表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

吸血鬼な彼女

作者: 紫雀

某地方における古い洋館。

レンガのかべ前面に蔦が生え、見るからに異様な雰囲気を醸し出している。

その洋館にはビーカーやら試験管やらが並ぶ科学実験室とまごう地下室があった。

その部屋で、今日も今日とて怪し気な実験を繰り返すマッドサイエンティスト佐々雪乃。


田辺早紀はマッドな雪乃の友達だ。

その日、彼女が実験する同じ部屋で、一本一本丁寧にチビた鉛筆を小刀で削っていた。


そしてうかつにも、左の一指し指をモノの見事に掻き切ってしまった。

まわりにぽたぽたと鮮血がしたたる。


「アッ」

やっちゃった。


「あらっ、勿体ない」

隣でマッドな実験をしていた雪乃はそう言うと迷わず、

ぱくりと指を咥えおいしそうに舐め始めた。


「キャーーン。やめてーっ。カットバン。カットバン」


雪乃は何を隠そう吸血鬼の血を引いている。

人を襲わない代わりに、誰かがケガをしようものなら

吸血鬼の血がうずくのか、迷わず吸いに来る。


「雪乃、いい加減、指から離れないと友達やめるわよ」

拳をぶんぶん振り回し、ぷんぷんモードで怒って見せると彼女はようやく指から離れた。

そのすきにカットバンを探してすばやく指に巻く。


勿論、本気で怒ったりしない。

だって、これは彼女のさがなんだもの。


「ごめんなさい。ついついやっちゃうんだよね」

雪乃は「あははっ」と笑ってぺろりと舌を出した。

「人間の血ってすぐ錆びるから、鮮血はごちそうなの」

彼女はそう言って笑う。


「今度の実験は人間の血を錆びさせないようする実験なのよ」

「へぇ、そうなんだ」

「錆止めが完成したら早紀ちゃん。実験台になってくれるわよね」


「……雪乃。そういう発想から離れないと今すぐ友達やめるわよ」

早紀はすかさず予防線をはった。

実験台になるなんてとんでもない。


雪乃は「あははっ」と笑ってぺろりと舌を出した。

「やだなー。冗談に決まってるじゃないの」


「そう願いたいわね」

小悪魔で魅惑的な笑顔。


その笑顔に魅了されてやっぱり友達をやめる事はないだろう。

「やれやれ」と思いながらも早紀はひそかにため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 早紀さんと雪乃さん、二人の関係性が良かったです。 雪乃さんの小悪魔的な魅力に、心を奪われてしまいそうになりました。素敵な人ですね。
[良い点] ほのぼのとして良いですね。 二人の間に起きた何気ない出来事を綴っているので、最後まで気持ち良く楽しめました。 お話って、凝った作りにするだけが楽しみではないですからね。 マッドな吸血鬼さん…
[良い点] 設定、台詞、面白いです。書き出しがスムーズでどんな展開だろうと興味を惹きます。流れるように進んでいきます。 [気になる点] オチがもう一工夫…かな? [一言] 野球の素振りと一緒。 回を重…
2018/07/18 20:30 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ