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【第八九話】

近頃は気温も高くなってきて、体調不良になる人などがよく見られます。

梅雨に入っているのか入っていないのか分からないような天気が続いていますが皆様いかがお過ごしでしょうか?

自分は扇風機を回しながらちょこちょこ執筆をしておりました。

毎度の事ながら更新が遅れてしまい申し訳ございません!

「雑魚どもがァ!! 俺様の邪魔すんじゃねぇよッ!」


 ゴレドはそう叫びながら僕に向けて放とうとしていた槍を魔法が飛んできた方に投げつけた。


狂った結末に再生を(ザ・アナスタシア)っ!!」


 ゴレドの槍は今までの物よりもはるかに威力が高く、普通防御魔法では防ぎきれないと思ったのかマリアンナちゃんが古代武器(アーティファクト)の力を解放した。

 すると、今まで逃げていなかった兵士たちをまとめて包み込むような大きさの青白い球体が現れ、槍の一撃を完璧に防いだ。


「――シッ!」


 怒りのあまり僕から目を離し、反応の遅れたゴレドは僕の攻撃を防ぐことはできない。

 確実にこの一撃で殺すために、刀身に魔力を込めて鋭さを増したオーダーでゴレドの身体を切り裂く。

 乗っていたドラゴンごと真っ二つにされたゴレドは、そのまま重力に従って地面に落ちて……その体を()()()()


「は!?」


 ドラゴンの方はそのまましたいとして残っているのに、ゴレドの身体だけまるで水のように溶けて地面に吸い込まれてしまった。

 ゴレドが消えるのと同時にそこらを埋め尽くしていたモンスターの姿も溶けていき、一面草原だったはずの平地が焼き尽くされ、でこぼこに地形が変わってしまった景色だけが残っていた。


「お兄様!」


 モンスターたちが消えたのを確認してからマリアンナちゃんたちのいるところに戻ると、マリアンナちゃんは青白いバリアを解いて僕のもとに走り寄ってきた。

 それから全身をくまなく見て、怪我がないかを確認していた。


「お疲れ様、他の人たちを守ってくれてありがとね」


「『ありがとね』じゃないですよ! あんなのと一人で戦って! 見たところ怪我はなさそうですけど、どこか痛いところとかないですか!?」


 途中そこそこ怪我をしたはずだけど、オーダーの自己回復で勝手に治ったらしい。

 怪我をした当時もアドレナリンが大量に分泌されていたせいか、痛みを特に感じなかったので怪我をしたのは気付いていたけど、知らない間に治っていたって感じかな。


「怪我は特にないから大丈夫だけど、ほかの傷ついた兵士さんたちは治してくれた?」


「お兄様があの男の人と戦ってる間に少しずつ全体回復をして治しておきました」


「まさかあんなのと戦うことになるなんてね……まぁ、兵士ってだけで何の罪もない人たちを斬るよりはああいう心の底から腐ってるやつを斬る方が気持ち的に楽だったし、最終的に誰も死なずに終わったんだからよかったよ」


「だからよくないですって! 確かに私たちは足手まといだったかもしれないですけど、自分の身ぐらいは自分で守れます! お兄様、私たちのことも守ろうとしてましたよね? 自分だけなら余裕で避けれたのにわざわざ迎撃して……!」


「それは……」


「もっと私たちを信じてください!」


「……そうだね、ごめん。誰も死なせたくないっていうのは僕のわがままだったから、僕が守らないとって考えてたんだけど、そこまで手を回さなくても大丈夫だったんだね」


 そういうと、マリアンナちゃんは僕にぎゅっと抱き着いてきた。

 今回の戦いは僕自身ヒヤッとする場面があったから、後ろで見ていたマリアンナちゃんは余計に心配だっただろう。

 いろいろ気を回しすぎた結果、自分のことがおろそかになって最終的にマリアンナちゃんに心配をかけさせてしまった。


 僕は申し訳なさと、心配してくれているうれしさで、マリアンナちゃんの頭を撫でるのだった。



 ***



「この度は防衛に多大な貢献をしていただき誠にありがとうございます。ルイス殿がいなければ、我々にも相当な被害が出ていたと思います」


 アポトリシキが今はこれ以上攻めてこないようなので、一旦街に戻ることになった。

 無事に生き残れたことで足取り軽く、来た時よりも遥かに早い時間で街に帰ってくることができた。

 そのまま僕たちはベルナルドさんに今回の防衛での報酬を渡したいと言われ、一緒に邸宅にやってきたところだった。

 僕とマリアンナちゃんはそのまま応接室に通され、メイドさんに呼ばれ会議室のような場所に連れてこられたかと思えば、ベルナルドさんが開口一番にそう言った。


「今回の戦争にて多大な貢献をしたルイス殿には私から男爵位への推薦と我がシフエンテス家の後ろ盾を」


 こういう公的な時のマナーとか何もわからないんだけど。

 とりあえず跪いて……。


「……ありがたき幸せ」


 前に読んだ本だとこんな感じで返事していた気がする。

 ちょっとこの話が終わったらベルナルドさんに貴族社会におけるマナーとかを教えてもらった方がいいかもしれない。

 よくよく考えると、結構いろいろな貴族の人達と話す機会があったけど、どれもマナーがちゃんとできてたって自信をもって言えないんだよね。

 今まであった人たちが優しかったから咎められなかっただけで、そういうのに厳しい人と会ったら切られても文句が言えないぞ……。


 スラムで育ったからそういう教育を受けられなかったと言えばそれまでなんだけど、シャルと交際するってなった時点でもっとちゃんと学んでおけば、どうすればいいのか分からないなんてことにならなかっただろう。

 つくづく詰めが甘いなと思った。


「……陛下に推薦する前に私の方でマナーをお教えしましょうか」


「お、お願いします……」


 何とも言えない空気になってしまったが、これで無事に僕の報酬はもらった。

 続いてマリアンナちゃんの方に移る。


「次に、マリアンナ殿。貴殿には我が兵士たちを回復し、守ってもらいました。その功績に見合うものを報酬としようと思ったのですが、聞けばゴルダンモアの貴族令嬢だというではありませんか……。私としましては、ルイス殿と同じように貴族への推薦を、と思っていたのですが、今回は金銭などでどうでしょう?」


「もちろん構いません。私などにも褒美がいただけるというだけで光栄です」


 マリアンナちゃんはさすが貴族令嬢というべきか、しっかりと受け答えできていた。

 普段が妹っぽいところがあるので、こういう一面を見ると貴族なんだということを再確認させられる。

 マリアンナちゃんが『お兄ちゃん』だと思っても恥ずかしくないと思えるように、僕も少しづつそういうところを学んでいこう。

「続きはよ」「面白かった」と思って頂けたら

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評価や感想などもモチベーション向上に繋がるのでぜひ。

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