【第二七話】
少しいつもより、文字数が少なくなっていますが、キリがいいので。
次回は少し長くなるかなって感じです!
「は……?」
戦って認めさせる?
僕が? イーリスと?
「いやいや、ちょっと待ってよ。さすがにこんなに小さな子と戦うなんて出来ないよ」
僕が、戦う意思がないことを伝えると、先程までの笑みが次第に消えていき、瞬きをした瞬間にはその場にいなかった。
「なっ! ——ッ!」
すぐにイーリスを探すと、後ろから何かが飛んできた。
僕がその場を飛び退くと、さっきまで僕が立っていた場所に氷の柱が突き刺さっていた。
「なんじゃ、せっかく妾が試してやると言っておるに、そんな態度でこられたら白けるじゃろ」
「……吸血鬼ってのはみんなこんなに好戦的なのかな?」
「どうじゃろうな。妾は吸血鬼の中でも若い方じゃから、多少血の気は多いかもしれんがの」
そう言いながら、イーリスは赤い瞳で僕のことを射るように見つめる。
「侮ってたことは謝るよ。イーリスの見た目で、戦えないなんて言ってごめん」
僕はそう謝ってから、剣を構える。
すると、一瞬ムッとした顔をした後に、すぐに口角を上げ楽しそうな顔で僕のことを見てくる。
その際に口の端から、鋭く尖った歯が覗いていたことから、やはりイーリスは吸血鬼なんだということを再確認した。
「まぁ、今はそれでいいのじゃ。そのうちそんな余裕もなくなるじゃろうから、なっ!」
イーリスは僕目掛けて、一直線に飛んでくる。
さっきは油断してたから見失ってしまったけれど、注意していれば何とか目で追える。
それでもギリギリってところなので、イーリスの速度が相当なものであることがわかる。
それを、僕は全力で横に飛ぶことで回避する。
「避けてばかりでは、妾には勝つことは出来ぬぞ!」
イーリスは避けられたことに気づくと、右手を僕の方に向け、手のひらからスイカ程の大きさの炎弾を飛ばしてきた。
「はぁっ!? 詠唱はどうしたんだよ!」
見た感じ、この炎弾は魔法だと思うのだが、魔法には必ず詠唱というものが必要になると聞いたことがある。
だが、イーリスの炎弾は詠唱がなかったように思う。
「これは血魔法と呼ばれるものじゃ! 吸血鬼固有の魔法じゃから貴様が見るのは初めてじゃろうな!」
くっそ、吸血鬼何でもありか!
僕は瞬時に横に転がり、炎弾の直撃を回避する。
すると、後ろから大爆発が起きた。
「まさか、一番最初に森に同じの撃った?」
「そのまさかじゃな」
まじか……
木々が吹き飛んでたからとんでもない威力の爆発だと思ってたんだけど、まさかこんなものだったとは。
「そんなことより! 貴様、これでも抜かぬとは……もっと広範囲、高威力でないと抜かせることは出来ぬか」
と、イーリスはそんなことをブツブツと呟いてから、両手をこちらに向けてきた。
ヤバッ!
そう思い、イーリスの方に急いで駆け出すが、やはり詠唱がない分イーリスの方が早く、両の手のひらからとてつもない熱量を持った青い炎が吹き出した。
「避けれねぇ!」
僕は咄嗟に、身体を捻り、左側を前にして炎を受ける。
腕で顔は遮っているものの、そんなことは関係ないと言わんばかりに、炎は僕の身体を焼いていく。
「がああぁぁぁぁ!」
一瞬、有り得ない程の痛みを感じ、耐えられずに叫ぶ。
少しの間、炎に耐えていると、炎が止んだ。
「はぁ……はぁ……」
「……貴様、何故剣を抜かぬのじゃ」
イーリスが何か言っているが、上手く聞こえない。
左目も見えず、鋭い痛みだけが走っている。
「期待はずれじゃな……所詮は人間か」
辛うじて見える右目で、イーリスを見れば、心底残念そうな顔をして、こちらに片手を向けていた。
そして、その手のひらに青白い光が集まっていき、氷の槍が作られた。
「さらばじゃ、今代の裁定者よ」
イーリスの手から、氷の槍が放たれ、槍は僕の腹を貫通した。
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