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【第七七話】

「ルイ君、今帰ってきたんですか? そちらの女の子は? かわいい生き物もいる!?」


 現在シャルに捕まるなり、質問攻めにあっております……。

 いきなりのことでマリアンナちゃんは全く反応できておらず、イデアは衝撃で頭に捕まっていられず宙に浮かんでいた。


「説明するから一旦落ち着いて……部屋に入れてもらえるか?」


「あ、はい。うれしすぎてつい……」


 は? 可愛すぎか?

 このままずっと抱っこしていたいんだけどダメですかね……あっ、だめですか。

 久しぶりとは言ったけど分かれていた時間はそんなに長くないんだよな。

 もうなんか僕の中のシャルニウム――シャルからあふれ出す僕の健康に必要不可欠な要素――が足りない!!


「あぁぁ……シャルが可愛すぎいてツラい」


「突然何を言い出すんですか!? 人のいるところでそんなこと言わないでくださいよ、恥ずかしいじゃないですか……」


 顔を赤らめて僕の袖をつかんでくるシャル。

 しかも上目遣いでこっちを見上げながらというオプション付き!


 ヌッ!!

 …………危うく絶命しかけるところだった。

 ぎりぎりで王都の服屋店員のギルバートとアルノルドを思い出すことによって息を吹き返した。

 あのピンクのツインテール筋肉ダルマたち見た目が印象強すぎてこういう時僕の心の安寧を保ってくれる。

 オーダーより僕に安らぎをくれるまである。


「ご、ごめん……」


「いえ、そう思ってもらえるのはうれしいです」


「ッ! シャル……」


「ルイ君……」


「こほんッ! あの~……私たちのことを忘れないでもらえると助かるんですけど!」


 つい場の空気に流されてシャルと見つめあっていると、マリアンナちゃんがそう言って怒り出した。

 マリアンナちゃんの存在をかき消してしまうほどの可愛さ……これが魔性の女ってやつか……!

(注:違います)


「えっと、とりあえず二人の紹介からしようか……」


「あ、じゃあ私からしますね。私はシャルロット・フォーサイスと言います。えっと、ルイ君……ルイス君とはお付き合いさせていただいています」


「ルイスお兄様の彼女さんですか……私はマリアンナ・ショペルです。なんと言いますか、ルイスお兄様の妹のようなものです」


「「…………」」


「ふたりとも……?」


「ルイ君、少しマリアンナちゃんと()()()()()お話しさせてもらえますか?」


「ルイスお兄様、少々シャルロットさんと()()()()()お話ししたいです」


「ひっ……じゃ、じゃあ僕は部屋から出てます!」


 なんだこの二人から放たれる(プレッシャー)は!

 さっきまでふにゃふにゃして可愛かったシャルもおとなしかったマリアンナちゃんも、僕が死を感じるほどの圧力を感じたぞ!?


 急いで部屋から出ると、向かいの壁に背を預けて座り込んだ。


「みゃ……」


 頭の上に戻ってきていたイデアもあまりの恐怖に固まってしまっていた。

 僕はそんなイデアを頭から引きはがすと、膝の上にのせて思う存分もふもふした。


「みゃみゃ! みゃむ……」


 イデアももふもふされて気持ちいのか、僕にされるがままになって仰向けにされている。


「ほーら、ここがいいんだろ? 気持ちいいんだろぉ?」


「みゃぁ……みゃ……」


 もふもふしまくった結果、イデアは僕の膝の上でぴくぴくしていた。

 若干痙攣している気もしなくはないけど、まぁ、気持ちよさそうだから……気にしないということで。


「ルイ君……」


「ルイスお兄様……」


「はっ!?」


 視線を感じて扉の方を見ると、心配そうな顔で僕の方を見ている二人がいた。


「え、いつから見てた?」


「『イデア……ここはどうだ? 気持ちいいか?』ってとこらへんですけど……もしてお兄様はそういう生き物に性的興奮を……?」


「えっと、私はルイ君が()()()()のが好きでも受け入れるつもりですから……」


「待ってくれ! これは違う!!」



 ***



 それから二人の誤解を解くのに二時間を費やした。

 こっちが一生懸命説明しているのに、復活したイデアが僕の服の中に潜り込んできたせいで更なる誤解を与えてしまった。

 あの出来事がなければ半分の時間で何とかなってたって……。


「みゃ!」


 可愛いから許しますけど!!


「それより、部屋に入ってきてもいいですよ」


「何の話し合いだったん――」


「ルイ君」


 あ、これ聞いちゃいけないやつだ……。


「イエ、何でもないです……」


「そっか、じゃあ入ってどうぞ」


「お兄様は女心と言うものがわかっていませんね」


「すいません……」


 今後この二人には逆らえないんじゃないかと思った瞬間だった。


 と、再開を喜ぶのはここまでにして、二人が仲良くなったのなら早速本題に入ろうかな。

 今回の戦争に参加することと、これはまだ誰にも話していないけど、戦争が終わったらそのまま斧の古代武器(アーティファクト)の所有者を探しに行くことになるかもしれないということ。

 確証はないけど、今回の戦争で何かすごい貢献をすればシャルとの婚約も近くなるだろうし。

 どうせなら一気に探しものは終わらせたいところだしな。


「今日はただシャルに会いに来たっていうのもあるんだけど、これから起こる戦争のこと、その後のことを話しておこうと思ったんだ」


「戦争ってアポトリシキとの戦争のことですよね」


「うん。僕たちはその戦争に参加させてもらえることになった。だから開戦前に戦場に行かないといけない。シャルと一緒にいられないのは耐えられないけど、シャルが傷つくなんてもっと嫌だから」


「そこにはマリーちゃんも一緒に行くんですか?」


 マリーちゃん呼びか……さっきの話し合いで随分と仲良くなったんだな。

 自分が好きな人がいきなり知らない異性と旅するとか言ってきたら心中穏やかではいられないだろう。

 当然僕はマリアンナちゃんのことをそんな風には見ていないから心配する必要はないんだけど、そういう問題じゃないんだろう。


「僕はシャル以外に浮気なんてしないから安心してほしい」


「……? そのことは心配していないですけど」


 あれぇ? じゃあなんでマリアンナちゃんも一緒に行くか聞いたの?

 何だろう、浮気なんてしないと信用されていると考えるべきなんだろうけど、浮気なんてする度胸ないだろうしって聞こえないこともなかったり……。

 いや、シャルがそんなこと言うわけないんだけどさ!?


「私が回復の魔法が使えるという話をしたから、シャルちゃんはそうやって聞いたんだと思いますよ」


 そんなに顔に出ていたのか分からないけど、僕の考えていることを読んで答えてくれたマリアンナちゃん。


「戦争なんて危ないところに行くんですからできるだけ回復手段は多いに越したことはないじゃないですか。ポーション類も持って行ってもらいますからね」


「あぁ、そう言うことか」


 そういえば、僕ってオーダーの力で自動で傷とか治るんじゃなかったっけ?

 リジェネとか言った気がする。

 だから、放置しとけば多少の傷なら問題ないんだけど。

 まっ、かといってそのことをわざわざ言うのもやる気を出してくれてるマリアンナちゃんに失礼か……。


「心配してくれてありがとね」


「ただルイ君に怪我してほしくないだけですから、私のわがままなので気にしないでください」


 なんて良い子なんだ……。

 こんなこと言われたら自分の気持ちが抑えられなくなってしまう……。

 マリアンナちゃんがジッとこっちを見てるから気合で抑えますけど。

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