【第六二話】
期間が空いてしまい申し訳ありません!
次回はもう少し早く投稿できるかと思います。
「この飛行船を浮かしている方法が知りたいだか?」
「はい。最初にこの飛行船を見た時に、緑色に光っていたのはわかったんですけど、あれが魔法なのかなんなのか知りたいなって思って」
「おー、なら行くべ。この船の動力源に」
そうしてドンさんに連れられ関係者以外立ち入り禁止と書かれた場所を通って、下へと続く階段を下りると、大きな扉があった。
ここまではドアに施錠もされていなかったが、この扉にだけ厳重に鍵がかけられていた。
さっきのドンさんの言葉からすると、この先に船の動力源があるのだろう。
ドンさんが扉にかけられた鍵に手をかざすと、鍵はひとりでに外れ、扉が開いた。
「本来なら整備士か船長であるわしくらいしか入れない部屋なんだけんども、女王陛下からの紹介だってこともあるし、わし自身ルイスは信用できると思ったからここに連れてきたんだべ」
その部屋に入った瞬間、空気が重くなったように感じた。
部屋の中心には不思議な形をした金属? のような石のようなものが宙に浮いていた。
不思議な形と言ったのも、言葉で表現するのが難しい複雑な形をしていたからだ。
「あれがこの船の動力源である、風の魔晶石だべ」
「風の魔晶石……」
「んだ、討伐指定レベルがIV以上のモンスターの体内から出てくる特殊な鉱石だべ。この魔晶石含め、一般的には竜のものが使われているだ。あいつら最下級でも魔晶石持ちだから」
……竜か。
僕の村を滅ぼしたあの竜は、一体どのくらいの強さなんだろう。
今の僕で倒せるんだろうか。
いくら母さんたちに復讐に囚われるな、幸せになれって言われても、いざあの竜が目の前に現れたらきっと冷静では居られないだろうな。
「……あの不思議な形って元々なんですか?」
暗い感情が湧き上がってきたのを誤魔化すように、僕はドンさんに質問をした。
「そうだべ。あの形は骸晶って言って、同じ形はひとつとして存在しないって話だ。元々は属性なんてもんはついてねぇエネルギーの塊なんだが、その時を骸骨水晶って言って、属性を付けて加工したものを魔晶石って言うんだべ」
なるほど。
骸骨水晶ね、もし手に入れたら売るだけで相当なお金になったりするだろうか。
「ついでに、骸骨水晶は武具にも加工できて、骸骨水晶で作ったものには特殊な効果が付与されることもあるって聞いただよ」
……お金も欲しいけど特殊な効果付きの装備ってのが気になる。
売るか加工してもらうか迷うなぁ。
まぁ、まだ手に入れてすらいないんですけど。
ドンさんは「つっても指定レベルIV以上のモンスターなんてそうそう出るもんでもないんだけどな」と付け加えて笑った。
たしかにそんなに頻繁に竜とか出てこられても困るけど。
「こうして飛行船ができてるってことは、この魔晶石を安定して手に入れることができるってことですよね」
「んだな、帝国の冒険者はみんな強いべ。おかげでわしらはモンスターの恐怖に怯えず生活できると思うと、冒険者さまさまだべな」
冒険者ね。
各国を旅することを考えるとやっぱり僕も冒険者になるのが一番いいのかなぁ。聞いた話だと冒険者として登録しておくと普通にモンスターの死骸を買い取ってもらうより少し高めに買い取って貰えるってことだし。
依頼みたいなのもあるらしいけど、そっちは受けられたら受ける程度で。
それに、そういう所ならあの竜の情報もあるかもしれないし。
「まぁルイスの知りたがってた、この船が魔法で浮いているのかって話は半分正解で半分不正解ってところだな。魔法の力を使っていることにはいるけんど、主なエネルギーは魔晶石からだもんで」
「そうですね。詳しく教えてくれてありがとうございます。珍しいものが見れました」
「いいんだべ。満足したなら戻るか?」
「はい。あまりドンさんを引き止めておくのも仕事の邪魔になりそうですし、戻りましょうか」
そういえば、オーダーも特殊な効果が付いているけど、もしかして骸骨水晶からできていたりするんだろうか。
特殊な効果ってのがどの程度のものなのか分からないからなんとも言えないけど、後で本人? 本剣? に聞いてみよう。
***
ドンさんとの話も一区切りついたので、僕は部屋に戻ってきた。
扉を閉めると、今まで大人しくしていたイデアが急に鳴き始めた。
「どうしたの?」
「みゃ、みゃみゃみゃ! みゃあ!」
「……なるほど」
ジェスチャーも交えながら何かを伝えようとしてくるイデア。
何を言っているのかは理解出来てないけど、何となく動きでお腹がすいたのかなっていうのは伝わった。
さっき卵の殻を食べたばかりと思っていたけど、そういえば赤ちゃんって一、二時間置きにご飯をあげないといけないって前に聞いたことがある。
イデアも産まれたての赤ちゃんだし、そのくらいの頻度でご飯をあげるべきなんだろう。
大した予備知識もなくイデアを育てるとか考えてたけど、もしイデアがここまで知性が高くなくて自分でお腹がすいたことを伝えられなかったら餓死させてしまっていたかもしれない。
ショペル男爵領に着いたらそういう子育てとかも調べよう。
現状最優先で知らないといけないのは、イデアが何を食べるのかってことなんだよね。
見た目ライオンだし、肉とか食べるんだろうか?
でもそれで言うと足とか鳥っぽいから豆とか野菜とかを食べる可能性もあるし……。
あっ、ならとりあえず色々用意してみて好きに食べて貰えばいいんじゃないか?
ひとまず肉と野菜は今持ってるのがあるからそれをあげればいいとして、豆とかはこの飛行船の厨房に行けば分けてもられるだろうか。
まぁ、まずは持ってるものをあげてみてからだな。
「イデア、食べれるものは食べていいよ」
小さく切った肉と野菜を別々の小皿に盛り付けて出してあげると、イデアは真っ先に肉の方に飛びついた。
そのままムシャムシャと肉を頬張り、肉を食べ終わると今度は野菜を食べ始めた。
「あれ? もしかして雑食なの?」
「みゃあ?」
僕が聞くと、「そうだけど?」みたいな顔で返事をしてきた。
それからまたすぐに野菜を食べる方に集中しだした。
僕はそんなイデアを見て、ほっこりした気持ちになるのだった。
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