5.ヒロインの憂鬱と弟の作戦
ヒロインside
私の名前はルーシー・アリントア。男爵令嬢よ!実は私、前世の記憶を持っているの!凄いでしょ?その中では私はヒロイン!なんて最高なのかしら!そして毎日努力を重ねやっとストーリーが始まったの!けど、ストーリー通りではなかったの。確かに最初は王子様が手を差し伸べてくれたけど、悪役令嬢を見つけるとすぐさまそちらへ。私、放置されたんですけど!?どういうこと!?本当ならそのまま助けてもらえて一目惚れなのに!まさかの悪役令嬢まで驚いてるし。でも、騎士様と宰相様のご子息が助けてくれた。その時頑張ってか弱い女の子アピールしたけど、効果は0。なんでなのよ!どうして私の思う通りに行かないの?
そんな中、私は考えたのだ。そうだ!悪役令嬢に頼んでみよう!
その作戦を決行するためにはまず、悪役令嬢に会いにいかなければならない。とりあえず、会いに行ってみようと思う。
会いに行ってみると王子様はまたもや悪役令嬢に夢中になっている。一向に離れようとしない。キ─︎─︎ッ!!なんで悪役とこんなに仲いいのよ!原作と全然違うじゃない!!でも耐えなきゃ悪役令嬢と話せない!頑張ってみる。
「る、ルリア様。私ちょっと相談があって...」
「?いいわよ。殿下離れてください。私、ちょっと用事ができましたので」
「えー、仕方ないなー。ちょっとだけだよ?」
私と悪役令嬢は(何故か)足早に中庭に向かった。
「ごめんなさいね、殿下に捕まるとなかなか離れられないの。」
「あはは...」
「それで、相談とはなんでしょうか?」
「あっ、えっと…ルリア様って転生とか信じたりしますか?」
「それは勿論。これは内緒なのだけど、私転生者だもの。」
「えっ!?そうなのですか!?私もそうなんです!あっ、それで相談なんですが…」
私はルリア様に全て話した。そして協力してもらえるか頼んでみた。
「なるほど…いいわね!私も王太子妃になりたくないと思っていたの!あなたが代わりに彼を支えてあげてね?彼、少しやばいところがあるから。」
「それはもちろん!ではこれからよろしくお願いしますね!」
そうして私はルリア様と秘密の作戦を決行することとなった。ルリア様、優しい人でよかった。
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弟side
僕はルリアお姉様の弟のリラルト・ハーマン。お姉様は僕のこと凄く可愛がってくれる。でも僕には実は好きな子がいるんだ。その子は僕より上の身分の子なんだ。だから告白することが出来ない。でもその子にある条件を満たせば婚約出来ると教えてもらえた。それは王太子殿下の側近になること。王太子殿下は僕の姉のことが凄く好きらしい。だから側近になれるよう殿下と手を組んだんだ。だからお姉様には悪いけど、殿下と幸せになってもらう。
「リラルト、この書類は出来たのか?」
「勿論です、殿下。」
「リラルト殿は流石だな。俺も見習わないと。」
「そうだな。」
いつも殿下とヒーバード様とザランド様は僕を褒めてくれる。そのおかげか僕は自分で言うのもなんだけど結構仕事が出来るようになったと思う。この調子で殿下の側近になれるよう頑張っていこうと思う。