【第八三話】
リアルが落ち着いてきたので、今日から投稿再開します。
前回の投稿から期間が空いてしまい、大変申し訳ありません。
翌朝、目が覚めるともうすでに太陽が昇っていた。
「あれ……?」
寝ぼけた頭で考えて、ようやく寝坊したと思い至った。
普段は日が出る前に目が覚めて、日課をしているんだけど、今日はなんだかいつもより疲れていたのか起きれなかった。
寝坊したのなんてほんとに一年ぶりとかそのくらいだと思う。
確か最後にしたのはキャメルさん達から戦い方を学び始めたときくらいだった気がする。
「しまったなぁ……」
そういえばマリアンナちゃんはどうしたんだろうか?
この時間なら起きててもおかしくないはずなんだけど、何のアクションもない。
もしかしてマリアンナちゃんも寝坊してるのかな?
気になって部屋を出ると、マリアンナちゃんの部屋に向かった。
まだ寝ているのかと思い試しにノックしてみると、僕の予想とは裏腹に部屋の中からマリアンナちゃんが出てきた。
「はーい、あ、ルイスお兄様、目が覚めたんですね。おはようございます」
「あぁ、おはよう。起きてたなら起こしてくれてよかったのに」
「いつもは私よりずっと早く起きているお兄様がお寝坊なんて珍しくって、ついつい起こしそびれてしまいました」
てへっと可愛らしく舌を出しながらそういうマリアンナちゃんの頭を少し荒く撫でると、驚いたような声を出したがそれでも嫌がっていなかったようなので少しの間続けた後に手櫛で乱れた髪を直した。
「満足しましたか?」
そう上目遣いで聞いてくるマリアンナちゃん。
「いたずらに対するお仕置きのつもりだったんだけど、物足りなかったかな?」
「そうだったんですか? 私からしたらご褒美みたいなものでしたけど……」
「次からはなでなで禁止とかにしようかな」
「すいません、反省しました!」
そんなに撫でられたいのか……。
マリアンナちゃんは土下座でもするんじゃないかってほど勢いよく頭を下げた。
「最初からそう言えばいいのに……。冗談だから頭上げて?」
「なんでしょう、お兄様をからかうのが楽しいと思ってしまった自分が怖いです」
「……僕としてはそれを直接言ってくるマリアンナちゃんに恐怖を隠せないけどね」
ふざけるのもこのくらいにして、そろそろ今日の活動を始めようか。
ギルドにある依頼はおいしいものほど早くなくなってしまうから。
理想はギルドが開くのと同時に入ることなんだけど、今回寝坊したのは僕が完全に悪いし、ここでいろいろ言うと墓穴を掘ることになりそうだ。
「それよりそろそろ今日の依頼を受けに行こうか。新装備、試したいんだろう?」
「あっ、そうでした! 急がないと良い依頼がなくなっちゃいますね!」
「急いで準備して向かおうか」
「四十秒で支度します!」
そう言ってマリアンナちゃんはバッと部屋に戻って行った。
僕も急いで支度しないと、と思って部屋に戻って支度をした。
結局マリアンナちゃんが部屋から出てきたのは僕が準備を終わらせて部屋を出た五分後だった。
***
「お待たせしてしまい申し訳ありません! それじゃあ行きましょうか!」
四十秒で支度するとは一体何だったんだろうか……。
何なら僕の方が四十秒で支度できてたと思う。
「……まぁ、行こうか」
そうして僕たちはもはやお馴染みとなったギルドにやってきた。
我先にとマリアンナちゃんが受付に走っていくと、目当ての依頼を探し始めた。
今回はマリアンナちゃんの新装備の確認ということで、ここ数週間で倒し慣れたゴブリンの依頼を受けることになっている。
他の人たちよりも少し遅い時間に来たのでもしかしたらもう良い依頼はないかもしれないが、最悪薬草採取などの依頼でも森にさえ行けばモンスターとは戦えると思う。
「ルイスお兄様! ありましたよ!」
マリアンナちゃんはゴブリン討伐と書かれた依頼書を掲げながらこちらを振り返って大きく手を振っていた。
「じゃあそれを受注しようか」
「了解です!」
その後マリアンナちゃんはすぐに依頼を受注してきた。
今回はマリアンナちゃんの装備の確認なので僕の方の準備は最低限にして早速森に向かうことにした。
ここの所ほぼ毎日通い詰めていた森は、今回は少し雰囲気が違った。
これと言って違うところはないはずなんだが、森に入った時からどうにも違和感があった。
「依頼を早めに終わらせて今回は早く帰ろうか」
「……そうですね。なんだか不思議な感じがしますし」
どうやらマリアンナちゃんも同じことを感じていたようで、せっかくの新装備を試せる機会だというのに少しも不満を漏らすことなくうなずいてくれた。
いつ何が来てもいいように、あたりを警戒しながら森を進んでいく。
そのままモンスターと遭遇することなくゴブリンが目撃されたという依頼の場所に着いた。
「なんでこんなにモンスターの数が少ないんだ?」
普段なら森に入ったらすぐに何かしらのモンスターとは遭遇するはずなのだ。
危険なモンスターからそうでないモンスターまで、さまざまなモンスターがこの森にはいるんだが、今日はその一体も見ることなく森を進んでこれてしまった。
今までも警戒はしていたが、より深く索敵してみる。
半径一〇メートルの気配を探ってみたが、僕とマリアンナちゃん以外の反応は感じられなかった。
「今この森で何か起こっているかもしれない。警戒を怠らないように」
「ここまでモンスターがいないのはやっぱり異常ですよね」
「うん、だから依頼は一旦放棄して街に戻ろうと――ッ!」
「お兄様!」
「行くよ!」
僕がマリアンナちゃんに指示を出そうとした瞬間、森の奥から男たちの悲鳴が聞こえてきた。
僕はその悲鳴を聞いてすぐにその方向に駆けだした。
勿論マリアンナちゃんをこんなところに置き去りにもできないので、マリアンナちゃんが付いてこられるぎりぎりの速度で走った。
僕たちが急ぐこと数分、ここでもモンスターとすれ違うこともなく森を抜けた。
今までが少し薄暗いところにいたこともあって、光に目が慣れずぼんやりとしか確認できなかったが、人影があったので悲鳴の主は無事だったかと安心したのも束の間、目前に広がる光景に呆然とした。
光に慣れてきて、はっきりと見え始めた僕の目が捕らえたのは、おびただしい数のモンスターたちだった。
人だと思っていたのは武装したゴブリンで、その後ろにはオークやオーガ、この辺では見ないモンスターから初めて見るようなモンスターと、実に多種多様だった。
あまりの光景に動きが止まってしまったが、キャメルさん達との修行にて何度も死ぬような思いをしたことが功を奏したのか、自然とマリアンナちゃんを守るように動いていた。
戦場では動きが止まったやつから死んでいく。
これはキャメルさんに身をもって経験させられたことだ。
マリアンナちゃんが復活するのを確認してから僕は今度こそ本物の悲鳴の主を探した。
しかしすでに手遅れだったようで、モンスターの群れの一部が腕のようなものを喰っていた。
「マリアンナちゃん、急いで街に戻ってこのことを伝えるんだ」
「お兄様はどうするんですか!?」
「僕はここに残って少しでも時間を稼ぐよ」
国境が近く、王都よりもしっかりした外壁を持つクロノピオといえどもこれだけのモンスターが相手となると街の人たちに被害が出ないとも限らない。
だから僕がここで少しでも街の人たちが避難する時間を稼がないといけない。
「この数を相手に一人で持たせようとしているんですか?」
「どちらかが街に伝えにはいかないといけないんだ。だったら少しでも戦える方が残る方が無事に乗り切れる可能性は高いと思うんだけど」
「それはそうですけど……! それなら絶対に怪我をしないでください! それが守れないようなら私もここに残ります!」
「それこそこの数相手に無茶じゃないか?」
「お兄様なら何とかなると思います!」
「……善処するよ」
マリアンナちゃんはそれで納得してくれたのか、すぐに街の方に走って行った。
僕はマリアンナちゃんが去っていくのを確認してから、目の前のこいつらをどうしようかと思案するのだった。
昨晩執筆してて、本来なら今日の朝に投稿できる予定だったのに保存するの忘れてて、投稿しようと執筆済みのところ見たら書き途中になってて絶望しました。
3時間の努力が消えたのを知った時は頭おかしくなるかと思いましたね。
電車の中だったんですけど発狂しかけました。
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