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【第八一話】

無事に書き終われたので投稿を……(⊃ ´ ꒳ ` )⊃

次回の投稿は書き終われれば明日、書き終われなければ明後日以降となります。

ご理解の程をよろしくお願いします!

 謎の人型モンスターを探し始めて早くも三日が経過した。

 これと言った情報も出ないまま今日も僕たちはモンスターを狩っていた。


「えいっ!」


「ははっ……たくましくなったなぁ……」


 魔法を主に使うマリアンナちゃんは敵に近づかれたときに備えて近接戦闘も学んでいた。

 学ぶと言っても、キャメルさんとイーリスから学んだ知識をそのまま伝えているだけなんだが……。

 そのおかげ……いや、そのせいであんなにやさしかったマリアンナちゃんが杖でゴブリンを撲殺するような子になってしまった。


「最後! たぁ!」


 グシャっとゴブリンの頭を殴り飛ばして、返り血で赤く染まった杖を掲げながら嬉しそうにこっちに走ってきた。


「お疲れ様。随分と近接もうまくなったね」


「ルイスお兄様に優しく教えてもらえたからです!」


 いや、僕はそんな殴り殺す方法とか教えてないんですが……。


「マリアンナちゃんが頑張った結果だよ」


 マリアンナちゃんが浄化の魔法で返り血を落とすと、僕の方に頭を突き出して来た。

 これは、近接戦の修行を始めた直後くらいに、僕がマリアンナちゃんの頭を撫でてしまったことから始まった事で、マリアンナちゃんが何かを頑張って、僕に褒めてほしいときはこうして頭を突き出してくるようになったのだ。


「よく頑張ったね」


「えへへ……」


 ゴブリンの死体がそこかしこに転がっている森の中で少女の頭を撫でるとかいうこの状況を作ったやつ誰だよ!?

 あぁ、原因は僕か。


「それじゃあ剥ぎ取りして今日も街に――」


 戻ろうか。

 そう言おうとした瞬間、僕たちの頭上に大木が飛んできた。

 頭を撫でられることに夢中になっていたマリアンナちゃんは当然のように反応できておらず、僕がマリアンナちゃんを抱える形でその場から飛び退った。


 緩んでいた警戒を一気に引き上げ、オーダーを抜きながら辺りの状況を確認する。

 突然の出来事に硬直しているマリアンナちゃんを背に隠しながら大木の飛んできた方を注視する。

 するとずるずると何かを引きずるような音を立てながら人型の何かが近づいてきていた。


「あれが目的の人型モンスターかな……?」


『人型』と呼ばれていたが、実物はぱっと見人型というだけでよく見れば全くの別物だとわかる。

 まるで関節などないかのような不規則な動きをする足部分と、人間ではありえないほど長い腕。さっきから聞こえていた何かを引きずるような音は、こいつが腕を引きずって歩いていた音だと思われる。

 さらにはどこまで裂けているのかわからないほど大きな口しか存在しない顔。

 心臓の弱い人が見ればそれだけでショック死するんじゃないかと思われるほどにおぞましい見た目をしていた。


「クキャキャキャキャ!!!!!」


 人型モンスターはその裂けた口から奇声を発すると、俊敏な動くでこちらに迫ってきた。

 モンスターにしては素早い方だが、キャメルさんたちに比べると天と地、月とすっぽんほどの差がある。

 そのうえ動きが単調なのでどこに仕掛けてきているのかも読みやすい。

 当然見切れないはずもなく、打ち付けてきた腕を左手に持ったオーダーで切り飛ばすと、瞬時に右手に持ち替えて、首を切断した。

 モンスターは切られた腕と首から血を噴き出しながらその場に倒れた。


「これで討伐完了かな」


「えっ……? あれ? 何が……」


 と、ここでようやくマリアンナちゃんが復活したようで、いきなり始まってすぐに死んだ人型モンスターを見て目を(またた)かせた。


「咄嗟の反応もこれから鍛えないとね」


 僕はそう言って人型モンスターから討伐部位を剝ぎ取ろうと目を向けると、そこには倒れたまま首が蠢き、独りでに再生していく人型モンスターの姿があった。


「えぇ……? 首落とされてるのに死なないとかマジ?」


 今度は再生できないくらいまでに切り刻もうとモンスターに近づこうとしたら、先に切った腕が僕の足を掴んだ。


「ッ! ハァッ!!」


 その腕を炎を纏ったオーダーで切りつけると、火が燃え移り、足から離れて苦しみだした。


「火が弱点なのか」


 僕はただ普通に切ろうとしただけなのにオーダーが勝手に炎を纏ったことから、オーダーはこいつのことを知っていて、火が弱点だと最初から分かっていたんだろう。

 まぁ、確かに油断してたし、いいお灸にはなったけど、わかってたなら最初から教えてほしかったなぁって思ったり。

 あ、それだと僕が成長しないからですか……そうですか。

 所見の敵の弱点を探る訓練? 僕もマリアンナちゃんと一緒に修行します。すいません。


 火がついて暴れまわっていた腕は、だんだんとその勢いがなくなっていき、ついには灰になってしまった。


「弱点がわかればこっちの物だ」


 オーダーに炎を纏わせたまま、僕はモンスターの本体に近づいていき、半分以上くっついていた頭に突き立てた。

 すると、モンスターはのたうち回り、体がはじけ飛んだ。


 近くにいた僕は飛び散った体や血をもろに浴びてしまい、マリアンナちゃんに水と浄化魔法をかけてもらうことになった。


 人型モンスターの爆心地には魔石らしきものと、こんにゃくみたいな見た目の茶色のプルプルしたものが落ちていた。

 僕はそれ等を回収すると、放置されていたゴブリンたちからも魔石を剥ぎ取って街に戻ることにした。



 ***



「これが例の人型モンスターからとれたものです。本体は戦闘後に爆発四散したので残っていません」


 受付嬢さんにそう報告し、手に入れた魔石とこんにゃくを渡した。

 すると、受付嬢さんはこんにゃくを見るなり大慌てで奥に走って行ってしまった。


 数分して戻ってくると、受付嬢さんからあのモンスターについて説明があった。

 あの人型モンスターは『ミミックスライム』というらしく、別の生物に擬態して生活するのが特徴らしい。

 基本的には擬態できるのはその個体と同格か、それより格下でなければならない。

 今回ミミックスライムが擬態していたのはモラスクという軟体系のモンスターで、軍の小隊が出ないと討伐できないほどに強力なモンスターらしい。

 通常のミミックスライムはゴブリンか、よくてオークに擬態できる程度らしく、そこまで強力なモンスターではないとのこと。

 さらに、ミミックスライムは擬態したモンスターと同じ性質を持つことから、スライム種の特徴である再生を失い、出血でも死ぬという。

 僕たちが遭遇したミミックスライムは擬態していたにも関わらず再生能力があったことから特殊な個体だった可能性が高い、とのことだった。


「つまりやばいってことですね!」


「……ちゃんと理解してますか?」


「理解してます。どうしてこんな個体が出てきてるのかわからないですけど、あいつのほかにもこういったやつがいるなら早めにどうにかしないと大変なことになるんですよね」


「間違ってはいないですけど、あれだけちゃんと説明してこんなに簡単にまとめられると釈然としないと言いますか……」


「ま、まぁとにかく、今後も調査を続けていけばいいってことですよね?」


「そうですね」


「了解です」


 そうして予期せず強力なモンスターを討伐していたのだった。

ミミックスライムさんの見た目は完全に旧支配者のそれです。SAN値チェックしなきゃ(使命感)

TRPGやったことないからいまいちルールとかわかってないですけど。


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