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まおう、かむ



「まだ若くない?」

「私も若いんだけど?」


 男性はというと他のギルドの方々に攫われていた人達を任せながら私を見ていた。アシュリーさんの言ってる内容は無視する方向のようですわね。


「この子、神聖魔法が使えるらしいわ」


 そんな男性の無礼な態度などいつもの事なのかアシュリーさんがあっさりとわたくしの特技をバラしてくれてるんですの⁉︎

 そういうのって隠すものじゃないんですの⁉︎


「それは凄い。本当ならどのパーティーにも引っ張りだこだね」


 なんだか『本当』という所にすごく力を入れられたような気がしますわ。視線もすごく疑わしげなものを見るような感じですわね。

 これは信用されてない感じかしら?


 かと言って簡単に神聖魔法を使えるというのも問題な気がしますね。

 今までの会話の流れから魔王の間ではハズレ魔法扱いだった神聖魔法ですがこの世界では激レアみたいな様子。

 つまり、わたくしがうっかり神聖魔法を普通に使い、それがこの世界での上位クラスの力と見なされた場合、とんでもなく面倒なことが起こる予感しかありません。


「神聖魔法といっても傷を治したり、毒を抜いたりすることくらいしかできませんわ」


 怪我を直したり、毒を抜いたりするのは神聖魔法では初歩の初歩。

 ふふん、つまりは神聖魔法の初歩しかできないと思わせればいいのですわ!

 神聖魔法の初歩くらいならできる方がいらっしゃっても問題ないはずですわ!


「げ、解毒が使えるの⁉︎」

「ひぃ⁉︎」


 男の方がカウンターから身を乗り出すようにして私を見てきます。

 あまりに急にわたくしに顔を近づけてきたものですから私も悲鳴を上げて後退ります。


 あ、あらぁ? もしかして選択ミスしましたぁ?


「解毒の魔法は高位の神官しか使えないはずなのだけど。しかも神聖魔法で解毒ができるって事も高位の神官になって初めてわかる事なのに!」


 ミスりましたわぁぁぁぁ!

 まさかそこまで魔法レベルが低い世界だったなんて!

 初歩の初歩以前に歩き始めのレベルじゃないですか!

 いえ、待って、これはチャンスですわメアリー・ニントルフ!

 ここまで魔法レベルが低い世界ということはマオ学でも最弱の名を恣にしていたわたくしでも魔王として立派に生きていけるのではないのかしら!

 ここは魔王という事をバラして魔王メアリーのデビューを飾るべきかもしれませんわ!

 回復特化の神聖魔法しか使えないけど一応は私も吸血鬼の真祖。

 真祖としての力をフルに使えば初歩の解毒くらいで驚いている人間などには遅れを取らないはずだわ! 多分、きっと、おそらく……


「ふふん! 実はわたくしは……」


 わたくしは意気揚々と魔王と宣言しようとし、


「でも勇者ならできるんじゃない?」

「まあ、勇者協会クラスならゴロゴロいるからそういう人がいてもおかしくないか」

「で、メアリー。どうしたの?」

「いだぁっなんでもないです!」


 続けて聞いた言葉に焦って口を閉じ、舌を噛んでしまいました。

 あっぶなぁぁぁぁ! 普通に使える人いるんじゃないですのぉぉぉ!

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