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眼の星  作者: 朝梅雨
弐人鏡
1/8

杉森探偵事務所。

現在午前捌時丗分。

客は何処からも生えてこず、いつも通りの閑古鳥。

だけどもだけども仕方がない。何故なら此処は視力と引き換えに怪異を祓う、側から見れば関わりたくもない事務所。

玄関前の看板は、異様な空気を醸し出し。

「そろそろニートにでも転職するかな」

そんなことを口走る変な自称探偵が日々や奮闘しています。

彼の名は杉森 イト、ここのオーナー的存在でもある。

いつも白い包帯を目に巻いている。そのせいで子供や近所が噂し、この事務所に入りたくても入れない人がいる・・・らしい。

「ニートは職業じゃないです。働いてください」

そのイトに呆れながらも口を開く。

霜月 マナブ。彼もまた、あの自称探偵に付き添う可哀想な子だった。

最近、事務所に入りにくさを感じている。

「仕事が来なければ金は入らん。なんか客捕まえてきなさいワトソーン」

「誰がワトソンですか、どちらかといえば俺は貴方のモリアーティになりたいですよ」

「それはいけない。そうなったら誰が此処の家事全般をしてくれるというんだ」

「そんぐらい自分でしろ‼︎」

洗濯物を畳みながらマナブは叫ぶ。

一人心を躍らせながら都会に来たのに、こんなやつに捕まるなんて。

「運がない・・・」

ほんと俺運がない。

両手で顔を覆えば嫌なことがたくさん。

「次々と走馬灯のように~」

「流れないし死にませんからね!」

口に出ていたようで恥ずかしくなりながらも、どうしてこうなったんだろうと頭を抱えそうになる。

「マナブ、服折りたたむの一旦やめて椅子にでも座りなさい」

「・・・?またなんで」

「いやねぇ、俺の暇つぶしに昔の依頼でも話してやろうかと」

そう言ってイトが手に持ったのは一枚の写真。

「それ、俺が依頼したやつですよね。昔でもなくどっちかっていえば最近ですよね。しかもそれ一ヶ月前ですから」

「ん?そだっけ」

霜月 マナブと杉森 イト。

出逢いは、今から少し前。

依頼する人間違えたと。この人なんか信じなければよかったと、今のマナブは思っていた。だけれども同時に、この人がいなかったら・・・どうなっていたんだろうとも思っていた。

あった筈の未来は#無くなり__・__#。なかった筈の未来が穴を埋めるように広がって。

あぁ、また透明が溶けていく。


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