プロローグ
チートや俺TUEEEEじゃなく、主人公が少しずつ成長して強くなっていく、そんな王道物が書きたいと思い始めたシリーズです。
「そういうのはちょっと……」という方はブラウザバック推奨です。
「なん……で……」
目の前に映るのは僕が育った村があった場所。
緑が多く、大人数ではなかったがみんなで助け合って過ごしてきた村。
そんな僕の大好きな村が、無くなっていた。
地面は焼け、固まっている。
未だ近くの木は燃えていて、その火はどんどんと広がっていた。
「お父さん、お母さん! みんな! ……どこに行っちゃったんだよ……!」
僕は必死に呼ぶが、返事が返ってくることは無い。
ただ僕の声が虚空に響き渡るだけだった。
「さ、さてはみんなで僕から隠れてるんだな! 絶対に……絶対に見つけるからね!」
僕はそう言って辺りを探し回った。
家も何も無くなっているので、探すと言っても辺りを見渡しながら歩き回ることしか出来ない。
お父さんとお母さんは一緒にいるはず。
きっとみんなとどこかにいる。
ただ僕をからかって隠れてるだけなんだ。
僕はそう自分に言い聞かせながら探し歩いた。
「——ッ!!」
そこで僕は見つけてしまった。
抱き合いながら倒れる、下半身のない両親を。
「お……とう……さん……?」
返事は無い。
「おかあ……さん……!」
返事は無い。
何度呼びかけてもお父さんは苦しそうな、お母さんは悲しそうな顔をして、倒れたままだった。
「うわあぁぁあぁぁぁ!!」
認めたくなくて、目をこするけど現実は変わらなくて。
二人の周りは、地面が赤黒く染まっていて、僕はそれが2人の血だとわかってしまったから。
余計に2人が死んでいる現実から逃れられなくて。
僕は足が震え、立っていられなくなり崩れ落ちた。
僕が歩いてきた場所には黒く焼け焦げた腕や、頭、体の一部などが散乱していた。
その現実を受け入れたくなくて、見えていないふりをして、みんなを探し回っていた。
両親はどこかにいてくれる。
それだけを心の支えにしていた。
しかし、その両親の死体を見つけてしまい、僕は諦めてしまった。
現実から逃げることを。
その現実を受け入れることを。
——キュォォォオオ!!
それと同時に上空にいたソレが大きく吠える。
大きなトカゲのような体に翼を生やしたその見た目。
全身を赤い鱗で包み込んだ生物。
竜。
全生物の頂点に君臨すると言われている存在。
……村を滅ぼした張本人。
口から火を散らしながらゆっくりと降下してきた。
竜のその息吹は全てを灰燼に帰すと言われる。
かつて竜によっていくつもの村や国が滅ぼされたという。
「くっ……そぉ! お前さえ! お前さえいなければッ!!」
村は無くなることはなかった。
僕は硬化した地面を殴りながら泣き叫ぶ。
見れば拳は皮がめくれ、血が流れていたが痛みよりも先に怒りが押し寄せ、気にならなかった。
何故この村なのか。
どうして僕達がこんな目に遭わなければならないのか。
いくら考えても答えは出ずに、ただこの村を滅ぼした竜と、敵すら打てない自分の弱さに腹が立った。
絶望が怒りに変わり、そして、憎しみへと変化した。
どんな理由でこの村を襲ったのかはわからない。
けれど、僕の大切な人たちを、場所を、全てを奪ったお前は許さない。
僕は絶対にもう一度お前の前に現れる。
強くなって、お前には死よりも辛い苦しみを味あわせてやる。
僕はそう誓い、こっそりとその場を飛び出した。
出来ることならすぐにでも殴り掛かりたい。
だけど今の僕じゃあ簡単に殺されてしまう。
それじゃあなんの意味もない。
僕はあの竜に、同じだけの、いや、それ以上の苦しみを与えなければいけない。
そうしなければ、死んでしまったみんなが報われない。
幸い竜はなにかに気を取られ、こちらを全く気にしていなかったから、無事にその場から逃げ出すことが出来た。
そのまま僕は、近くにある街まで、走ったのだった。