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【第一七話】

「もうすぐ王都に到着しますので、下車の準備をお願いします」


「あ、分かりました。二人とも……そろそろ降りるってさ」


 あの後、泣き疲れたエリカとミリカは僕によりかかって眠ってしまっていた。

 眠ってる間、ずっと頭を撫でていたので腕が疲れた。


「ぅ……うぅん……?」


 先に目を覚ましたのはエリカの方だった。

 目を擦りながら、辺りを見渡していた。


「なに……ここどこ?」


「王都の近くだってさ」


 まだ寝ぼけているのか、頭の中がぽやぽやしているのか、起きてはいるものの僕に頭を擦り付けて甘えてくる。


「ミリカ、そろそろ起きて」


 僕がミリカを起こそうと、声をかけるが一向に目を覚ます気配がない。


「エリカ、ミリカを起こして欲しいんだけど……」


「んー……? あー……ミリカは一回寝ちゃうと早々起きないわよ……?」


 えぇ?

 じゃあ、ミリカどうするの?


「もしかして僕が背負ってかなきゃダメなやつ?」


「そうねー……。うん……」


 ダメだ、エリカも寝起きで頭が働いてない。

 何を聞いてもフワフワした答えしか返ってこないぞ。


「王都の正門に到着しました。このまま馬車停で止まるので、お降りの方は準備をお願いします」


「分かりました」


 小窓から顔をのぞかせ、そう言ってきた御者の女性に僕はそう返事をしてエリカを見る。

 さっきから静かだと思っていたが、頭を前後にゆらゆらして、船を漕いでいた。


「エリカ? おーい。起きて! エリカ!」


「んにゃ……? 何よ……寝てないわよ……?」


「わかったから、王都で降りるようなら荷物準備して!」


「んー、降りるぅ。」


「ほら、じゃあ荷物準備しないと降りれないでしょ」


 そうして僕が、眠りそうになっているエリカと荷物を準備していると、馬車がゆっくりと停止した。


「はーい。王都に到着しました」


「えっ、あ、はい。降ります! ……ほら、エリカ行くよ。荷物もって」


 僕は未だ眠ったままのミリカをおんぶして、馬車を降りる。

 エリカは僕の袖を握って、おぼつかない足取りで着いてくる。


「ご利用、ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」


「ここまでありがとうございました。それと、馬車壊しちゃってほんとにすいません」


「気にしないでください! 命を助けていただいた恩もありますし」


「すいません。ありがとうございます」


 僕は御者の男性とそんな言葉を交わして馬車は去っていった。

 僕達は、馬車停から少し離れた位置まで移動して、今後について話し合う。


「エリカたちはこの後どうする?」


「んー? まずは宿ね。明日からは仕事を探してみるわ」


「仕事って、大丈夫か?」


「わかんないけど……お金が無いと生きていけないし」


 こんな小さな子が働ける場所があるだろうか。


「僕も一緒に探そうか?」


 ひとまず、王都には着けたわけだし当初の予定である図書館に行ってこの剣のことを調べてからだけど。


「ルイスは忙しいんじゃないの……?」


「まぁ、少しだけ図書館で調べたいことがあるけど、だからって二人のこともほっとけないし」


「けど、あんまり迷惑もかけたくないのだけど」


 別に迷惑だとは思ってないけど……

 かと言ってこのまま引き下がるのも……


「うーん……あっ、じゃあさ、エリカは宿を探すって言ってたよね? 僕も同じ宿に泊まっていいかな?」


 それなら例え別行動してても、宿に戻れば合流できるし。


「ルイスが、その……どうしてもって言うなら……」


「どうしても、二人と同じ宿がいいな」


「……うん」


 ミリカにお兄ちゃんって呼ばれたからってのもあるかもだけど、何故か二人のことは妹みたいな目で見ちゃうんだよね。

 妹が困ってるから、できるだけ力になって上げたい。


「それじゃ、宿探そっか」


「ん……」


 エリカは急に大人しくなって、僕の袖をキュッと掴んでいる。



 ***




「ここがいいか」


 僕は、二人を連れて宿を探していたが、探し始めて五分くらいで目的の良さそうな宿にたどり着いていた。


「ふにゃ……んっ……え? どこ?」


 そして、宿に着いたのとほぼ同時にミリカが目を覚ました。


「おっ、やっと起きた? 王都に着いたから今は宿を探してたところだよ」


「あれっ!? お兄ちゃん?」


「うん」


「えっと……あの! もう降ろして貰っても……大丈夫でしゅ……あう」


 ミリカは僕の背中で大慌てだった。

 目が覚めたら場所がだいぶ変わっていたら確かに驚きそう。


「そう? じゃあ、はい」


 僕は可哀想なのでミリカを降ろしてあげて、噛んだことが恥ずかしかったのか、顔を赤くして俯いている頭を撫でて上げた。

 そしてさらにミリカは顔を赤くして俯いてしまう。


「それじゃあ、入ろっか」


 僕は二人を引き連れて、宿の扉を開いた。

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