【第四六話】
今回は少しだけ少なめです。
「私の特殊能力、とでも言いましょうか。読み師という職業は言うなれば占い師の上位互換です。読み師は読んで字のごとく、物事を読み取る者のことです。私は世界の流れを読むことで、今後どのようなことが起こるのかを知ることができます」
世界の流れを読む。
もしもそんなことが可能ならば、それはとてつもなく強力な力なのではないだろうか。
予想ではなく予知。
可能性ではなく確定した未来を読める力。
今回では今後何が起こるかを読んだだけだが、例えば戦闘中……相手の心が読めるとなればどれだけ有利に立ち回れるだろう。
「それは……とてつもない力ですね……」
「そうですね。私もそう思います。ですから、私はこの力を自分のためではなく人のために使いたいと、この仕事に就いたんです」
そう言って、ウナさんはお茶を一口飲んで喉を潤した。
「さて、私の力について理解して貰えたところで、今回お呼びした理由を話しましょう。ルイス様は何故か知っているようですが、これから約二年後、アヴァリスに厄災が現れます。厄災は過去に幾度となく現れ、多くの人々を殺しました」
厄災……龍のことだろうな。
僕がキャメルさん達から聞いていたのは過去の一回だけだったが、それよりも前から龍は人々を襲っていたのか。
「ある時、龍に対抗するために四つの武器が作られました。ルイス様は『ヒヒイロカネ』という金属を知っていますか?」
「ヒヒイロカネ? わからないですね」
「遥か昔に存在したとされている神の金属です。当時作られた四つの武器たちは、この金属を使っています。……ルイス様の持っているその剣、それが四つの武器の一つです」
どうしよ、オーダーと話して知ってたけど、いざこうして他人から言われるとめちゃめちゃプレッシャーになるな。
「四つ、と言ったようにあなたの他にあと三人、それぞれの武器に所有者が現れます。あなたにはぜひ、その三人と龍討伐戦で前線にたって頂きたいのです」
「……分かりました。僕でどれだけ力になれるか分かりませんが、頑張ります」
最初から決めていたことだ。
頼まれたからって、今更やめるつもりはサラサラない。
大切な人を守る。そのために強くなったんだからな。
「ありがとうございます、そう言っていただけて助かりました」
「うむ、話しはまとまったようだな。ウナ殿にはワシも助けられておる。今回のことも真実だとして備えよう。龍との戦いでは三万の兵を向かわせる」
エレチナの兵士は全部で五万と聞いたことがある。
そのうちの三万を龍討伐に向けるとは、それだけ本気だということが分かった。
「それでは、武器のある場所を伝えますね。所有者が現れる順番としては、杖、斧、槍の順番なので、その順番に向かって頂けると、上手く仲間を集められると思います」
それからウナさんは古代武器の封印されている場所を言っていった。
杖はゴルダンモア大陸の帝国。
斧はここ、メリアガルド大陸のマレガスト。
槍はアヴァリス大陸のどこか。
槍だけはどこにあるのか、詳しい場所まで分からなかったという。
僕はとりあえず、ゴルダンモアに渡って、杖の所有者を仲間に引き入れる。
帝国のほうには、王様から話をしておいてくれるそうなので、気にせず帝国に向かえばいいらしい。
「この短剣も渡しておこう。我が国との貿易国なら、この短剣を見せるだけで、協力してくれることだろう」
「ありがとうございます!」
「いや、ワシの方が感謝せねばならん。龍に対抗するには、お主等の力が必要じゃ。最も危険な場所に送り込まなければならぬ。本当に協力してくれてありがとう」
「大丈夫ですよ。僕も失いたくないものがあるんです。そんな龍になんて奪わせません。そのために戦うんです」
そうして、話し合いは終わった。
ウナさんに、王城の外で待っているように言われたけど、何の用なんだろうか?
王様がいる場所だと話せないないようなのかな?
まぁ、やることがはっきりわかったのは大きい。
最初の、信頼出来る味方を探すっていう大雑把な目標でなく、他の古代武器所有者を仲間にするっていう明確な目的ができた。
それだけで、ここに来たかいはあったと言えるだろう。
問題は、他の所有者たちがちゃんと協力してくれるのかってことなんだけど……。
そればかりはその時になってみないと分からないか。
僕は王城を出たところで、ウナさんを待ちながらそんなことを考えていた。
今回は区切りの良いところで切るために少しだけ短めです。次回からは押さもう少し長くなる予定なので、よろしくお願いします。
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