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【第五四話】

ちょっと少ないかも?

「諸君! よく集まってくれた!」


 戦士さんに連れていかれるまま会議室にやってくると、どうやら僕達が最後だったようで作戦会議が開始された。

 今回話し合うのは即席でのパーティによる連携と役割分担を決めるためとのことだ。来るまでに戦士さんに聞いていた前衛はウミヘビ討伐、後衛が大ウミヘビに攻撃という形をどうとるか、それらを念入りに話し合っていく。


 念入りにと言っても、大ウミヘビが来るまでそう時間もないので、大切なことだけ決めてしまえばあとは臨機応変に、というスタイルだ。


「現れたぞ! A班は詠唱を開始! ウミヘビが現れるからそれらを前衛で食い止めろ!」


 指揮を執るのはベテラン冒険者だというアルバロッサさん。見た目は戦いとは無縁そうな好々爺だが、一度剣を握ると鬼神のような戦いをするという。

 アルバロッサさんの言うA班とは魔法使い部隊を二つに分けたもののことで、片方が詠唱中にもう片方が魔法を放つ、という戦術をとることで大ウミヘビに攻撃の隙を与えず、一方的に攻撃することができる。


 僕は前衛として、甲板に這い登ってきたウミヘビ達を斬り倒していく。こいつら数は多いけど、一匹一匹はそんなに強くないので噛みつかれないように注意すれば全然対処出来るレベルだった。


「放てッ!」


 アルバロッサさんの声の後、閃光と爆発音。総勢十人ほどの魔法が一斉に大ウミヘビを襲った。爆煙が上がり大ウミヘビの姿は見えないが、ダメージにはなっていると確信しつつウミヘビの処理を行っていった。


 煙が晴れ、大ウミヘビが姿を現すと表面からは血を流しており、着実にダメージを与えていることが伺えた。それと同時に魔法使い部隊の第二射。立て続けに起こる爆発で大ウミヘビの巨体が倒れた。大きな水しぶきを上げながら海に沈んでいく大ウミヘビを見てもアルバロッサさんの顔は優れなかった。


 ウミヘビを斬り殺しながら、海を見つめて魔法使い部隊に詠唱の合図を送る。それと同時に海に巨大な水柱が立ち上り、さっきよりも大量の血を流す大ウミヘビが出現した。


「第三射発射後、雷魔法が使えるものは最大火力のものを詠唱、私の合図で一斉に打ち込め! A班、第三射——放てッ!」


 数々の魔法が大ウミヘビを襲い、もう既に大ウミヘビは瀕死の状態だった。しかし手負いの獣とは誰が言った言葉だっただろうか……なんと大ウミヘビが大きな口を開けて船に突っ込んで来た。


「B班! 雷魔法放て!」


 と、そこで詠唱を指示していたB班の雷魔法を大ウミヘビに発射。着弾とともに大ウミヘビの絶叫が響き渡った。船に向かってきていた体は勢いを無くし、そのまま海に沈んでいった。それを見て、アルバロッサさんは剣を掲げ叫ぶ。


「我々の勝利だ!」



 ***



 無事に大ウミヘビ討伐が終わり、僕は部屋に戻ってきていた。今回のことで集団戦の強さを知ったし、海での戦い方もわかった。もちろんこれが全てではないだろうけど、今の僕からしたら十分な内容だった。特にアルバロッサさん、あの人は誰よりも多くウミヘビを倒しながら戦況もしっかりと確認しており、冷静に各部隊へ指示を出していた。正確無比な状況判断とそれをしっかりと伝えられるカリスマ性。今の僕に足りないのはこれらだと思う。


 甲板に転がるウミヘビの死体は乗船員の人たちが片付けをしてくれるそうで、服に着いた血や海水で濡れた体をしっかりと洗って休んで欲しいとの事だった。と言ってもほぼ魔法使いの人達が活躍して、僕は海からでてきたウミヘビを倒していただけに過ぎないから、ウミヘビの処理を手伝おうとしたが、何故か無理やり部屋に帰されてしまった。


「いや……でも、それしてもアルバロッサさん凄かったな……」


 ああいう人が龍との戦いで味方になってくれると心強いんだけどな、なんて思いながらオーダーと謎の卵を拭いていく。卵に関しては、特に服必要性も感じられないが何となくそこにあったから拭いていた。


 ここで拭いていて初めて気づいたんだけど、この卵外からコンコンと叩くと中からも微妙な振動が返ってくるのだ。これはもう中ではちゃんと成長していて返事してくれているということではなかろうか?

 一瞬叩き割ったら中からちゃんと出てくるのでは、などという恐ろしい考えが浮かんだが、まだしっかりと体が形成されていなかった場合惨事なんて言葉で表せないような状態になるので、自然に産まれてくるのを待つことに。この卵が孵るのもそう遠くないと思う。

次回から帝国に着きます。

今よりも少し話は長くなる予定なので楽しんで頂けたらいいなと思っています!


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