【第六一話】
期間が空いてしまい大変申し訳ありませんでした。
イデアが孵化してから何が出来るのか検証していた。
その中で驚いたことがいくつかあって、一つ目にイデアは翼を持ってはいるがまだ生まれたてということもあり空を飛ぶことは出来ない。翼を動かすことは出来てもはばたくことは出来ずこれから成長とともに飛べるようになるのではないかと予想している。
二つ目に、イデアはこの見た目の割にモンスターではなくどちらかと言うと動物になるらしい。この『らしい』というのはオーダーがそう言っていたからだ。生物の名前としてはグリフィンガルというらしく、空の王者でお馴染みのグリフォンの遠い親戚の様なものとのこと。グリフォンは風属性の魔法に適性があるのに対し、グリフィンガルは火属性の魔法に適性があるらしい。
三つ目に、イデアが特別優秀なのかそれとも種族としてそうなのかは分からないが、この子はとても優秀で生後数時間だと言うにも関わらず僕の言葉をしっかりと理解しており、して欲しいことを言えばやってくれる。
「みゃ! みゃ! みゃ!」
そしてそんなイデアは今、僕の目の前で三つのボールをジャグリングしている。
なぜこんなことになっているのかと言うと、僕が「なにか出来ることはある?」と聞くと色々とやり始め、初めはお手や伏せをしていたが途中からバク転やブレイクダンスをし始めた。そして現在のジャグリングに行き着くと。
「イデア、そのくらいでいいよ。色々してくれてありがとね」
「みゃ!」
僕がそう言うと、イデアはジャグリングしていたボールをその場に置いて僕の座っている膝の上に飛び乗ってきた。
そのまま手に頭を擦り付けて来たので、モフモフのたてがみを撫でまくる。
「おぉ、よしよし。可愛いなぁ!」
「みゃ……みゃぁ……」
「ここか? ここがいいのか? ほれほれ、気持ちいいじゃろ」
「ふみゃぁ……」
僕がイデアの全身を撫でくりまわしていると、イデアは余程気持ちよかったのかいつの間にやら眠ってしまっていた。
「寝ちゃったか……まぁ、ちょうどいいし船の中を見回ってみようかな」
イデアのご飯がなんなのかもわかっていない状況だし、オーダーもそこまでは分からないと言っていた。
この子が眠ってしまった現状できることといえばそれくらいしかないだろう。
そうと決まれば即行動。
僕はイデアを抱きかかえて部屋を出た。
ひとまず確実に誰かいるであろう甲板を目指してみる。
船内が複雑な構造になっていたせいで、随分と迷ったけれど何とか外に出ることが出来た。
甲板に出ると初めに僕に話しかけてきた男性がいた。
「お? ルイスでねぇか、何かあっただ?」
「どうも。特に何かあったって訳じゃないんですけどね、暇だったんで船の中を探検しようかと思いまして」
「なるほどな、ならわしも暇だったで案内してやろうか?」
「いいんですか?」
「おう。っと、そういえばまだ名乗ってなかっただな。わしの名前はドン・ペリーだ。この船の船長をやっとる、よろしく」
「ドンさんですね、よろしくお願いします」
僕はドンさんが出てきた手を握り返した。
ずっと剣を振ってた僕よりも、その手にはタコができていて、ゴツゴツとした手をしていた。
「それじゃあ早速……と言いたいところなんだが、その手に持ってる生き物はなんだべ? 乗る時にはおらんかったはずだけんども」
「えーっと、この子はですねぇ……」
どうしよう。見た目ではモンスターって分からないから持ってた卵が孵って生まれた子ライオンってことにしてしまうか。
でも、もしイデアが起きて翼を動かしちゃった時のことを考えると、正直に話してしまった方が安心はできるよね。
問題なのはイデアがモンスターってことなんだけど、もしドンさんがモンスター嫌いとかだと困ったことになるんだよなぁ。
「……名前はイデアって言うんですけど、実はグリフィンガルなんです。一般的にはモンスターに部類されるんですけど、この子は大人しくていい子なので嫌わないであげてください」
迷いに迷った結果、やはり正直に話してしまうことにした。
早いうちからモンスターということを知らせておいた方が、大きくなった時とかにイデアも過ごしやすいだろうし、何より仲良くなった人に隠し事はあまりしたくない。
「グリフィンガルっつうと、グリフォンの変異種だったっけか? 良くもまぁそんな珍しいもんペットにしとるだな」
「この後が生まれてきたのは本当に偶然なんですけどね。初めは見た目のせいでキメラかと勘違いしましたよ」
「んだな、わしも飛行船なんてもん乗っとるとグリフォンに襲われることも度々あるんだが、新人乗組員だとかグリフォンを見たことがないやつは決まって『キメラが襲ってきた』って報告してくるだ」
誤報告にも程がある。
まぁ、もし僕もそんな状況に陥ったらキメラだァ! って叫ぶんだろうけど。
やっぱり正しい知識って大切だね。
「見てる限りじゃ、ルイスの言う通り大人しそうだでわしからは何も言わん。もし船の中で暴れられるようなら考えにゃならんけどな」
「そこら辺よく言いつけておきます」
「頼むだよ。さて、話もまとまったで気を取り直して船の案内をするだ。何か知りたいこととか、行きたい場所があれば言ってくんろ」
「じゃあ——」
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