表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/26

まおう、とられる


 わたくしの目の前には見た事もない虹色に輝く球体がゆらゆらと揺れながら浮かんでいました。

 何かしらこれ?

 マオ学でもこんな不思議な物を見たことがありませんわ。


『久しぶりねメアリー』

「え、エリザベスちゃん⁉︎」


 わたくしの目の前に浮かぶ宝珠からエリザベスちゃんの声が聞こえてきましたわ⁉︎ エリザベスちゃんの姿は見えないというのに!


『通信の宝珠も知らないって、あなた、本当に魔王してたの?』


 な、なんか呆れられてますわ⁉︎

 いや、魔王をしてたかと言われるとちょっぴり自信はないのだけど……

でも一応、わたくしは魔王ですわよね?


「エリザベスちゃん、わたくしだって魔王ぽいことはしてましたわ!」

『へぇー何したの?』


 う、疑ってますわね⁉︎


殺戮ジェノサイドですわ!」

『はい、ダウト』

「そんなあっさり⁉︎」


 なんで一瞬でバレましたの⁉︎

 この宝珠、もしかしてこちらが見えていますの⁉︎


『いや、流石に雑草を抜いたりしたくらいで殲滅ジェノサイド認定は受けないよ?』

「き、聞いてたんですの?」

『ええ、大声を出してお隣さんに怒られてた辺りからね』


 起きてからじゃないですの⁉︎

 わたくしにはプライベートが皆無なのかしら⁉︎


『あ、安心して? 別にいつも聞いてるわけじゃないわ。近況を聞いてみようと連絡とってみたのがついさっきだっただけだから』

「ならいいですわ」


 監視されてプライバシーがなかったら危うくこの宿から出て行かないといけないとこでしたし。


「それにしても、エリザベスちゃんこんな魔道具持ってたんですの?」

『……そこから?』


 わたくしが宙に浮かぶ宝珠をつつくようにしながら尋ねると再びエリザベスちゃんの呆れたような声が宝珠から響いてきました。


「な、なんですの?」

『その様子じゃ気付いてなさそうだね』


 何故か姿は見えないのにエリザベスちゃんがやれやれと首を振っている姿が脳裏に浮かびます。


『これは魔王の書で買ったのよ。色々とあるし』

「魔王の書?」

『マオ学で習ったはずだけど?』


 な、習ったかしら?

 そう言われれば習ったような気がしなくもない。


『あなたは寝てたから聞いてすらいなかったけどね』

「ぐぅ……」


 だ、だってマオ学の授業は眠くなるような授業ばかりだったんですもの!

 でも、魔法の授業はちゃんと起きて聞いてたわ。


『まあ、聞いてなかったあなたに説明すると、とあるポーズを取りながら開け(オープン)と言えば魔王の書が現れるわ』

「おお!」


 つまり魔王の書を手に入れればわたくしもエリザベスちゃんみたいにお喋りするための魔導具が手に入るってわけですわね!


「で、そのポーズというのは?」

『間抜けな顔をして両手でダブルピースよ』


 な、なんなんですの⁉︎ そのわけのわからないポーズは⁉︎

 絶対に人に見られたら馬鹿にされるのが決まっているようなポーズじゃないですの!


「じょ、冗談ですわよね?」

『本当よ』


 え、エリザベスちゃんの声が本気の声ですわ……

 つまり真実⁉︎


『さ、さっさとポーズを取って!』

「ぜ、絶対わらってますよね⁉︎」


 なんか宝珠の向こう側で笑ってるのが分かりますよ⁉︎

 でも、わたくしも便利なものが欲しいですわ。

 仕方ありません……


 両手でピースを作り、間抜けな顔をしてと、


開け(オープン)!」


 カシャ


 なんか音聞こえたんですけど……


『ぷふ⁉︎』


 今、笑いましたわね⁉︎

 確かに眼の前には分厚い本が出てきましたけど!


『まさかあっさりと思ってなかった。今の顔永久保存しとくね!』

「やめて⁉︎」


 わたくしが拒絶したにも拘らず宝珠からはエリザベスちゃんの楽しそうな笑い声が聞こえ、そして滲むようにして消えていったのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ