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【第六九話】

何とか書き終わった……。

できることなら明日は朝のうちから投稿できるようにしたいなぁ(白目)

 僕たちは地下から出てきて、男爵のいる部屋まで来ていた。

 龍が攻めてくることを話し、そのうえでマリアンナちゃんを旅に出してもらえるのか、それを聞くために。


「お爺様、今よろしいですか?」


 ノックをしてからマリアンナちゃんが尋ねた。

 中から片が返ってきたので、僕たちは中に入る。

 部屋の中では、大きなデスクに積み上げられた書類と格闘している男爵の姿があった。


「どうしたんだい……ッ! そ、その杖は!?」


 僕たちに部屋を訪ねた理由を聞こうとした男爵は、マリアンナちゃんの持つ杖を見つけてから、勢いよく椅子から立ち上がり、こちらに詰め寄ってきた。


「地下に封印されていた杖です。私が抜きました……」


「おぉ! ついに抜けるものが現れたのか! 初代ショペル様ただ一人にしか使うことのできなかったとされる伝説の神杖を……!」


「男爵、そのことでお話ししなければならないことがあるんです」


「な、なんだね?」


「この杖は――」


 僕が古代武器(アーティファクト)について説明しようとした瞬間、屋敷の扉が破壊される音が聞こえた。


「何事だ!」


 僕は咄嗟にオーダーに手をかけ、何が起こってもいいように構えた。

 それとほぼ同時にこの部屋の扉が破られ、フルプレートアーマーを身に着けた人たちが現れた。


「ショペル男爵! 貴方に国税の横領の罪で逮捕状が出されている! 直ちに帝都までご同行願おう!」


「何のことだ! わしは知らんぞ!? もう一度確認をしてくれ!」


 いきな屋敷に押しかけてきた人たちはこの国の法を司る役職の人たちらしく、男爵が税金を横領しているとの通報を受けて捕縛しに来たらしい。


 まだ少ししか一緒にいなかった僕ですら、男爵はそんなことをするような人じゃないってわかる。

 どちらかと言えば、その通報してきた人が怪しいように思えるんだけど……。


「あの、それって誰が横領してるって言ってきたんですか?」


「なんだ貴様は」


「僕はルイス・イングラムと言います。先日用事があって男爵家にやってきました」


「さては貴様か? 報告にあった金髪の男というのは」


 なんだ? 僕のことも一緒に通報されているのか?


「伯爵様に確認しろ。こいつがそうなら一緒に捕縛する!」


 正面の騎士がそう言いうと、騎士の一人が部屋から出て行った。

 それから少しして、出て行った騎士の人が戻ってくると、その後ろには昨日も見たあの男。

 ウルズ伯爵がいた。


「やぁ、平民よ。昨日はよくもやってくれたな。私の妻に来やすく触れおって……不敬罪だぞ?」


「妻……? 何のことでしょうか?」


「フン、所詮平民か。頭も悪いと来た」


 何だこのおっさん。

 伯爵だからって偉そうにして……。

 この場に僕一人だったら迷わず切り倒してたな。


「……で、質問の答えはなんですか」


「貴様の隣にいる、マリアンナ嬢が私の妻だッ!」


「その話は断っているじゃないですか!」


「黙れ! 貴様ら下級貴族に拒否権があると思っているのか!」


 自分勝手に喚き散らすウルズ伯爵の後ろで、別の騎士が網を引きずって部屋に入ってきた。


「隊長、別室にこんなものがいました。差し押さえますか?」


「ん? なんだそれは――」


 騎士が網に捕らえていたものを見た瞬間、僕は剣を振りかぶっていた。


「イデアに何してんだッ!!」


 網の持ち手部分を一閃。

 網が解け、拘束から逃れたイデアが僕のところに飛んできた。


「貴様! 相手は剣を抜いたぞ! 生死は問わん、身動きを封じろ!」


 何が起こったのか理解できていなかった男爵たちは、僕が何かやったと気付くや否や背中に背負っていた黒い槍を構えて突っ込んできた。


「骨の一、二本は我慢しろよ」


 僕はそれを極力殺さないように剣の腹で殴りつけることで無力化していく。

 一人二人と仲間がやられていくのを見て、隊長と呼ばれていた男とウルズ伯爵は不利だと悟ったのか、逃げ出していった。



 ***



「一体何だったんだ……」


 逃げ出した奴らを追いかけたが逃してしまい、仕方ないので屋敷に戻ってきた後、荒れてしまった部屋を少し片づけ、無力化した騎士たちを縛り上げてからさっきのことについて話し合うことになった。


「横領とか言ってましたけど、男爵はやってないですよね?」


「当たり前だ! あの男……マリーを手に入れるのに手段を択ばなくなったか……!」


「やっぱりですか……ウルズ伯爵の言い方的に罪を着せてきているのはなんとなくわかってましたけど。そうなると、あの騎士たちがどうしてあっちの味方をしているのかわからないですね」


「ウルズ伯爵はこの国の法を司っている騎士団、『法帝騎士団』のトップだ。よりにもよってな!」


 権力を持ってはいけない人間がとんでもない権力を持ってしまったわけだ。

 たとえるなら、分別の付かない赤子が人を裁く権利を得てしまったかのような。

 気に食わないことがあれば、すぐその権力でもってつぶしにかかると。


「どうにかならないんですかね……?」


「どうにかできるものならとっくにしているさ」


 僕が皇帝陛下に進言するっていう手もなくはないけど、あの女帝に借りを作るのは怖すぎる。

 できるなら最終手段にしたいところだが……。


「私が伯爵のところに嫁げばこういうことはなくなりますますか……?」


「……わからない。だが、あの男がここまでしてやめるなんてないと思うがな。何より大切なマリーをあんな男のところに嫁がせるわけにはいかん」


 マリアンナちゃんは、ずっと僕のマントの内側にいたせいで今まで気づかれていなかったイデアを抱いてうつむいている。

 抱かれているイデアは、マリアンナちゃんが落ち込んでいるのがわかっているのか、みゃーみゃー鳴いて励まして? いた。


「そういえば、あやつらが来る前に言いかけていたことは何なんだ?」


「あぁ……この杖のことで。僕の持っている剣もそうなんですけど……」


 男爵に古代武器のことを説明し、龍が攻めてくることも伝えた。

 そのうえで僕はその龍を何とかするために旅をしているということ、できることならマリアンナちゃんにも一緒についてきてほしいことを伝えた。


「ふむ……わしはいいと思う。が、それを最終的に決めるのはマリー本人だ。マリーはどうしたい?」


「私は……お爺様たちを守りたいです。でも、私が出て行ってしまったらウルズ伯爵が……」


 マリアンナちゃんの気持ちは分かった。

 どうしようもなければ逃げればいいのにっていうのは、やっぱり平民の考え方なんだろうか。

 貴族には貴族なりに責任なんかがあったりするんだろう。

 それをどうにか解決してあげないことにはマリアンナちゃんは心置きなく来ることができないと……。


「伯爵のこと、何とかできなくはないです」


「ほ、本当ですか!?」


「僕がこの家を知ることになったのは皇帝陛下から聞いたからです。今回のことを陛下に言えば多少は何か変わるかもしれないです、けど……」


 本当に頼りたくはない手だけどな。

 猫の手も借りたいなんて言葉があるけど、あの女帝の手は借りたくない。


「出てこい!!」


 僕たちが解決策を考えていると、屋敷の外からウルズ伯爵の声が聞こえてきた。

 どうやらまだ終わらないらしい……。

次回は明日です。

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