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まおう、とうろくする



「ま、まあ、神聖魔法が使えるかどうかはどうでもいいよ。問題は技量だからね」


 男性はあからさまにわたくしの神聖魔法について聞きたそうでしたがわたくしの隣にいるアシュリーさんがわたくしでも分かる程の殺気を放ち始めたのでわかりやすく話題を変えてくれました。

 わたくしにとっても非常にありがたいのですが、戦闘職じゃない魔王としては隣のアシュリーさんの殺気は非常に辛いですわ。

 ついでに言うならいつ殺されるかヒヤヒヤしてますわ。死なないですけれけど怖いものは怖いですし。


「それで、なにか特技はあるかい?」


 神聖魔法です! と言い切りたい所ですがわたくしは学習してますわ!


「攻撃以外の下級魔法なら大体は…… あ、あとお尋ねしたいのですがこの辺りでは亜人などの扱いはどうなのでしょうか?」


 下級魔法と言っておけば大体は言い逃れができるはずですわ。力を入れすぎても魔力切れみたいな演技をすればバレないはずですし、側から見れば魔力を全力で込めたからあの威力、と納得されるはずですし!

 あと一番の問題点は種族的な問題!

 エルフやドワーフなどは比較的人間に友好的な亜人としてマオ学では習いましたが、この世界ではどうかわかりません。

 さらに言えば吸血鬼なんて下手すれば人類の敵とか言われてそうですしこの確認は必要不可欠ですわ!


「亜人かい? まあ、種族として敵対してるのはいないかな? 個人で人類の敵認定されてるネームドとかはいるけど」


 やりましたわ!

 種族の壁がない世界最高ですわ!

 なんか気になるワードがありましたが。


「ネームドとはなんですの?」

「強い奴に送られる二つ名、異名みたいなものよ。勇者なんかにも戦い方で付けられたりするわ。つまりネームド=強いみたいな感じよ」


 アシュリーさんの説明は非常にわかりやすいですわ。

 つまりは速さが売りで戦ってたりすると瞬足の○○みたいな感じになるわけですわね。


「ちなみにこの前死んだ勇者も二つ名持ちよ」

「えぇ……」


 なんでしょう。この胸にくる残念感は……

 味方もろとも消し飛ばそうとしてた時点で勇者としてどうなのと言いたいのですが、さらには強者の証である二つ名持ち。

 なんだかわたくしの想像していた勇者とは全然違いましたし。


「ちなみになんという二つ名だったのでしょう?」

「あー、あいつなんて二つ名だっけ? ジョッシュ」

「忘れたの? 仮にも相棒だった奴でしょ?」


 アシュリーさんは細いことは全く気にしないタイプのようですわね。

 わたくしとしましては話をしながらも今まで名前も知らなかった男性の名前がジョッシュさんであるという事を初めて知ったのですが、この世界では自己紹介はしないものなんでしょうか?


「リオンだよ。皆殺しのリオン」

「ああ、そういえばそんな名前だったね」


 アシュリーが手を叩きながら納得したように頷いてます。ほ、本当に忘れてらしたんですね。

 あと勇者の二つ名が皆殺しってどうなんでしょう……


「あ、話戻すけど別に亜人だからといって差別を受けるなんてことはないよ。街にも亜人はいるし、働いてる。コミュニケーションも取れるから安心して。なんなら吸血鬼とかの珍しい種族もいるしね」

「ありがとうございます」


 安心させるようにジョッシュさんが笑いかけてくれます。それなら先に名前を教えて欲しかったですが、今更ですわね。

 しかし、そうですか。吸血鬼は珍しいのですか。

 聞いててよかったですわ!


「でしたら吸血鬼(真祖)のわたくしでも大丈夫そうですわね」

「ええ、住みやすい街ですよ」


 無論()の中は言葉にしませんわ。

 さすがに珍しいと言われている吸血鬼の中でも更に出会う確率が低い真祖だなんて言ったらどんな騒ぎが起きるか想像がつきませんもの。

 ついでに魔王なんてことも言いません。

 勇者協会なんてあるんですから下手すれば討伐されてしまいますわ!

 勇者協会というからには王都とか立派な所にあるんでしょうしね。わたくし、近づきませんよ!


「ではこちらで冒険者してもよろしいですか?」

「ええ、歓迎しますよ」


 にっこりと笑顔で差し出された羊皮紙を受け取り、内容を確認します。

 と言っても書く内容は名前、種族、得意な事、後は簡単な質問くらいのようですわ。

 ああ、魔王の能力で異世界の文字とかが読み書きできるようでよかったですわ。

 差し出された羽ペンを受け取りサラサラと書いていきます。字は綺麗とマオ学でも評価されてましたから。


「こちらでよろしいですの?」


 書き終わった羊皮紙をジョッシュさんへと手渡すとジョッシュさんが素早く確認され「ええ大丈夫です」と微笑んでくださりました。


「これでメアリーも私と同業者ね」

「そうですね」


 アシュリーさんが嬉しそうにわたくしの手を取り、上下に振ります。


「ではようこそメアリーさん、勇者協会総本山がある首都ノーヴァスへ。冒険者ギルドはあなたを歓迎しますよ」


 ジョッシュさんが笑顔で言います。

 はて、ゆうしゃきょうかいそうほんざん?

 勇者協会総本山……

 ここ、魔王わたしの敵地ど真ん中じゃないですの⁉︎

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― 新着の感想 ―
[一言] 皆殺しのリオン そのまんま過ぎて草! この二つ名はもう勇者じゃないだろw
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