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まおう、かいてんする



 ゆっくりと目を開くと、そこには最近泊まっている宿屋の天井が目に入りました。ということはわたくしがいまいるのはベッドの上でしょうか?

 あら? わたくしは確か、エリザベスちゃんから連絡がきて魔王の書のガチャのページを開いて……

 そこまでぼんやりと考えてようやくわたくしの頭が動き始めました。


「わたくしのガチャはどうなりましたっていたぁぁぁ⁉︎」


 慌ててベッドから飛び起きた瞬間、わたくしの頭が何かにぶつかり表現出来ないほどの激痛がはしります。


「な、なんですのって……⁉︎」


 わたくしが頭を押さえて何にぶつかったのかと確認するべくベッドの横へと目をやるとベッドの陰に誰かが倒れているのか手足が覗いていました。


「だ、大丈夫ですの?」


 ベッドから降りて倒れている人物を抱え上げます。

 抱え上げた人物はというと人形のような整った容姿をしていました。

 長い金の髪を青いリボンで結ばれたポニーテール。頭の上にはピコピコと動く犬耳。

 着ている衣服はなぜかマオ学の水泳の授業でわたしくしも着た事があるスクール水着とかいうやつみたいですわ。しかも胸がはち切れそうですし! 胸の部分には「フブキ」って辿々しい文字で名前らしきものが書かれています。腰の部分にはフリルエプロンが!

 身長も小柄で長い睫毛に健康そうな小麦色の肌、そして絶対に処女であろう幼女!

 そんなわたくしの吸血鬼として性癖ドストライクの女性がわたくしの手の中にぃぃぃぃぃぃ!


 ハァハァハァハァハァハァ。


 はっ⁉︎ 無意識に八重歯が伸びて血を吸おうとしてしてしまいましたわ。


 それにしてもこの女性というか幼女は何者なんでしょうか?


「う……」

「だ、大丈夫ですの?」


 呻き声を上げながらわたくしが抱えていた幼女がゆっくりと眼を開け、その綺麗な緑色の瞳がわたくしを捉えました。そしてその瞳を大きく見開きます。


「お、おはようございますご主人様?」


 ご主人様呼びきましたわぁぁぁぁぁぁぁ!

 思わずわたくしはおそらくはフブキという名前であろう幼女から顔を背けます。

 いえ、だってあまりにも尊すぎて鼻から血が。手で押さえても溢れてきますわ。あ、目眩が……


「ご主人様! 大丈夫⁉︎ です!」


 わたくしがふらついたのに焦ったのかフブキがわたくしの腕を掴んできました。


「ふぁ、ふぁいじょふですわ」


 逆にあまりにも近付かれ過ぎると鼻血がまた噴出しそうですので少し離れていただけるとって胸ぇぇぇぇ! わたくしの腕に幸せな感触がぁぁぁぁ!


「ご、ご主人様⁉︎」


 わたくしは勢いよく噴射された鼻血により空中で凄まじく回転してベッドへと落下。出血多量のせいか再び視界が暗転したのでした。

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