表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
眼の星  作者: 朝梅雨
弐人鏡
7/8

6

息が乱れた。

あろうことかマナは、教師の前を全力ダッシュで通り過ぎるという偉業を成し遂げた。

来週の月曜日には職員室行きだろう。

「というか、俺より運動神経良くないか?」

『身体も体力も一緒ですから。マナブがいつも本気出してないだけですよ』

「俺はまだ可能性があるってことか」

『そうですそうです』

励ましじゃなく心から言っているのが直で伝わってくるので、自分で自分を褒めている感じがすごいする。

「なんか、恥ずかしい・・・」

ナルシストというわけじゃないけど、これが無意識の自画自賛ってやつなのかな。マナの考えてることわかるから無意識ではないんだろうけど。

「あ、車ある」

マナと話しながら歩いていれば、学校から徒歩圏内の自宅に着いていた。

少し大きめな紺色の車が止まっている。

「父さん帰ってきてるんだな。珍しい」

『よりによってこんな日にですね。学校側から流石に連絡いってますかね?』

「ないことを祈るわ」

鞄から鍵を取り出して扉を開ける。

母さんの声は聞こえない。

『いつもならおかえり~って言ってくれるのにね。お風呂にでも入ってるのかな』

「だろうな、電気ついてるし」

風呂場の方は照明がついていて、水の音も聞こえる。

『マナブ~、覗くんじゃないぞ』

「自分の親の裸を見て何がいいんだよ」

そうなの?と言っているマナを無視して部屋に戻る。

今日は友人(アイツ)の所為で疲れた。

・・・でも、マナと話せたし。あの弐人鏡の変な空間から逃げられたし。

自分のベッドに倒れこむと、今日の疲れが身体中を包み込む。

あ、ダメだ。このまま寝ると・・・制服に、シワが・・・でも明日休みだしいいか。

「・・・・・」

『ん?あーマナブ寝ちゃったか。俺起きてるんですけど』

マナブは一回寝たら中々起きない。ちゃんと夜ご飯は食べて欲しいから・・・。

「これでよし!ごめんねマナブ。ご飯食べたら俺も寝るから」

それまで今までやりたかったことやらせてもらうね。

マナブは朝起きると遅刻寸前で。いつも俺は起こそうとしてその感情を殺してた。

マナブは夜家に帰ると、眠くなる時が多くてベッドでよく寝落ちしてた。

このままだとマナブの身体が弱っちゃう。

風邪とか熱とかかかっちゃったらどうしようとか、マナブが気付かないようなところでずっと思ってた。無意識に。

でも関わっちゃダメだから、ずっと黙ってた。

「もう、バレちゃったし我慢する必要は無くなった」

マナブの分もちゃんと野菜食べて、栄養バランス整えて。

「いっぱい元気に育ってもらうんですから」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ