まおう、でびゅーする1
新作です。
気まぐれ更新
タイトルを『私、魔王です。魔王ですってば!』から『わたくし、魔王ですわ。魔王ですってば!』に変更しました。
わたくしは魔王ですわ。
と言っても新米魔王ですが。
別に魔王も初めから魔王だったわけじゃなのです
ちゃんと学校に通い、魔王としての勉強をし、実地訓練を受けてからようやく新米魔王として異世界に旅立てるわけですし。
そしてわたくし、メアリー・ニントルフもようやく魔王デビューするわけなんですけど……
今、デビューする前の最後のイベントを待っている最中なのですわ。
そのイベントの名は異世界召喚イベント!
その名の通り異世界への召喚イベント!
魔王を育成する学校、通称マオ学での最後のイベント。このイベントでいい異世界を引けたら魔王としての薔薇色ライフが待っていると言っても過言ではないわ。
魔王にとってのいい異世界というのは言わば敵対勢力が弱い世界や友軍勢力が大きい世界の事を言うわけで、逆に良くない世界というのは敵対勢力が強すぎる世界の事を言うのです。
この異世界召喚イベントは自分の向かう異世界をクジで選ぶというイベントだ。
『魔王に必要なのは力、頭脳、そして運』
これがマオ学が掲げる理論です。
学校で力と頭脳を鍛え、最後に運を試す。
それがマオ学というところなのですわ。
そんなマオ学の今季の卒業生は88人。
そしてわたくし、メアリーは88人中87番目の成績で卒業するわけで……
「うぅ、緊張しますわ」
他の卒業生達が異世界行きのクジを引いていくたびにわたくしのか弱い心臓がバクバク音を立てるし胃がキリキリと痛む。
なにせ順位がほぼ最下位のわたくしにとってはこの異世界クジに全てが掛かっていると言ってもいいわけです。
行った世界が勇者ばっかりの世界だったら詰む。即死亡する自信がわたくしにはありますわ!
なにせわたくしは体術も魔法も全くと言っていいほどに才能がないのですから!
魔力だけは馬鹿みたいにあるんだけど攻撃魔法なんて使えないし、使えるのは幻惑魔法と回復特化の神聖魔法だけだからまったく戦えない!
「どうしたらいいのですわぁ」
ああ、お腹が痛いですわ。
緊張しすぎて今朝はパンが八枚しか食べれませんでしたし……
安全地帯じゃないならいっその事、危険地帯に送り込んでもらって痛みを感じる間もなく死にたいものですわ。
あ、でも最弱の魔王と呼ばれるわたくしでも首をはねたくらいじゃ死なないはずですし絶対に痛いですわよね?
「相変わらずぐだぐだと考え込んでるわね」
わたくしが頭を抱えて悩んでいると後ろから慣れ親しんだ声が聞こえてきた。
その声に向かい、わたくしは振り返り、
「エリザベズぢゃーん」
涙を流しながら振り向くとそこにはわたくしの親友であるエリザベス・ノワールが呆れたような眼でわたくしを見ていますわ。
わたくしはというとそのふくよかな胸へと涙を流しながら飛び込んだのでした。