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【第三一話】

随分と期間が空いてしまい、申し訳ありません!

次回くらいから少しずつ文字数も増やしていこうかと思っているので、気長にお待ちいただけるとありがたいです。

「よく来たな、お前さんがルイスだな」


 部屋の中には机と椅子があり、机の上には書類の山ができていた。

 そして、椅子には女性が座っている。

 僕はその女性の問に答える。


「はい、僕がルイス・イングラムです」


「そうかそうか、私も自己紹介をしておこう……私の名はキャメル・フリージアだ。吸血鬼の里の長をしている」


 そう言ってキャメルさんは手を差し出してきた。

 僕はキャメルさんの手を握り、がっちりと握手する。


「ふむ……聞いていた通り、まだまだ弱いな」


「え……?」


「まぁいい、それよりも説明が必要だろう。お前さんがどうしてこの里にいるのか……」


 キャメルさんが指を鳴らすと、何も無かったはずの場所に急にソファと机が現れた。

 僕がそれを驚いてみていると、「まぁ、座って話そう」と言われたので、ソファに腰を下ろす。


 と、そこでイーリスがいなくなっていることに気づいた。

 僕がキョロキョロと周りを探すが見つからない。


「イーリスなら、お前さんを連れてきて直ぐに出ていったぞ」


 すると、キャメルさんは僕がイーリスを探していることに気づいたのかそんなことを言ってくる。


「あ、そうなんですね」


 そんなに分かりやすかっただろうか、とそう思っているとキャメルさんが口を開いた。


「……さて、それでは色々と話していこうか」


「えっと……よろしくお願いします……?」


「うむ、まずは、お前さんの失っている記憶に関してだな。まぁ、正直言うと詳しいことはよく分からない。わかっていることと言えば、イーリスの血を飲んだことが原因だと言うことくらいだな。多分これも一時的なもので直に思い出せると思う」


 それから一呼吸置いて、続きを話始める。


「ここからが本題で、お前さんをこの吸血鬼の里に呼んだのには理由(わけ)がある。当然お前さん自身に関係のある事だが、もっといえばお前さんの持つその剣が一番関係している」


「はぁ……この剣が……」


「お前さんはその剣に関してどのくらい知っている?」


「この剣についてですか? 知っていることは……名前と、この剣を僕が抜いた意味くらいです」


 そうだ。

 何故か僕は知っている。

 どこで聞いたか、誰に聞いたかも思い出せないけど、確かに覚えている。


「ならお前さんが裁定者だということも知っているな? まぁ、たとえ知らなくともこれから私が詳しく説明する訳だが……」


「裁定者……」


 そんなようなことを聞いた気がするけど、なんだったっけ……?


「思い出せないなら無理する必要は無い。いつか思い出せることだ。今はとにかく私の話を聞け」


「えっと……はい」


「早速だが、裁定者が行わなければいけないことを教えよう。裁定者が現れるのは、この世界に侵略者(インベイダー)と呼ばれるもの達が現れるときだ。この侵略者(インベイダー)はここでは無い別の世界に住んでいて、数百年に一度この世界に侵攻してくる。私は初めの侵攻を経験しているが、あれはとても悲惨なものだった……」


 それからキャメルさんが話したのは想像を絶するほどの内容だった。


 キャメルさん曰く、遥か昔、いきなり空が割れそこから巨大な蛇のような生物が数多く現れ、地上を焼き払って行ったと言う。

 後に、その時に現れた静物は龍と呼ばれ、悪魔や神の使いと、様々な憶測が飛び交ったらしい。

 龍の攻撃は凄まじく、たった三日で二つの大陸が焦土と化した。

 その時に滅んだ種族もおり、代表的なのはとても器用で武具作りが得意なドワーフや、魔法に高い適性を持ち空気中の魔力を使用することで魔法を放つフェアリーなどらしい。


 そんな強力な龍を討伐、又は撃退するために、当時の人達が持てる力全てを注ぎ込み作り出したのが、四つの武器たちだった。

 そのうちの一つが、今僕が手にしている剣との事だ。


「あの時は全ての武器を使って何とか龍をたちを撃退することに成功した。だが、それからも数百年の間をあけ龍たちはこの世界を狙ってきているのだ」


「…………」


「怖気付いたか?」


「……そりゃあ勿論。でも、僕の大切な人たちを守るためなら頑張れる」


 龍とやらがどんな存在なのかは分からない。

 僕がどうにかしなくちゃいけないのなら……シャルたちを守れるのなら。

 もう二度と大切な人たちを失わないために、僕は戦う。


「覚悟は決まったか?」


「はい。僕は龍と戦います」


 キャメルさんの問に、はっきりとそう答える。

 すると、キャメルさんは顔を綻ばせ口を開いた。


「それなら明日からは修行をしないとだね」


「えっ……? 修行?」


「当たり前だろう、イーリスにも勝てないのに、龍に勝てるわけがないだろう。はっきり言ってしまえば、お前さんは弱い。人間の中でなら強い部類に入るのかもしれないが、相手は既に人間ではない。今のまま戦えば、一瞬で殺されるぞ」


「……そうですか」


「あぁ、お前さんの剣術は我流だろう? そのせいかまだまだ隙が多い。その剣だって、本来ならもっと多くの能力を保持しているはず。だが、何が原因かは分からないが、今解放されている能力は少ない」


「そこで修行ですか」


「そうだ。かと言って、龍が現れるまでそれほど時間もない……三年後には龍が現れる。その三年でお前さんには龍を倒せるくらいに強くなって貰う」


「なんで龍が現れるって分かるんですか……? いや、それよりも、僕は三年間ここで修行するんですか?」


「龍がいつ現れるのかを知っている理由は、私が特別だからだ。人間たちで言う超能力ってやつだな。私たち吸血鬼の長になる者は代々『過去未来を見る魔眼』を所持して生まれる。私はその魔眼の能力でいつ龍があられるのかを知ったということだ」


「へぇ……そんな魔眼なんてものが本当にあるんですね。物語の中だけの話しかと思ってました」


「多分人間の中にも、魔眼くらいなら持ってるやつはいるだろうけど……と、それよりも、二つ目の質問に答えよう。答えから言うと、お前さんは一年だけここで修行してもらう」


「あれ、じゃあ残りの二年はどうすれば?」


「今から説明するからそう焦るな。お前さんにはここで一年修行をして、龍を倒せるだけの力を身につけてもらう。これはさっき説明したからいいな? そして、残りの二年でお前さんは信頼出来る仲間を探すんだ」


「仲間?」


「仲間だ。まさか龍相手にお前さん一人で戦おうと考えていたわけじゃないだろう? もしそうだとしたらお前さんは相当バカだよ。最初に話したと思うが、龍は一体でも大陸を消し飛ばせるほど強力だ。軍が出たところで数秒と持たずに全滅させられるほどにね……。そんな存在をたった一人で倒せるやつなんか、それこそ神ぐらいだろうよ。まぁ、神なんて実在するのかすら怪しいもんだけどね」


 てっきり僕一人で龍を倒すものだとばかり思っていたけど……

 僕って相当なバカだったのか……

 ていうか、仲間を探すにしてもどうやって探したらいいんだろう。

 街とかに行って「僕と一緒に龍を討伐してくれる人はいませんか!」とでも叫べばいいんだろうか?


「まぁ、それよりも今はお前さん自身が強くなることが優先だけどね」


「そう……ですね」


 考えても仕方ないし、未来のことは未来の僕に任せよう。

 今はここで強くなることが最優先だ。


「修行は明日から始めるから、今日は里を見て回るなり、ゆっくり休むなりしておきな」


「はい!」


 勝てるかどうかはどうでもいい。

 勝たないと僕だけじゃなくて大切な人も失ってしまう。

 だったら勝てる、勝てないの話じゃなくて勝つんだ。

 そのために僕はここで修行をするんだから……

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[一言] 自らの意志が弱くないか? ドラゴンへの復讐か龍退治か爵位か 渋滞してる
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