表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/26

まおう、ひく



「スタートアップガチャ……」


 ガチャってあれですわよね? とある異世界の若者に流行ってるやつですわよね?

 魔王の書にもそんな機能が実装されてるんですのね。

 と、とりあえずこのガチャならわたくしの少ない魔王ポイントでも引けそうですわ!

 でもこの魔王ポイント、何をして入ったのかしら? あ、初めに倒した勇者かしら? でもそう考えると勇者、ポイントとして考えるとしょぼいですわねぇ。無いよりましですけど。

 あと、魔力を追加で込めれば希少な種族が出るかもしれないってなんですのコレ! わたくしのためにあるようなガチャじゃないかしら!


 コレはわたくしの全魔力を込めるしかありません!


 普通の魔王ならば魔力を空の状態で過ごすなんて事はしないんでしょうがわたくしはします! 魔力使い切りますわ!

 他の魔王がどのような環境で過ごしてるのかは知りませんが、今のわたくしは魔王でありながらも魔王としての知名度が全くありません。街にいる吸血鬼としか認識されてないでしょうし、街中での危険は皆無と言えますし。一般人に襲われても多分大丈夫なはずですし。


「モンスターガチャと僕ガチャってありますけどどう違うんですの?」


 ページを端から端まで見ましが全く説明がありませんし、不親切じゃないですの?


「多分、人型かどうかですわよね……」


 従者としてなら断然人型がいいですわ!

 だって、ほら! 事情が分かるお話相手とかほしいですし!

 だとすると僕ガチャで決まりですわね。

 で、でもドラゴンとかも凄く惹かれるのですわ。そうなるとモンスターガチャもありなのでは……


「ど、どちらを選べば……あ」


 無意識のうちに魔王の書のページのど真ん中にある光る魔法陣を模したイラストを触れていました。


 わたくしが魔法陣に触れた瞬間、紅い光が魔法陣から溢れ始めました。


「え、なんですの⁉︎ このタイミングで魔力を込めればいいのかしら⁉︎」


 よくわからないまま、触れている魔法陣にわたくしは一気に魔力を注ぎ込んで唖然としました。


 な、なんですのこれ⁉︎ 底が見えないんですけど⁉︎


 わたくしは魔力だけは魔王級と呼ばれるような魔王なので、マオ学でも総魔力量だけは誰にも負けたことはありません。

 そんなわたくしの魔力を全開に近い勢いで注いでいますのに全く容量が増えてる感じがしませんわ!

 まるで穴が空いた容器に水を注いでいるような感じです。


「こうなったら本気ですわぁぁぁぁ!」


 なんだか意地になってるだけな気がしますけど、わたくしは今まで以上の勢いで魔力を注ぎ込んでいきます。

 容器に穴が空いてるなら穴から流れ出る量より更に注ぎ込めばいいのですわ。

 徐々に身体が魔力が減ったことにより重くなってきてますが、負けませんわ!


 膨大な魔力をひたすらに注ぎ続けていると僅かにですが魔法陣の底が見えたような気がしました。

 これはいけるのではないでしょうか!

 今まで以上に気合いを入れて魔力を注いでいると徐々に視界がボヤけてきましたわ。


 ま、まずいですわ。

 魔力貧血を引き起こし掛けてます!

 魔力貧血は体内の魔力を使い切りそうになると出る症状で、軽いものなら先程覚えた体の気だるさ、目眩くらいですが、重度のものになると意識を失ったりします。


 ああ、そんなこと考えてる間にも頭がフラフラしますわ……


 意識が朦朧としながらも魔力を注ぎ続けていたわたしくしでしたがついに限界が来たのかベッドの上へと音を立てて倒れこみます。


 視界が暗くなりつつありましたが宙に浮かぶ魔王の書へと眼をやると赤く輝いていた魔法陣が虹色の輝きに変わっていました。

 それを閉じゆく眼で見たわたくしは意識を完全に手放したのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ