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【第八八話】

変な時間に投稿してすいません!

「ハッハァ! 人間のなり損ないだとなんの力も持たなかったが、今回のやつらは一味違うぜ?」


 男がそう叫ぶと、ドラゴンは力を溜め始め、僕たちが止める間もなく紫色の炎のブレスが放たれた。

 防ぐことが出来ない兵士たちを、マリアンナちゃんが魔法で守り、僕は水を纏ったオーダーで斬撃を飛ばすことでギリギリ逸らすことに成功した。


「マジか……」


 ブレスの通ったあとを見ると、そこは地面がドロドロに溶けており、余波だけで周りの草木が燃えはじめていた。


「けが人はいませんか!?」


 後ろの方ではマリアンナちゃんが負傷者の有無を確認していた。

 あっちはマリアンナちゃんに任せておけば問題ないと思った僕は、目の前のモンスターの大群に目を向ける。

 あれだけ高火力のブレスを放ったあとだと言うのに、ドラゴンはいつでも第二波を放てるぞと、口から紫色の炎が溢れていた。


「おーおー、よく耐えたじゃねぇか! 今のでほとんど死ぬと思ってたのに予想に反して全員生存と。そんじゃ、このままどんだけ耐えられんのか試してみるか!」


 男がそういうと、ドラゴンはもう一度ブレスを放った。

 今度のブレスはさっきよりも火力が高いように感じ、マリアンナちゃんでも耐えきれない気がして魔力を多めに溜めた斬撃でかき消そうとしたが……。


「オラァアア゛ア゛ア゛!」


「——ッ!?」


 しかし、ブレスの後ろから男の持っていた槍が心臓目掛けて飛んできた。

 何とか体を捻って心臓を貫かれるのは防いだが、槍は僕の右肩に突き刺さった。


「クソ!」


 動きが阻害されるので、すぐに槍を引き抜くと、槍は空気中に溶けるようにして消えていった。


 不完全な状態で放たれた斬撃はブレスをかき消すことは出来なかったが、威力を抑えるくらいはできたのか、マリアンナちゃんの魔法で防ぐことが出来ていた。


「おいおい、せっかくの楽しいゲームなんだから壊そうとすんじゃねぇよ。運良く死ななかったみてぇだが、次は殺すぞ」


「……そもそもアンタは誰なんだ?」


「まぁ無知無能なテメェらに教えてやるよ。俺はゴレド・ウェイスト。そうだなぁ、新世教の司教ってところだ」


「新世教……?」


「アポトリシキの国王がマレガストの王をぶっ殺した後に創った宗教でな、『死』という概念を超越した世界を作るためのモンなんだとよ」


「そんなことが出来るわけ……」


「目の前のこいつらがその証拠なんだよなぁ。さっきお前らが殺した兵士たちも俺らが無理やり蘇生させた人間のなり損ないでよ、まだ上手く蘇生できねぇからこんな人間とモンスターの中間みてぇなのが生まれちまう」


「お前……人の命をなんだと思ってるんだ……」


「ハァ? なんの力も持たねぇゴミ共がこの俺の役に立つんだから感謝されることはあれど文句は言われねぇよ!」


 こ、こいつ……。

 このままこいつを生かしておけば、こいつの被害者が増えてしまう。

 何としてもこいつはここで()()()()()


「もういい。お前の話は聞いていて不快だ……」


「はっ、そんならゲームの続きをするぞ〜?」


「…………」


 ゲームと言うからにはまたあのドラゴンのブレスを放ってくるんだろう。

 どんな攻撃が来るのかわかっていればこっちから攻めることも可能。

 ドラゴンの上で余裕をぶっこいているゴレドを斬る。


 僕は静かにオーダーに魔力を溜め続けた。

 またあの槍を投げられると面倒だから、それよりも早くブレスを消し飛ばす。

 そのままブレスをもう一度撃たれる前に接近する。


「——ッ!」


 狙った通りブレスが来た。

 僕はそのブレスを瞬時に散らしながら今までにないほどの速度で移動する。

 狙うはこのモンスター達を操っているであろうゴレドただ一人。

 あいつさえ何とかすれば、ほかのモンスターは動きを止めるんじゃないかと思う。


「そう来ると思ったぜェ!!!」


 ゴレドは僕が突貫してくると読んで、モンスターを仕掛けていた。

 そのモンスターたちを基本的に避け、避けられないやつは斬りながら、ゴレドに近づいていく。


「なっ!?」


 モンスターを避けた瞬間、正面からすごい速さで黒い槍が飛んできた。

 あいつの槍はさっき僕の方に投げたはず……。

 それなのにまたあいつが投げてきたということは、抜いた瞬間に溶けるように消えたアレが原因だと思う。


「俺の槍は特別でよォ、何回投げても……こんなふうに戻ってくんだ、よッ!」


 ゴレドは空中に現れた黒い槍を掴み、投擲してきた。

 僕はそれを避けるのではなく、切るつもりでオーダーを叩きつけた。


「は!?」


 業物ですら平気で切り裂く程の切れ味を誇るオーダーで、まさか切れないものが出てくるとは思わなかった。

 槍は弾かれるだけで、またしても空中に消えていってしまった。


「はっ、だから言ってんだろぉ? 特別だってよォ!」


 そう言いながらゴレドはまた槍を投げようとしたが、その瞬間後ろから数々の魔法が飛んでいき、爆発したのだった。

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