【第五八話】
なんかセンシティブっぽい表現になったかもしれないので、何か言われたら書き直します。
「私の願いは、その逞しい筋肉を触らせて貰うことだッ!」
「へ……?」
この人は一体なにをいってるんだろう?
筋肉?
いや、別にそれだけでいいって言うならいくらでも触ってもらってもいいんだけど……なんか怖くない?
「さぁ! 今すぐに上を脱ぐがいい! そして私の前にその筋肉を晒せ!」
「えっと……分かりましたけど……」
僕は言わた通り上の服を脱いでいく。
陛下に凝視されながら服を脱ぐってどんな状況だと思わなくもないが、それが条件だと言うのだから僕は従うしかない。
「ふ、ふぉぉおおおお!!」
僕が脱ぎ終わると同時に陛下は謎の奇声を上げながら体をくねらせていた。
いやもうほんとに、さっきまでの威厳とかみんな消え去ったけど……むしろさっきの陛下と今の陛下は別人なんじゃないかとすら思う。
「さ、触ってもいいか……?」
「……少しだけなら」
僕がそう答えると、陛下はゆっくりと僕の腕に手を伸ばし、触り始めた。
握ったり摩ったりと、若干くすぐったいけど我慢して耐える。
それから約十分、ずっと腕を触られ続けていたのだった。
***
「あの、そろそろいいんじゃないですか?」
「はぁ……はぁ……ふへ、ふへへへ」
「…………」
ダメだこれは聞いてない。
顔を真っ赤にしながら変な笑いを時々漏らし、僕の腕を触り続けている。
「陛下!」
「ふぁい! なんだ!?」
「もうそろそろ終わりでもいいですか?」
僕がそう聞くと、この世の終わりかのような絶望的な顔をし、すがりついてくる。
その時ちゃっかり腕を撫で回したのを僕は見逃さないからな。
「まっ、待ってくれ! あとはその腹筋だけ! 腹筋だけ触らしてくれ!」
「えぇ……まだ触るんですか?」
「不満なのか!? くっ……ならしょうがない。私も脱ごうではないか! お前も私の好きなところを触るがいい!」
は? チョットマテ。
言いながら陛下は自分のドレスを脱ぎ始めた。
背中のファスナーを器用に自分で下ろすと、そのままスっとドレスが落ちていき……
「まてまてまてまて! ダメでしょう!? 何いきなり脱ぎ出してるんですか!?」
「なんだ、うるさいぞ? なに、心配するな……私はノーブラ派だ」
「いや! そんなこと聞いてるわけじゃないですけど!?」
「じゃあ何が不満だと言うんだ! 自分で言うのもなんだが、私は美しい方だと思うぞ?」
た、確かに。歳は分からないけど、顔は言わずもがな十分に美人だし、肌も白くて綺麗だ。
まぁ問題はそこじゃないんだけどね?
「ぼ、僕にはもう恋人がいるんで! こういうことは不誠実だと思うんです!」
「そんなことでグチグチ言っていたのか。気にするな、他言はしないぞ」
「いやだからそういうことじゃないんですよ! 陛下だってこんな見ず知らずの男にいきなり肌を晒すのは良くないですよね!?」
「む……確かにまずいか」
「ほら、ならドレスを着ましょう、僕は見てないですから!」
本当はちょっとだけ見ちゃったけどそれは言わなきゃいい話だし、貴族とか王族とかってそういう所って厳しいものなんじゃなかったっけ?
結婚前に肌を晒すのは良くないとか、そんな考え方だった気がするんだけど。
「そうだな、ならお前が私とも結婚すればいいのではないか?」
「うぇ!? 何言ってるんですか!? 重婚なんてダメに決まってるじゃないですか!」
「お前こそなにを言ってるんだ? お前の目の前にいるのは誰だ? 私はこの国のトップだぞ? つまり私が法だ!」
「なっ……」
なんだその暴論!
ダメに決まってんだろモラル的に!
なんかこの人どんどん考え方がぶっ飛んでいってないか?
つまり私が法だ! じゃないよ? あなたが許しても他の人が許さないだろうよ。
「そ、そもそも! 筋肉のことだって僕じゃなくても他に人はいなかったんですか?」
「男なら騎士団に行けばいくらでもいるだろう。だが、それだと問題になるんだよ。我が騎士団は大体が貴族階級の男たちだ。もし皇帝である私がそんな男とこんなことをしてみろ!他の貴族から批判が殺到するぞ」
「だからって……」
「まぁ、そこまで嫌がるのならしょうがない。今回は諦めてやる。ただし、最後に私を抱きしめてもらおうか!」
「くっ……最後の最後で爆弾を投下してきましたね……本当にこれで終わりですからね!」
「約束は守ろう、さぁ! ガシッと! 来い!」
「……行きます」
「おほぉ! 大きいのぉ!」
苦しくない程度に陛下をギュッと抱きしめた。すると何故か陛下も僕の首に腕を回してくる!
陛下は変な声を出しながらビクビクと震えていたけど、ちょっとよく分からないから無視する。
僕の胸元に柔らかい感触があるけど、意識しないようにしつつ、終わるその時を待ち続けた。
「はぁ……ふぅ。……うむ、大変良かったぞ」
「そ、そうですか……」
「ショペル男爵への紹介状はしっかりと書こう。だから……また来い」
最後の部分を耳元で囁き、陛下は部屋を出ていった。
僕はやっと開放されたという気持ちから脱力してしまい、少しの間そこから動けなかった。
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