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【第七二話】

書き終われれば夕方頃にもう一本あげるかも……?

まぁ期待せずに待っててください。

 男爵たちを連れて屋敷に帰ってきた僕たちは、ひとまず疲れた体を休めるために睡眠をとることにした。

 結構な数の敵から男爵たちを守っていたモダンさんはもちろんのこと、凄まじい力を使ったマリアンナちゃんも相当に疲労がたまっているだろう。

 男爵に関しては言わずもがな、死ぬ直前まで行ったのだから疲れていないはずがない。

 念のため僕は周囲を警戒しておくけど、皇帝が出てきたからには残党がいたとしてもわざわざ僕たちのことを狙ってはこないだろう。

 捕まる可能性があるのなら一刻も早く他国なりに逃げたほうがいいだろうからね。


「それにしてもあの回復は……」


 僕はさっきのマリアンナちゃんの力を思い出す。

 膨大な魔力と引き換えではあるものの、瀕死の人間ですら回復することのできる力。

 僕が一人でも戦えるオールラウンダーだとすると、マリアンナちゃんはヒーラーだろう。

 もしかしたら歴史に登場する『聖女』にも匹敵するかもしれない強力な力だ。


「マリアンナちゃんの力があれば、より多くの人たちを救うことができるかもしれない」


 ぜひとも一緒に来てほしいところではあるが、男爵も言っていた通りそれはマリアンナちゃんが決めることだ。

 僕ができることは、マリアンナちゃんが安心してついてきてくれるような方法を考えること。


 今回の一件で、懸念の一つである伯爵は終わった。

 僕のことも平気でだましていたあの皇帝なら伯爵のこともしっかりと裁いてくれるだろう。

 男爵が回復したのを見届けてから一度帝都に戻って皇帝に話を聞こうと思っているから、その時にでも伯爵のことは聞こう。



 ***



「考え事?」


 突然後ろから声を掛けられ、驚いて振り向くとそこにはマリアンナちゃんが立っていた。

 どうやらいろいろと考え込んでいるうちにどうやら随分と時間が経っていたらしい。

 害意は感知できるけど、マリアンナちゃんからそんなものが出ているわけもなく、警戒していたにも関わらずここまで近づいてきても気付かなかった。


「あ、あぁ。これからのことを少し考えていたんだ」


「この後はどうするの?」


「男爵の様子を確認してから皇帝のところに行こうかと思ってるんだけど――」


 君にも来てほしい。そう言おうとしたところでふと気が付く。

 ここで僕がマリアンナちゃんを誘うのは果たして男爵家にとってどうなんだろうか、と。

 これだけの騒動が起きたにも関わらず、マリアンナちゃんの両親の話は出てこなかった。これだけあからさまに避けられては、さすがに何かあると気付く。もう亡くなっているのか、最悪の場合マリアンナちゃんが養子ってことも考えられる。男爵の病気が治ったとはいえ、跡取りなんかも考えないといけないだろう。危険な旅になることが分かり切っているのに、連れて行こうというのはいかがなものか。


「ん?」


「いや、皇帝のところに行く予定」


 結局ここでいうのはやめておく。すでに一緒に行きたいということは伝えてあるんだ。忘れているようならそれでもいいし、一緒に来てくれるというならまたその時に考えよう。

 未来の僕、任せたぞ。


「そっか……じゃあ急いで準備しないとだね」


「うん? そうだね?」


「お爺様の病気は完治してたし、私も急いで準備するからもう少しだけ待っててね、ルイスお兄様」


 やぁ、数秒前の僕。出番が早いぞ。

 確かに来てくれってお願いした時、マリアンナちゃんが答えるタイミングで伯爵たちが来たからもうマリアンナちゃんの中では答えが出ていたのかもしれないけど、思い切りが良すぎないか?

 いや! 一緒に来てくれるというならそれはありがたいんだけどさ、このくらいの子ってもう少し親に甘えたかったりするもんじゃないの? 女の子は精神的な成長が早いっていうけど本当なのか……。


「……じゃあほかの人たちが起きたらそのことも含めて話そうか」


 考えれば考えるほどにドツボにはまっていきそうだったので、男爵たちの意見も聞くことにしてこのことは後回しにした。



 ***



 それから約二時間ほど経っただろうか。

 十分休めたのか男爵たちが起きてきた。

 この二時間、僕はマリアンナちゃんにせがまれて今までの冒険? の話をした。

 勿論吸血鬼の里の話はぼかしながら話したが……。

 特にマリアンナちゃんが食いついてきたのはシャルの話だった。

 僕が爵位を手に入れるまでは仮だが一応婚約者ということになっている、と説明したら「ぜひ会いたい!」と目を輝かせながら言われた。

 あまりの勢いに断ることもできず、ついうなずいてしまったのだった。


 男爵たちに皇帝陛下に会いに行くことと、それにマリアンナちゃんも着いて行きたいと考えていることを伝えると、頭を下げて頼まれてしまった。


「マリーは小さなときに親を亡くし、わしが引き取って育てていたんじゃ。やはり本当の親でなかったせいか、マリーはどこか遠慮していてな……そんなマリーのわがまま、少しくらいは叶えてやりたいんじゃよ。だからどうか頼む! マリーも連れて行ってやってはくれんか!」


「……わかりました。マリアンナちゃんのことは僕が絶対に守ります。危険な旅になると思いますが、無事に連れて帰ってきます。ですから頭を上げてください」


 こうして僕は無事……と言って良いのかわからないが、マリアンナちゃんと一緒に冒険することが決まった。

次回か次次回辺りからまた少し話が動く予定です!



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