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【第一八話】

「いらっしゃいませー! 食事ですか? 宿泊ですか?」


 中に入ってすぐ、小さな男の子がそう声をかけてきた。


「泊まりたいんですけど……エリカとミリカはどのくらい泊まる予定?」


 二人がどのくらい泊まるかで僕も決めようかな。

 僕がやらなきゃいけないのは、剣について調べることと何とか爵位を手に入れること。

 どのくらい時間がかかるか分からないから延長するかもだし。


「私たちは……まずは一月くらいでいいかしら」


「うん。そのくらいでいいと……思う」


「じゃあ、僕も一月くらい泊まろうかな」


 僕がそう言うと、男の子は「少々お待ちください!」と言って奥の方に走っていってしまった。

 そのすぐあと、男の子が何かしらを叫んで、奥の方から女性が歩いてきた。

 顔立ちが似ているから、あの男の子のお母さんとかかな?


「ご宿泊のお客さんですか?」


「はい。そうです」


「どのくらいお泊まりになりますか?」


「一月くらいを予定してるんですけど、僕は延長するかもしれないです」


「部屋割りなどはいかがなさいますか?」


「えっと、こっちの二人と僕で一部屋ずつ……でいい?」


 期間は聞いてたけど、部屋割りは聞いてなかったからこう答えたはいいけど、もしかしたら一人一部屋がいいかも、と思って二人に聞いてみる。


「私はそれでいいけど……」


「お兄ちゃんと一緒のお部屋がいい……」


「へっ!?」


 エリカは何故か微妙な顔をしながらも賛成してくれたが、ミリカがとんでもない爆弾を落としてきた。


「いやいや、僕と同じ部屋とか嫌じゃない?」


 女の子的にどうなんだ、と思ってエリカに助けを求めるが……


「わ、私もそっちの方がいいと思うっ!」


 顔を赤くしながら、ミリカに賛成していた。


 あれ? さっきまでは僕の方に賛成してくれてなかった?

 同じ部屋に泊まることが確定しそうな空気なんですが。


「あと、一部屋で料金半分にした方が安いかもだし……」


 言ってることは理解できるし、まぁ、正論ではあるように思えるけど……

 うーん。どうなんだろうか。

 僕は妹と同じ部屋と思えば全然違和感もないけど、二人は大丈夫なのかな?

 いや、二人から提案されてるわけだから問題ないのかな。


「二人がそっちの方がいいって言うなら……僕はいいけど」


「ほんとっ!? お兄ちゃんと同じお部屋がいい!」


 僕がそう答えると、ミリカはパァと顔を明るくさせ、僕の腕に抱きついてきた。

 そんなミリカの頭を撫でてあげながら、今まで待っていてくれた女性に三人で一部屋にすることを伝えた。


 すると女性は温かい目で僕達のことを見ていたが、今までの注文をメモし、一月分の宿泊料金を計算し始めた。

 少しして、計算が終わったのか女性は紙を僕達の方に差し出してきた。


「宿泊が一月を一部屋ですので、合計で金貨三枚と銀貨六枚で、三万六千ペリになります。問題なければこちらにサインして頂いて、料金のお支払いが終わりましたらお部屋の方にご案内します」


 三万六千ペリか。

 部屋の料金を半分にするって言ってたけど、年上として多めに払うべきだな。

 成人してない女の子に半分も払わせるのもどうかと思うし……


「じゃあ、僕が二万六千出すから、二人は一万出してくれる?」


「えっ……半分でいいのに」


「僕が出したいから気にしなくていいよ」


 働き口を探すって言ってたし、二人もそんなにお金がある訳じゃないんだろう。

 本当は全部僕が出してもいいけど、それじゃあ納得しないだろうし。

 ここが妥協点かな。


「……お金稼げるようになったら返すわ」


「うん。エリカがそうしたいならそれでいいよ」


 エリカはしっかり者だからきっとそう言うんじゃないかと思った。

 ほんとに気にしなくてもいいのに、こういう所頑固だから多分しっかり返してくると思う。


「三万六千ペリちょうどですね。それではお部屋の方に案内します」


 僕達はお金を払い、紙には僕がサインすると女性が部屋に案内してくれた。

 僕達は女性の後を着いて、歩いていくと少し大きめの部屋にたどり着いた。


「こちらがお部屋になります。延長の場合は三日前までに連絡していただければ、そのままお部屋の方をお使い頂けますのでよろしくお願いします。それでは失礼します」


 女性はそれだけ伝えて戻って行った。

 残った僕達は、ひとまず部屋に入ることにして、扉を開けると、入口から広い部屋だった。

 そのまま中に行くと、リビング、キッチンとあり、お風呂トイレと最後に寝室があった。


 寝室に入って、僕とエリカは絶句した。

 なんとベッドが一つしかなかったのだ。


「……寝る時は僕、リビングのソファで寝ようか」


「わっ、私は一緒でも構わないわよ!?」


「お兄ちゃんと一緒に寝れる……!」


 僕がそう言うが、二人は気を使ってなのか、一緒でも大丈夫だと言ってくれた。

 いや、僕は全然大丈夫なんだが、年頃の女の子である二人は大丈夫なのか?

 遠慮してそう言っているのなら気にしないで貰いたいんだけど。


「ほんとに大丈夫……?」


「だ、だいじょぶよ」


「……楽しみ」


 うーむ……

 あんまり気にしすぎない方がいいのかな……


 そんなこんなで、時間が結構たっていたので僕は夕飯を作るためにキッチンに行き、度のためにと買いだめておいた食材を使って野菜のスープとコーンパンを作った。

 野菜スープはコンソメをベースにしたシンプルな味付けにし、コーンパンはマヨコーンをパンの上に乗せた料理だ。

 手抜き感満載だが、味は自信がある。


 実際、それらを食べたエリカとミリカは「美味しい!」と言ってくれた。

 お世辞だったかもしれないけど……


 腹が膨れてからは、各自で寛ぎつつ、順番で風呂に入った。

 二人がどんな順番にするにしろ、僕は一番最後がいいかと思い、そう提案すると、何故か一番最初に入れと言われたので、さっさと風呂に入った。

 その後エリカ達は二人で風呂に入ったようだが、めちゃくちゃ長かった。

 風呂の方からきゃあきゃあと声が聞こえてきたが、僕は何も聞いてないぞ。


 二人の髪が濡れたままだったので、タオルでしっかりと拭いてあげた。

 すると、ミリカは拭いている途中で眠ってしまったのでそのままベッドまで連れていき、寝かせてあげた。

 すぐあとに、エリカもベッドに入ったことを確認してから僕がリビングで寝ようと寝室を出ようとすると、エリカに止められて、一緒に寝ることになった。


 何故か僕が真ん中になったので、真ん中に行くと、先に寝ていたミリカが僕に擦り寄ってきた。

 寒かったのかと思い、頭を撫でながら布団を肩までしっかりかけてあげた。

 すると反対側にもエリカが擦り寄ってきたので、僕はエリカの頭も撫でてあげる。


 そのまますこしの間二人の頭を撫でていたが、子供特有の高い体温のせいで眠くなってきて、そのまま眠った。


 明日はちゃんと図書館で剣について調べよう……

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