まおう、ひらく
「ぷ、プラスに考えるべきですわ」
しばらくして、エリザベスちゃんの声が聞こえていた宝珠が消えて呆然としていたわたくしでしたが、目の前に浮かぶ魔王の書を手に取るとベッドへと飛び込み本を開きます。
「なるほど、魔王らしい行動を取ればそれが魔王ポイントとして変換されて溜まっていくという事なのね」
魔王の書の初めのページ、「初心者、授業で成績が悪い者はここを読むべし!」という微妙に悪意のある目次に従って読んだことでわたくし、理解しましたわ!
そしてこの魔王ポイントというのを集める魔王らしい行動というのが簡単にまとめると「人を恐怖させる」「破壊行動を行う」「感情を大きく揺さぶる」の三つらしいですわね。
「人を恐怖させると破壊行動を行うというのは理解できますが、感情を大きく揺さぶるというのがわかりませんわね」
先の二つは魔王をしていたら当たり前に行うような行為と言えますが、感情を揺さぶるだけはよくわかりませんわ。
「まぁ、わからないことは考えるだけ無駄というものですわね!」
考えるのはあまり好きじゃないので! あと本を読んだら眠くなりますしね!
今も眠いですし。
「とりあえず、従者が欲しいですわね」
欲を言えば家とかも欲しいですが私の所持している魔王ポイントがそんなにないですのよね。
初心者魔王として配布されてる初期ポイントくらいしかありませんし。
「あと食事をスマートに取りたいですしね」
吸血鬼の主食は当然血。
真祖であるわたくしなら取らなくても生きてはいけますが血を飲むのと飲まないのでは能力が全く違いますし。
魔王として生きていくならば血は定期的に摂取していきたいものです。
「さて従者、従者と」
魔王の書のページをめくり、わたくしの僕となってくれる者を探す。
ですが、
「やっぱりポイントが足りませんわ」
わたくしが欲しいと思った魔獣や魔族というのはどれも馬鹿みたいに高いポイントを要求してきますの!
下手したらわたくしの持ってるポイントでは弱い魔獣しか喚び出せないのではないかしら?
「困ったものね…… ん?」
頭を悩ませていると魔王の書の下の方が光っている事に気づきました。
何かと思い、その光る場所を指でなぞるようにすると魔王の書が輝き、今まで見ていたページとは全く違うページへと変わっていました。
「これは…… 初心者魔王スタートダッシュガチャ?」
そこには、初心者でも序盤から役立つキャラを手に入れて他の魔王と差をつけよう! なんて胡散臭い文字が書かれていましたわ。




