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【第二二話】

 落ち着いてきた僕は、先に買うものを選んでいた二人と、いくつかの雑貨を購入して外に出た。

 最後に、アルノルドとギルバートの二人に「また来てねん」と投げキッスされた時は鳥肌が止まらなかった。


「なんか凄い疲れた……」


「あ、じゃあ、休憩も兼ねて劇でも見に行かない?」


「劇?」


「えぇ、王都には大きな劇場があって、そこで色々な劇団の人達が劇をやってるんだって」


 そんな所があるのか……

 今まで見た街とかはそういう娯楽がなかったからもっと違う国に行かないとないのかと思ってたけど、あんまり浸透していないだけなのかな。


「楽しそうだし、行ってみようか」



 ***



 ということで、劇場にやってきたわけなんだが……

 めちゃめちゃ混んでる!


 エリカに案内されて、たどり着いた劇場は入口から人が溢れかえっていた。


「これが普通なのかな?」


「う、ううん……職場の先輩に聞いた話だともっと少なかったはずなんだけど……」


 まぁ、普段からこんなに人が溢れてたらあと二つくらい劇場作られてもおかしくないよなぁ……


「てことは今日だけ何故か特別混んでるってことだよね」


 どうしようか……

 こんなに混んでたら中はいれないよね。


「あの……今日はどうしてこんなに混んでるの……?」


 僕がどうしようか考えていると、ミリカが人混みの方に行ってそんなことを女性に聞いていた。

 あれ、僕の中ではミリカって結構人見知りな子だと思ってたんだけど……


「あの子、仕事を始めてから積極的に人と関わろうと努力したのよ」


 そんなにわかりやすい顔をしてたのか、エリカが僕の考えていることを読んでそう答える。


「そっか……」


 エリカも最初に会った時に比べて随分と丸くなったし、ミリカも苦手を克服した。

 なんというか、こう、感慨深いものがあるよなぁ。


 そんなことを思っていると、女性から理由を聞いたミリカが戻ってきた。


「なんでこんなに混んでるかわかったよ」


「なんでだった?」


「なんか、『ファンタスティック・アドベンチャー』っていう有名な劇団の人達の公演がこれからあるんだって」


 へぇー、そんな有名な劇団があるんだ?

 今まで聞いたこと無かったけど、他国とかだと凄い有名なのかな。

 それとも僕が世間知らずなだけ?


「それで、公演を見るためにチケットの販売がされてるらしいんだけど、そのチケットが高くて、買えない人達が一目でも劇団の人達を見ようと集まってるらしいよ」


 ということは、中はそんなに人がいないのかな。

 高いとは言うけど、さすがに金額何枚とかは取られないと思うし、エリカたちも見たそうだからここは僕が出そうかな。


「じゃあ、行こうか」


「まっ、待って……」


 僕が、二人の手を引いて劇場に向かおうとすると、エリカが止めてくる。


「チケット、高いって言うし……私たちにはちょっと厳しいかなって思うんだけど……」


「……今日ってデートなんだよね?」


「え? そ、そうなんじゃないの……?」


「だったら男である僕にカッコつけさせてよ。チケット代は僕が払うからさ、一緒に見よう?」


「ッ〜〜〜!?」


 僕がそういうとエリカは顔を真っ赤にして俯いてしまった。


 さすがにキザったらしかったかな。

 でもこんぐらい言わないと遠慮しそうだったし……


 そのまま僕は二人を連れてチケット売り場にやってきた。


「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」


「三人です」


「お一人様五千ペリですが……」


 高いけど、まぁ、このくらいなのかな……

 合計一万五千ペリ、金貨一枚と銀貨五枚か。

 今泊まってるとこの宿代一月分よりも高い演劇だなぁ。


 僕はアシュタルさんから貰った金貨から二枚を取り出して、受付の人に渡す。


「二万ペリのお預かりですので、五千ペリのお返しです」


 銀貨五枚を返されるので、僕はそれをポケットにしまいチケットを受け取って劇場に入る。


「……ありがとう」


「お兄ちゃん、ありがと!」


 二人も嬉しそうにお礼を言ってくれたので、これでよかったのだと思えた。


 チケットに指定された席に座り、待つこと数分。

 場内が暗くなり、舞台にスポットライトが当てられ、劇が始まった。



 ***



『それから王子アーサーンは負った傷を癒すため、姫グィビアと仲睦まじく過ごしました』


 ……約一時間程の劇が終了した。


 両隣にいるエリカとミリカが時折鼻をすすっていたので、二人も十分楽しめたかな。


 劇の内容としては、王子アーサーンが悪の大王に連れ去られた姫グィビアを救う話だった。

 アーサーンは十二人の仲間と共に大王と戦い、何人もの仲間を失いながらも何とか大王に打ち勝ち、姫を取り戻す、という話だった。


 個人的には、アーサーンの仲間の一人である、ガレッスが「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ……国ではアイツが待ってる。ここで死ぬ訳にはいかないんだ」と言って、敵の幹部と相打ちになったところはアツかった。


 そういえば、死んでしまった仲間はみんな国なに戻ったら結婚するやら妹の誕生日があるやらと、めでたいことが控えてた人達だったけど、何かしら関係があるんだろうか……?


 劇の余韻に浸っていると、他のお客さんが外に出ていったので、僕達もそろそろ出ることにした。

 劇場から出ると、チケット売り場の横で、先程の劇に登場したアーサーンの持っていた聖剣、そのおもちゃが売り出されていた。

 それに劇を見ていたであろう子供たち、特に男の子が群がっていた。

 エリカ達もいるか聞いたらいらないと言われた。


「面白かったな」


「見れてよかった……!」


「凄い感動的な話だったわ」


 劇の感想を言い合いながら歩いていると、エリカ達の働いているレストランが見えてきた。


「少し遅くなったけど、そろそろお昼にしよっか」


 僕がそう提案すると、二人もお腹がすいていたのか賛成してくれたのでレストランに向かった。

本当はデート編は一話くらいでまとめる予定だったんですけど、思ったより長くなってしまった。

あと一話か二話くらいで終わるんじゃないかと思われます。

ハヤク、セントウ、カキタイ……!!


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