【第六三話】
すんません!
一話から読み返してみて「文、変じゃね……?」とか思ってたら一月近く経ってました!!!
決して原神にハマってたから更新が遅れたとかそういうことではないんです!
ホントなんです!信じてください!
「さぁ、着いたべ」
この飛行船に乗ってから四日間、特に大きな問題もなく無事にショペル男爵領に着くことが出来た。
イデアがベッドのシーツを破いて自分の寝床を作ったという小さなトラブルはあったものの、飛行型モンスターに襲撃されるなどの大きなものは何一つなかった。
おかげで暇を持て余していた僕は、最近疎かになりがちだったトレーニングを普段以上に念入りにやっていた。
筋肉トレーニングから素振り、キャメルさんに教わった型の練習などを一通りやって、それでも残った時間はイデアと遊んだり、オーダーと話をしたりして過ごしていた。
オーダーと話している中で少し興味深い情報があった。
もう少し落ち着いてから詳しく聞くけど、なかなか面白いというか男心をくすぐられるというか……とにかく気になる話だった。
そんなこんなでショペル男爵領にたどり着いた訳だが、見た感じでは、街並みに違いは少なそうだ。
帝都の方がやはり人は多かったけど、ここも十分すぎるほどに賑わってるし、問題のある街って感じはしない。
まだしっかりと見たわけじゃないからなんとも言えないところではあるけど、現状はこの地域の領主はいい人そうだって印象。
「じゃあルイス、わしらはもう行くでしっかりやるんだべ」
ここでドンさんたちとはお別れだ。
一緒にいて楽しかったぶん、余計に別れが辛く感じてしまう。
「はい……ここまでありがとうございました……!」
ドンさんは笑顔で別れを告げているのに、僕が辛そうな顔をする訳にはいかない。
寂しさなんかは押し込んで、僕も笑顔で感謝を伝えた。
それからドンさんたちは飛行船で帝都の方へと戻って行った。
***
いつまでもこの場に留まっている訳にもいかないので、早速ショペル男爵の家に行くことにした。
幸いまだ日は高いので今から行っても失礼になることはないと思う。
まぁ、アポイントを取ってないから追い返されるかもしれないけど一応皇帝陛下からの書状も預かってるしそれを出せばイケるんじゃないかな。
ひとまず領主邸の場所が分からないから、近場にあった謎の飲み物を売っている店に行き、店員さんに尋ねることに。
今まであまり気にしていなかったけど、メリアガルド大陸の通貨もこっちの大陸で問題なく使えるんだな……いや、本当に今更な話だけど。
銅貨一枚の飲み物(名前はアッポンティーと言うらしい)をひとつ購入すると、店員さんは快く教えてくれた。
僕みたいな一般人が領主の館になんの用かと怪しまれたけど、観光だと言って誤魔化した。
店員さんの話だと、現在地から真っ直ぐ行った突き当たりにあるでかい建物が領主の館らしい。
門のところに大きな銅像が二つ建っているから見ればすぐわかると言っていた。
僕はアッポンティーを飲みながら言われた通りに進んでみる。
道中色々な店が並んでおり、イデアの卵のような珍しいものでも売っていないか見てみたい気持ちに駆られたが、面倒事から先に片付けてしまおうと思い、断腸の思いで進んできた。
「お、これかな?」
真っ直ぐ歩いていくと、アッポンティーの店員さんが言っていた通り、門の所に二つの像が建っている大きな建物があった。
コウモリのような羽に長い尻尾、手には槍が握られている。
よく見ると、その像は昔話などに登場するガーゴイルのような形をしていた。
僕が小さい時に母さんに聞かされた話で、ガーゴイルは人の暮らしを支え、様々な厄から守ってくれたというものがある。
もしかしたら厄除けのためにガーゴイルの像を門に置いているのかもしれない。
「「ナンノ、ゴヨウデショウ」」
「うぇっ、なに!?」
どうやって中に入れてもらおうかともんに近づいた瞬間、ガーゴイル像から急に声が聞こえてきた。
というか、びっくりして見てみると、ガーゴイル像が喋っているようだった。
「ココハ、ショペルサマノ、ヤシキデス」
「ドノヨウナ、ゴヨウケンカ、オキカセクダサイ」
どんな原理で石で作られた像が喋るのか気になったけど、まずは質問に答えた方がいいと思い、口を開いた。
「古代武器を代々受け継いできた家だと聞いて力をお借りしたくやって来ました。皇帝陛下からの書状もあるので出来ればショペル男爵本人にお会いしたいのですが……」
「……カシコマリマシタ、タントウノモノガ、クルマデ、オマチクダサイ」
ガーゴイル像はそう言って喋らなくなってしまった。
……今なら少し触ったりしてみてもいいだろうか?
まさか本物のガーゴイルなんてことはないだろうし、何かしらの魔法で喋ってたんだろうけど、魔法が使えない身の僕としてはこういう珍しい魔法は調べてみたくなるんだが。
すこーし……ほんのちょびっと、先っぽだけ——
「お待たせ致しました、旦那様に御用とのことですのでご案内させていただきます」
「ッ! っあ、え……あ、ありがとうございます!」
せ、セーフ! バレてない! バレてないって言うか触ってない!
なんなんだこの男性、こんな近くに来られるまで気配すら感じなかったぞ……!?
それにこの身のこなし……強いッ!
まぁ、他人の強さとか分からないですけど。
そうして男性に連れられて屋敷の門をくぐると、庭を歩いている途中、急に歩を止めてこっちを振り返った。
「挨拶が遅れました。わたくし旦那様に仕えさせて頂いております、モダンと申します。以後お見知りおきを」
「こちらこそ挨拶もせずにすみません。ルイス・イングラムと言います。モダンさん、よろしくお願いします」
「ルイス様ですね。旦那様に御用との事でしたが、先に申し上げておかなければならないことがあります。旦那様は御歳九〇歳とご高齢です。そのため今は日々のほとんどをベッドの上でお過ごしになられています。今もそれは変わらず、眠ってらっしゃいます。お声がけしてみますがもし目が覚めないようであれば、また日を改めてお願いすることになるかと思いますがよろしいでしょうか?」
「こちらがお願いする立場であるのに無理を言う訳にはいきません。僕はそれで大丈夫です」
「ありがとうございます。それでは向かいましょうか」
思わず大丈夫って言ったけど、全然大丈夫じゃなくない?
龍との戦いに力を貸してほしいって言う話をしに来たのにまさかの歳だった。
その歳の人を龍との戦いに誘ったら自殺を強要するみたいじゃないか?
みたいというよりそのまんま強要してると思うんだけどさ。
え? どうすればいいの? 杖だけ貸してもらって使える人を他に探す?
モダンさんと男爵の眠る寝室に行く間、ずっとそんなことを考え続けていたのだった。
次回は早めに出せたらいいなぁ……(遠い目)
評価や感想、ブクマなどして頂けると支えになるのでぜひよろしくお願いします。
下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けるとモチベーションが上がります!
誤字などあれば報告お願いします!