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【第五六話】

「さて、今日はどうしよっかな……」


 やることと言うか、できることはここら辺をブラブラして見て回ることくらいだけど。試しに一回皇帝の住んでる宮廷へ行ってみるのもいいかもしれない。

 朝食は済ましてあるから面白そうなものでも探しに行こうかな。図書館とかあればエレチナとはまた違った本があって面白いかもしれない。まぁ、どこにあるか分からないから行かない可能性もあるんだけど……。


 そんなことを考えながら道を歩いていると、黒ずくめの怪しげな二人組がこっちに近づいてきているのに気づいた。

 こんな朝っぱらから黒のコートにフードを被って、顔を仮面? のようなもので隠している人。怪しくないと言えるだろうか、いいや言えない!

 できるだけ近づかんどこうと思って道の端を歩くが、二人組はどんどんと僕の方に歩いてきていた。


「ん……? なんかこっち来てる? 気のせい?」


 歩くスピードを早めて急いですれ違おうとすると、二人組も足を早めて僕に接近してくる。


 いやこれ気のせいじゃないな。なんか追われるようなことしたっけ? 初めてこの大陸来たし、なんなら昨日来たばかりでまだ何もしてないんだけどなぁ。……なんか『まだ』って言うとこれから何かするみたいな感じだけど。しないよ?


 なんて呑気に考えていたせいか、僕は二人組に腕をガシッと掴まれてしまった。


「——ッ!?」


 咄嗟に振り払おうとするけど、腕を強く抱きしれまれてしまい、逃げ出すことは出来なくなってしまった……。

 そしてそのまま僕は裏路地に引きずられて行くのだった。



 ***



「えっと、そろそろ離してもらえません?」


「……そうですね。ここら辺でいいでしょう」


「……はい。ここならそうそう人も来ませんし」


 聞こえてきたのはハイトーンボイス。

 腕を組まれた時点でわかってはいたけど、両方とも女性だ。

 こんな怪しさ満点の女性二人に捕まるとか、それこそ訳が分からないんだけど。とりあえず状況の説明をして欲しかったりする。


「初めまして。私の名前はアイリス。陛下の命によってルイス様、あなたをお連れするようにと参りました」


「同じく、陛下の命を授かり参りました。フェリシアと言います。以後お見知りおきを」


「ご丁寧にどうも……。ご存知かもしれませんが、僕はルイス・イングラムです。よろしくお願いします」


 アイリスさんとフェリシアさんはフードを脱ぎ、仮面を外した。

 アイリスさんは茶髪で、僕よりは年上っぽい。顔はキリッとしておりできる女性、という感じだ。

 フェリシアさんは金髪で同じく僕より年上っぽい。タレ目で目じりのホクロが魅力的な女性だった。

 見た目の通り、アイリスさんはハキハキとした喋り方で、フェリシアさんはおっとりしている。


 さっきの自己紹介の中に、陛下、という単語が二人から出てきたけどそれはもしかして皇帝陛下のことですかね?

 もしかして初めっからクライマックスだったり?

 なんかもうちょっと色々なところを見て回ったりさ、情報を集めて皇帝陛下に会えるとかそういうのかと思ってたのに、帝国にやってきてそうそうにお付の人が現れるってどういうことよ……。

 いやね? 早いに越したことはないんだけれども。なんで僕がやってきたことを知っているのかとか、案内の二人が怪しすぎるとか、疑問はいくつかあるけど全部置いといてさ。

 モヤモヤするけどとりあえず二人に連れて行って貰うのが先決だってことは分かるんだよね。


「それでは宮廷へ向かいましょうか」


 そう言って二人はまた仮面とフードを被り直した。


「あの、それってなんのためにしてるんですか?」


「目立たないためです。私たちは陛下の護衛も兼ねていますので、今現在陛下の近くに護衛がいないことが知られると問題ですので」


「そ、そうですか……とても言い難いんですけど、そっちの姿の方が目立ってると思うんですけど」


「…………そんな気はしてたんですよ。朝からこんな格好していたら余計に目立つのではないかとッ! でもフェリシアが、『こういうのは雰囲気で何とかなるわ』って言うから!」


「あら? でもアイリスだってノリノリで仮面を用意してたじゃない?」


「ぐぅっ、それはそうですけど……!」


 なんか二人が言い争い始めたんだけど。もしかして地雷踏んだ?

 早いところ宮廷に行って皇帝陛下に話聞きたいんだけどなぁ。


「そもそもアイリスが用意した仮面は、一定以上の魔力を持った人にしたちゃんと認識されないってものだったでしょう? だとしたら目立たないじゃない」


「はっ! たしかに!」


 ……それなら尚更黒い格好する必要もなかったのでは、とか思ったけど絶対言わない。

 余計にめんどくさいことになりそうだから。何がなんでも言わないからな。

 ちょうど上手くまとまってきたところなんだから、わざわざもう一度かき乱す必要もないし!


「んっん、お見苦しいところを失礼しました……。すぐに宮廷にご案内します」


「あっ、はい。オネガイシマス」


 そうして怪しい二人組あらため、皇帝陛下のお付き人アイリスさんとフェリシアさんに連れられ、宮廷に向かった。


 ちなみに二人の格好は来た時と同じだった。

 あれ……? さっきの言い合いの意味は……?

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