【第七八話】
遅くなってしまい申し訳ありません。
Twitterでも報告しましたが、昨日は体調が悪かったので投稿をおやすみさせて頂きました。
今日からまた毎日投稿していきたいと思っているので、ぜひ読んで頂けると嬉しいです。
「それで、そっちの生き物は一体何なのでしょう?」
シャルは僕が抱いていたイデアにそ~っと手を伸ばしながらそう聞いてきた。
イデアはさっきまで僕がシャルと話していたのを見ていたので、特に反応することもなく触られていた。
「みゃ!」
シャルは抵抗しないイデアが可愛かったのか僕からイデアを取り上げて、自分の胸元に持って行った。
「か、かわいい!!」
シャルも負けてないと思うんですが?
もうなんかシャルと会ってから可愛いしか言ってない気がしてきた。
シャルは語彙力すら消失させるというのか……!?
「その子はイデアって言って、僕がゴルダンモア大陸に行く途中に手に入れ卵が孵って生まれてきたんだ。種族はグリフィンガルで、火と風の魔法に適性があるらしい」
「グリフィンガルですか……初めて聞く種族ですけど、こんなにかわいいんですから悪い子なわけないですよね」
その可愛さに対する絶対の信頼は何なんだろう……?
将来悪い人に引っかからないと良いけど。
「話を戻しますけど、今回はいつ出発何ですか?」
「詳しいことはアシュタルさんに聞かないとわからないけど、結構すぐに出発することになるんじゃないかな」
――コンコン
「久しぶりの再会を邪魔して済まないね、今少しいいかな?」
噂をすればなんとやら、何の用事かわからないけど、アシュタルさんに聞けばいいんじゃないか?
「どうぞ」
シャルがそう答えると、アシュタルさんは扉を開けて入ってきた。
それから僕たちを見てニヤニヤした後、「修羅場かな?」と僕にだけ聞こえるように言ってきた。
「そんなわけないじゃないですか。マリアンナちゃんは妹みたいなものですから」
「ははっ、そうか……そいつは失礼したよ。まぁ、ルイス君をからかうのもこのくらいにして、そろそろ本題に入ろうか。シャルもルイス君に聞いたと思うけど、戦争でのことについてだ。ルイス君は明日の早朝から出発してこの国の国境付近の町に向かってもらうよ。そこで戦争の開始を待つとともに、いつ始まってもいいように準備をしておいてくれ」
「その言い方だとアシュタルさんは一緒に行かないみたいですね」
「あぁ、私はこの後すぐに王城に向かって陛下と話してくる。今回の君の参加も話しておかなければならないからね」
「了解です」
「もし、私が付く前に開戦してしまったら、君たちはできるだけ前線に出ないようにして、後方支援か、防衛に徹してくれ。これはお願いではなく命令だ。何よりも自分たちの命を最優先に考えてくれ」
「……わかりました」
ここではこうして返事をしたけれど、いざ戦場に立って、見方がやられていくところを目にしてもこう言っていられるだろうか。
……多分我慢できずに突っ込んでいってしまうんだろうな。
僕の性格なんてアシュタルさんも分かっているだろうに、こんなことを言うってことはそれだけ心配されているってことなんだろうか。
「ルイス君たちはこの先必ず必要になる。その時、戦争で死んでしまった……なんてなったら誰がシャルを守るんだい?」
「…………そうですね。気を付けます」
「わかったならいいよ。今日はみんなでゆっくりしてくれ」
「はい」
そう言ってアシュタルさんは部屋を出て行った。
残された僕たちは少し気まずい雰囲気のなか、ソファに腰を下ろした。
***
「私は、ルイ君のやりたいようにやればいいと思うよ」
少しして、シャルが唐突にそう言った。
「私はルイ君がとてもやさしいことを知ってるし、マリーちゃんもきっとわかってる。お父様もああ言っていたけどルイ君のことは認めていると思うの。だから、ルイ君はルイ君のやりたいようにやっていいんだよ?」
「私もちゃんとわかってます! ルイスお兄様が、誰よりも正義感が強いことを! 例え見ず知らずの人でも傷ついたら悲しんでくれる、怒ってくれる。私もお兄様のそういうところに助けられたんですから。もしお兄様が無茶しても、どんな大けがをしたとしても、私が癒します!」
「二人とも……」
「みゃ! みゃみゃ! みゃー!」
「イデアもありがとな。……そうだな、僕は僕のしたいようにするよ」
戦争なんだから傷つく人がいるのは当たり前だ。
だからこそ、せめて僕の手の届く人たちくらい守りたい。
けが人が出てもマリアンナちゃんなら治せるだろう。だから僕がやることは死者を出さないこと。
いうのは簡単だけどやるのは大変だろう。
それでもこうして信じてくれる人たちのために全力を尽くそうと思う。
「みんなのおかげで心が軽くなったし、今日くらいはめいっぱい楽しもう」
「じゃあ私街に出たいです! おいしいお店知ってるので、二人にも食べてほしいです。……それに、また来たいって思ってもらえれば元気に帰ってきてくれるような気がして」
「そうですね! 私もシャルちゃんのおすすめのお店気になります!」
「なら今日は街に行っていろいろなところを巡ろうか」
「「はい!」」
「みゃ!」
そうして僕たちは一日街を回って楽しんだ。
シャルのおすすめのお店は少しスパイスのきいたパイがウリの店で、みんなで少しずつ違う味を注文して分け合った。
それから小物や服、武器屋なんかも見に行って、充実した一日だった。
帰ってきて、お風呂に入ってから夕食をごちそうになって、それぞれ案内された部屋に行って眠った。
夜中にシャルが僕の部屋にやってきて、ベッドにもぐりこんできたけど、僕は気付かないふりをしてそのまま抱きしめたのだった。
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