表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/94

【第四三話】

遅くなってしまい、すいませんでしたァ!!!


誤字があったので訂正を10/17

 あれから何事もなく、シャルと湯につかり風呂から上がった。

 僕は終始ドキドキしっぱなしで死にそうだったけど、恥ずかしそうにしながらも嬉しそうなシャルを見ていると何も何も言う気になれなかった。


「そういえばルイ君、髪伸びましたね」


 いつの間にか準備されていた服に着替え、髪を拭いているとシャルが唐突にそんなことを言ってきた。


「僕も切ろうかと思ってはいたんだけど、なんだかんだタイミングを逃しちゃってて……」


「そうですね、ルイ君の場合後ろはまとめて、前を目が出るくらいまで切ったらかっこいいと思いますよ。……あっ、もちろん今がかっこよくないと言ってるわけじゃないですからね? 今よりももっとかっこよくなると思うってことです」


 必死に僕にそういうシャルが可愛くて、ついこんなことを口走っていた。


「んー、じゃあ今いい感じに切ってもらってもいい?」


「えぇ!? 私が切るんですか!?」


「僕だとどんな感じにすればいいか分からないし……」


 なんならめんどくさいから短髪にしちゃおうかと思ってたくらいだからなぁ。

 シャルが僕に似合いそうな髪型があるって言うならそれにした方がいいだろう。


「え、えっと……それじゃあ切ります……」


「うん、よろしくね」


 突然始まった散髪だったけど、さすがは公爵家。

 シャルが一つ命じるとものの数十秒で散髪セットが準備された。

 僕は用意された椅子に座り、切った髪が服につかないようにする布を身につけた。


「い、行きます……!」


 僕の準備が整うと、シャルがハサミを持って僕の前に立った。

 そのまま震える手で僕の髪を真横に切り——


「待って!? そのまま行ったら僕の前髪パッツンになっちゃうよ!?」


「だ、だだだいじょうぶですよ! それが最近の流行りなんです!」


「絶対嘘だよね? パッツンの人とか街中で見たことないよ?」


「これから流行るんです、街の英雄がしている髪型が流行らないはずないんです!」


「落ち着け! 一回深呼吸してからよく考えるんだ! 確かにさっき『目が出るくらい』とは言ってたけど、さすがにパッツンは僕が嫌だ!」


「すぅー……はぁー……」


「どう? 落ち着いた?」


「はい……大丈夫です……。その、初めての事だったとはいえ取り乱してしまってすいません……」


 少しして落ち着いたのか、シャルは申し訳なさそうな顔をしながら謝ってきた。


「僕も急に頼んだのがいけなかったし、困らせちゃってごめんね?」


「いえ、私がもっと落ち着いていれば問題なかったんです……」


 僕が励まそうとすればするほどシャルは落ち込んでしまう。

 何とか元気になってもらおうと、褒めたりして何とかシャルが元気になったのはそれから十分後の事だった。



 ***



「……出来ました」


 落ち着いたシャルに散髪をお願いして、今終わったところだ。

 やったことは、前髪を少し切って邪魔にならない程度の長さにしたのと、後ろは長さをほとんど変えずに量を少し減らしたくらいだ。

 後ろはそのままにしておくと邪魔なので、ゴムでひとまとめにしてある。


 メイドさんが持ってきた鏡を見ると、そこには見違えるようにさっぱりした僕が写っていた。

 自分で言うのもどうかと思うけど、これならそこらの貴族だと思われても不思議じゃない気がする。

 気の所為かもしれないけど、そこはかとなく髪が柔らかくなっているような気さえしてくる。


「どうですか……?」


「思ったよりもサッパリしててびっくりしてる。でも、すごくいいと思うよ」


「良かったです。ルイ君の髪が固めだったので切っている途中何度か魔法を使って柔らかくしたんですけど、気に入って貰えたなら良かったです!」


 気の所為じゃなかった。

 シャルの魔法で長年悩み続けてきた剛毛とおさらばしてたみたいだ。


「その魔法ってどのくらい持つの?」


「えっと、使った魔法が【軟化(ソフト)】っていうものなんですけど、それとは反対の【硬化(ハード)】という魔法をかけ直さない限り柔らかいままだと思いますよ」


「おぉ……!」


 これは本当にあの硬い髪とお別れできるのか?

 髪硬いのってデメリットばかりだと思う。

 伸びてくるとヘルメットみたいになるし、かと言って切ったらその髪が指に刺さったりすることもあるし……。

 父さんの髪質を濃く受け継いじゃったから硬いんだけど、母さんみたいなサラッサラに昔から憧れてたんだよ。


「シャル、ありがとう……!」


「え、えっ……どうして泣いてるんですか……?」


「いいんだ、気にしないでくれ。ちょっと憧れと同じになれたのが嬉しかっただけだから」


「憧れ……?」


 それから僕は一通り髪を触って楽しんだ後、シャルの魔法で、切った髪を処分し、準備が出来ているという夕食を食べるために食堂に向かった。

 食堂にはもう既にアシュタルさんとハンリエッタさんが来ており、僕に気づいた二人は「随分と変わった」と言って、久しぶりの再会楽しんだ。



 ***



 夕食も食べ終わり、明日は早くから出発することを伝えると、ならばすぐにでも休んだ方がいいとシャルと一緒に部屋に戻されてしまった。


「もう休みになりますか?」


「ん?」


 シャルの部屋にて、ソファに座っていた僕は、シャルのその言葉に思わず聞き返してしまった。

 そしてよくよく考えてみて、理解した。


「あぁ、もう少し話していたくはあるけど、明日のことも考えるとそろそろ寝た方がいいかな」


「分かりました。それではこちらにどうぞ……」


 そう言ってシャルは僕の手を引いて先に進んでいく。


 僕がさっき勘違いしたのは、この部屋で「休むか」と聞かれたせいで.シャルと一緒に寝るのかと思ってしまったことだ。

 しかしよく考えてみると、前回僕が貸してもらった部屋がこの部屋の目の前だったことを思い出した。

 そしてそれを思い出してから、一緒に寝る、というのが盛大な勘違いだったということに気づき、恥ずかしくなった。


 シャルはそのまま今いる部屋を出て、前回と同じ部屋に……は行かずに、何故かそのままシャルの部屋のベッドに来てしまった。


「あれ、まさかだとは思うけど、僕ここで寝るの?」


「はい。そのまさかですよ?」


「そっか」


 シャルがさも当たり前のことを言うようにそう言い放ったので、僕もそうなんじゃないかと思えてきた。


「では……先に入っていただけるとありがたいんですけど……」


「あ、あぁ……それじゃあお先に失礼します」


 そうしてベッドに潜ってからふとおかしいことに気づいた。

 僕はなんで同じベッドで寝ているんだろうかと。

 しかし気づいた時にはもう遅く、シャルがベッドに入ってきてしまった。


「……あったかいですね」


「……そうだね」


 シャルの言う通り、暖かく、柔らかいものに包まれてすぐに眠気が襲ってきてそこで思考が途切れた。

 最後にシャルが何か言っていた気がしたけど、眠気が買ってしまい僕の意識は闇に飲まれていった。

今回から、活動報告って機能を使ってみてるんですけど、一体何が変わるんですかね?

何が変わったのかイマイチ分からないですけど、今後も活動報告していくので何か変われば嬉しいなぁと。


評価や感想、ブクマなどして頂けると支えになるのでぜひよろしくお願いします。

下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けるとモチベーションが上がります!

誤字などあれば報告お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ