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【第一四話】

詫び石ならぬ詫び投稿。

 転がりながらも考える。

 僕はどうしたらあの男に勝てる?

 力では圧倒的に負けている。

 数回打ち合っただけだが、少なくともあの男は僕よりも剣の扱いに長けてる。

 まぁ、独学で学んだだけの形だけの剣じゃ負けてもしょうがないとは思うけど……


 転がる勢いが落ち着いてきたところで、何とか起き上がる。

 若干視界がふらつくが、まだ戦える。

 僕は油断なく正面に剣を構える。


 そもそもなんで僕は初対面の女の子のためにこんなに命かけて戦ってるんだろう。

 ほとんど接点もないし、なんなら向こうからは異常なほど嫌われてるのに。

 ……いや、考えるまでもなかった。

 そんな女の子見捨てて王都に向かうとか()()()()()()こと出来ないよね。

 シャルがこのことを知ったらきっと悲しむ。

 好きな女の子を悲しませるような、目の前の人を見捨てるような、そんなかっこ悪いことは出来ない。

 理由なんてそれで十分じゃないか。


「おうおう、まだ立ち上がるたァやるなぁ。てめぇ、俺の仲間になんねぇか?」


「はっ、誰がなるか」


 僕はまず手直にいる男に走る。

 男は僕に向かって矢を放ってくるが、それをギリギリで避けながら一閃。

 男が構えていた弓を叩き切る。

 それと同時に横からものすごい速さで何かが迫ってきているのが見えた。


「ッ!」


 瞬時に剣を盾にして身を守るが、迫ってきているソレは圧倒的な力で僕を吹き飛ばす。


「三度も俺の攻撃を受け止めるとはなァ。なかなかしぶとい野郎だぜ」


 僕はそのまま馬車に突っ込む。

 壁を突き破り、中で転がると、目の前で少女ーズがフードさんに短剣を突きつけられている状況だった。


「あんたっ……」


 少女Aは急に突っ込んできた僕に驚いたのか、目を見開いている。


「えぇ……? どういう状況?」


「チッ!」


 フードさんは少女ーズに突きつけていた短剣を、僕に向かって振り下ろしてくる。


「おわ!」


 僕は間一髪で短剣を避け、急いで立ち上がると少女ーズを背に隠すようにしながらフードさんに剣を向ける。


「……外のヤツらの仲間?」


 僕がそうフードさんに声をかけると、外から大声であの男の声が聞こえてきた。


「わりぃわりぃ、つい馬車の方にぶっ飛ばしちまった」


「勘弁してくださいよ。せっかく作戦通りに行ってたのに……」


 大男とフードさんがそんなことを言い合っていた。


「ま、結局全員殺せば済む話だろ」


 そう言って大男はニヤッと笑った。


 まずいまずい。

 ただでさえやばい状況だったのに敵が増えてさらにやばい。

 ちょーやばいってやつだ。

 囲まれてるから逃げることも出来ない。

 これが大男一人だけならまだどうにかなったかもしれないが、ここまで来たらほぼ……


「詰み、か……?」


「あ? やっと気づいたのかよ。ははは、囲まれた時からてめぇらは詰んでたんだよォ!」


 現在の敵の人数は六人。

 内一人は格上確定。

 僕が一人、弓使ってたやつの武器を破壊してきたがそれもあの男が他に武器を持っていたら関係の無いこと。


「さて、それじゃあ最後にもう一回聞いてやるよ。てめぇの後ろにいる女共を素直に渡せば殺さねぇでやってもいい。どうする?」


 大男がそう言った瞬間後ろの少女ーズが息を呑んだのが分かった。


「確かに勝ち目がないな。このままだったら殺される可能性の方が高そうだ……」


「そうだろ? なら——」


「だが断るッ!」


 僕はそう叫んで斬り掛かる。

 さっきまでかっこ悪いことは出来ないとか言ってたけど、あれはなしだ。

 僕が馬車に突っ込んでから見た少女ーズはどちらも泣き出しそうな顔をしていた。

 今はかっこいいとかかっこ悪いとかどうでもいいが、泣きそうなやつをほっときたくない!


「てめぇも馬鹿だなァ! 自ら死にに来るなんてよォ!」


 大男は大剣を振る。

 二度もやられてるんだ、さすがに学習した。

 僕は防御するのではなく、剣を使って攻撃を逸らす。

 受け止めようとするから負けるんだ、だったら受け流せばいい。


「そう来ると思ったぜ! あめぇ、あめぇんだよ!」


 大男は瞬時に大剣の起動を変え、正面から振り下ろす。


「グッ!」


 ——ピキ!


 僕は何とかそれを受け止めたが、持っていた剣から嫌な音が聞こえてきた。


「ヒャッハァァァァァ! 雑魚がよォ! 死に晒せ!」


 そのまま男は大剣とは思えない速度で猛ラッシュを繰り出す。

 僕は何とかギリギリで防いでいくが、剣が耐えられなかった。

 段々とヒビが広がっていき、ついには折れてしまった。


「しまっ……」


「オラァ! 死ねぇぇぇぇ!」


 無防備になった僕に大男は大剣を振り下ろした。

 僕は咄嗟に目を瞑った。

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