【第七話】
期間が空いてしまい申し訳ありません。
少し忙しい時期なのでペースが遅れ気味になりますが気長に待っていて頂けるとありがたいです。
書いていくうえでの矛盾点などを加筆修正しました。
他にも矛盾点などありましたら、感想などで教えていただけると助かります。
シャルロットの後を追い、部屋の中に入るともう既にアシュタルさんが席について待っていた。
アシュタルさんの隣側に知らない女性が座っていたが、見た感じシャルロットの母親とかそんな感じだろうか?
そこはかとなく面影がある気がする。気がするだけかもしれないけど……
「遅れてしまってすいません」
僕が寝ちゃってたのが原因だろうから最初に謝っておく。
謝罪は大切って父さんが言ってたからね。
自分に非があると思った時は変に言い訳せずに謝った方が物事が上手くいくって。
「気にしなくても構わないさ。ゆっくり休めたかい?」
「はい。改めて泊めてもらってありがとうございます」
僕は部屋の端に立っていたメイドさんに席に案内されてその席に座る。
シャルロットはアシュタルさんの隣に座り、僕はシャルロットの隣だった。
長テーブルの端、お誕生日席にアシュタルさんが座っていて、その両側にシャルロットと女性、シャルロットの横が僕という感じの席だ。
「さて、まずは全員揃ったところでエリーの紹介からしよう」
アシュタルさんはそう言って女性を見た。
すると、女性は頷いてから僕の方を見て自己紹介を始めた。
「初めまして。私の名前はハンリエッタ。シャルロットの母親よ。今日あったことはこの人から聞いているわ。娘の危機を救ってくれてありがとう」
女性、もといハンリエッタさんはそう言って頭を下げてきた。
「僕はルイス・イングラムといいます。シャルロット様を助けれたのも偶然なんであまり気にしないで貰えると嬉しいです」
今日何回目になるかも分からない返事を返しながらも、僕は頭をあげるように促す。
なんなら僕よりも、シャルロットを守っていた騎士たちに褒美などをあげた方がいいのではないだろうか。
あの人たち二人でファントムソルジャー三体を相手に持ちこたえてたんだし……
「気にしないというのは無理な話だが、自己紹介も済んだことだし食事にしよう。冷める前に食べてしまわないとせっかく作ったシェフに失礼だからな」
僕とハンリエッタさんの会話が途切れたタイミングで、アシュタルさんがそう言った。
すると、部屋の奥、少し見える感じから厨房だと思われる場所からメイドさんが二人やってきて、一人はアシュタルさんのグラスへ、もう一人は僕のグラスにワインらしき飲み物を注ぎに来た。
メイドさんは僕に一礼すると、グラスの半分がうまるくらいまでワイン(仮)を注ぎ、終わると次はシャルロットの方に行った。
アシュタルさんの方をやっていたメイドさんも見ればハンリエッタさんの方に向かっていた。
全員のグラスに飲み物が準備され、メイドさんたちが奥の部屋に戻って行ってからアシュタルさんが口を開いた。
「それではグラスを持って……ルイス君。今回はシャルロットを助けてくれてありがとう。たまたまだと言うがちょうどそのタイミングで君が助けに来たのは事実だ。感謝の意を込めてたくさんの料理を作ったので、是非楽しんで欲しい。では、食材に感謝を。乾杯!」
「「「感謝を。乾杯!」」」
僕はグラスを目の高さ程まで掲げ、乾杯する。
ここら辺のマナーは両親に一応教わっていたが、もしかしたら違う可能性もあったので、シャルロットの動きを見ながら真似して動いていた。
乾杯も家ではコップを打ち付けていたが、グラスではどうやらそれがないらしい。
危うく打ち付けるところだった。
僕はグラスの中身を少し口に含む。
予想通り、中身はワインだったが、思ったより飲めそうだというのが正直な感想だ。
酒は初めて飲んだから、みんながみんなこんな味なのかは分からないが、初めて飲んだ酒は渋い味がした。
食材への感謝は、これから食べる元々生きていた動物たちに感謝する意味がある。
いつからあるのかは分からないが、同じ命をいただくという行為に感謝しろとの事らしい。
僕はほかの人たちが食べ始めたのを見て、フォークとナイフで早速とステーキを食べ始めた。
なんの肉か分からないけど、ナイフを入れると、ほとんど抵抗なくスッと切れるほど柔らかかった。
断面から肉汁が溢れ、僕はそれを見て喉を鳴らした。
初めて食べる高級そうな肉にドキドキしながら一口。
口に入れた瞬間、口全体に美味しさが広がり、肉自体は気づけば溶けて無くなるほどに柔らかく美味い肉だった。
他にもサラダやスープなど色々なものがあったので、僕はしばらくこの料理たちに舌鼓を打つ。
***
「ところでルイス君。シャルロットから聞いたが、外せない剣というのは今その腰に着けているものかい?」
食事も一通り落ち着き、食後のお茶をしているとアシュタルさんがそんなことを聞いてきた。
「はい。家の地下に刺さっていたものなんですが、触った時から手が離れなくなって、シャルロット様に言われてやっと腰に着ければ離せることに気づいて現在の状態です。……剣帯から外せないかも試して見たんですけど、上手くいかなくて」
剣について説明をすると、アシュタルさんは「ふむ……」と言って顎に手を当て何かを考え始めた。
「お父様でも分からないですか……?」
「いや……私も昔聞いたことがある程度の話で信憑性は低いのだが、この世界各地にはそう言った武器が封印されている場所があるらしい。あくまで噂話だったから私もそこまで気にしていなかったのだが、まさか実在したのか……?」
「そう言った武器?」
何やら重要そうな話が出てきた。
僕はこの剣について知らないことが多すぎる。
ずっと離れない場合は一生この剣と過ごさなければいけないわけで、アシュタルさんがくれる情報は今後の僕の行動が決まってくるような話かもしれない。
「あぁ、随分昔のはなしだから私も覚えていることは少ないんだがね、ルイス君の持つその剣のように、所有者から離れない武器がこの世界のどこかにあるという話だ。当時は呪いだとかその武器に選ばれたのだとか色々な憶測が飛び交ったが、まさか実物をこの目で見ることができるなんて……」
武器に選ばれる、か……。
僕の場合、気がついたらもう剣の柄を握ってたからどっちかと言うと呪いの方が近いような気もするけど、もしかしたら悪いものでは無いかもしれないという話が聞けただけでも収穫はあったのではないだろうか……。
「確か武器が封印された場所も何かあった気がするんだが……すまない。これ以上はあまり覚えていない。」
「いえ! これまで何も分からなかったので、過ごしでも情報が得られたので良かったです! ありがとうございます!」
アシュタルさんに頭を下げられたので、僕は急いで頭を上げてもらいそう返す。
「そうだ! ルイス君。王都にある図書館なら詳しいことが分かるはずだ。私が紹介状を書くから行ってみないか?」
王都の図書館?
アシュタルさんが言うにはそこでなら詳しいことが分かりそうだ。
「行ってみたいです!」
貴族に対してあまり失礼な態度はとれないと思っていたけど、この剣のことが分かるかもしれないなら、話に乗らない手はない。
さっきまでなら「迷惑でないなら……」とか言ってただろうけど、背に腹はかえられないから。
多少失礼になっても僕は行きたいよ。
「そうか。ならば明日の朝、紹介状を渡そう。それと、もう何が欲しいか決まったかい?」
あ、そういえばお礼を何にするか結局決めてなかったな……。
寝る前に少しだけ考えてたんだけど。
確かあの時は色々な使い道があるお金にする、みたいなこと考えてた気がするなぁ……
あまり待たせるのも良くないだろうし、もうお金でいいかな。
「えっと、じゃあお金を貰えれば……」
「わかった。紹介状と一緒に明日の朝渡そう」
「……話も一区切り着いたようですので、ルイス様はお風呂などどうでしょう?」
アシュタルさんとの話が終わったタイミングでシャルロットがそんなことを提案してくる。
家にいた頃は風呂も入っていたけど、最近では体を拭くだけで済ませてしまっていたので、久々の風呂と聞いて少しテンションが上がった。
「ぜひ!」
「ふふ……。それでは案内しますね」
僕はシャルロットに笑われて恥ずかしくなり、若干俯きながらシャルロットの後について食堂を出る。
出る前に、「お先に失礼します」とアシュタルさんとハンリエッタさんに言ってから出てきた。
「お着替えなどはこちらで準備をさせていただくので、お風呂に着いたらカゴに着ていた服を入れて置いてください。お洗濯しておきますから」
「分かりました。お願いします」
すぐに終わったとはいえ戦闘が起こったから、服にも砂が付着しているかもしれない。
どうせなら清潔な状態でいたいので、僕は感謝の言葉を伝え、洗濯してもらうことにした。
それからしばらくして、風呂場に到着したのだった。
シャルロットの母上の名前を変更します。
この先も修正していきますが、もし直っていないところがあれば教えてください。