいまし! まだわたくしどこに行くかまだ見てないですわ!」


 いきなりの転移発言にわたくしは慌ててクジを開こうとするけどなんですのこのクジ⁉︎ めちゃくちゃしっかりのり付けされてるんですけどぉ⁉︎


『3、2……』


「あわわわわわ!」


 頑張ってクジを触ってるんだけど開きませんわ!

 というかクジから光が溢れてきてるんですけど⁉︎


『1、0! よい魔王人生を送りたまえ』


 その言葉を最後にわたくしの視界はクジから発せられる光によって遮られ、同時に意識も失ったのでした

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― 新着の感想 ―
[一言] 全然魔王っぽくないw これは最初確定ですわ! どんな勇者が相手が楽しみですわね!
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