チュートリアル2
やっと人物紹介に入れた。
「[エネミーカラフル]?」
俺は思わず聞き返してしまう。
「そう、ボク達のグループ名。このゲームには複数人のプレイヤーが集まってできる「グループ」ってのがあるんだ。いわゆるパーティみたいなもんだね。1グループは6人までで、グループが6つ集まったものをこのゲームでは「チーム」って呼ばれてる。1チームは36人ってことだね。まぁ細かいことだからそんなに気にしなくてもいいんだけど。」
レモンも律義に返してくれる。
「あ、仲間が来たから紹介するね。」
そうレモンが言ったので奥を見ると、確かに人がこっちに来ていた。・・・人?
「えー・・・えーっと、あれって人間のプレイヤーで間違いないんだよね?」
何当たり前のことを言っているのかと思うかもしれないが、実際に見たらそう思わずにはいられないだろう。なぜなら・・・
「え、全身鎧の人に、漫画やアニメの中にしかいなさそうなデブと、シーツみたいな白い布をかぶってる人が仲間なの・・・?」
「そうだよ。」
「あ、やっぱ帰ります。」
「ええ!?ちょ・・・ちょっと待ってよ!?」
「嫌だよ!キャラが濃すぎるんだよ!なんかもう・・・こう・・・いやだぁ!やだやだやだやだぁ!」
「駄々っ子か!」
レモンのツッコミが入る。が、俺だって嫌なものは嫌だ。
「大丈夫でござるよ。[青]殿。」
そんな時だれかがござる口調で優しくしゃべった。
「我々はかなり強いでござる。足を引っ張るのでは・・・?とか思っているならば心配ないでござる。我々も一緒にトレーニングを手伝うでござるよ。はっはっは。」
鎧の人かなと思い振り返ると、デブがいた。
「いや、ござる口調はお前かよ!鎧の人かと思ったわ!ありがとよ!」
「あ、お礼はちゃんと言うのね。」
なんかレモンが感心してる。
「強いって具体的にどれくらいだよ。言っとくけどもうレモンのレベル聞いちゃったからな。こいつ日本で21位らしいからな。」
なんかすげぇ上から目線でしゃべるLv.1。
「我はLv.56でござる。日本では26位でござる。」
「俺はLv.63だ。日本ランクは12位。」
「・・・。」
白シーツの子は話してくれなかったが、問題はそこではない。
「えええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
大絶叫。近所に人が住んでたら110番されるに違いない。もはや騒音。
「え?え?ええ?え、ええ?」
もはや日本語すらまともにしゃべれない。今日から俺の中の日本語は「え」だけになってしまうのか。
「嘘だろ・・・。」
よかった、日本語は復活した。
「じゃあさ、みんな自己紹介しようよ。新メンバーも加わったことだしさ。」
レモンが仕切りだす。てか、俺入るとか一言も言ってないんですけどね。何勝手に入る前提にしてんだよ。
「まずはボクからね。ボクは黄金 レモン。今18歳ね。[黄]担当です。」
年がひとつ上だったレモンはちょっと赤みがかった茶髪で、身長は女子としては平均的だ。なによりとてもかわいい。目はキラキラしているし、顔のパーツが整っていて完璧美少女って感じがする。・・・まさかアバター作ってるわけじゃないよな?てか、黄担当って?
「じゃあ次は我でござるな。我は森村 草というでござる。年齢は22。[緑]担当でござる。」
デブは黒髪短髪の眼鏡をかけたぱっとしない人相でこれまた平均的な身長のどこにでもいそうなデブだった。ただ、こいつはデブ度が違う。なんか腹にバランスボールでも入れてるんじゃないかってくらい腹が膨らんでいた。少し恐怖すら覚えるデブだ。背中に銃らしきものを背負っているのでそれが武器なのだろう。正直似合っていない。
「俺の番か。俺は灰下 裕人だ。19歳。[灰]担当。」
変わった名字を持つ鎧男は顔が一切見えないが、身長は180センチは超えていて、日本人としては高い。こちらは鎧に似合った刀を二本腰のところに差している。見た目からして強そうなオーラが出ている。・・・気がする。
というか、いくらやばいゲームだとはいえ、ここまで普通に個人情報晒していいんだろうか。という疑問が浮かんでくるが、まぁそういうものなのかもしれないと自分を納得させる。
そして俺は最後に未だ一言もしゃべってない白シーツをかぶった子に目を向ける。
顔どころか性別すらわからない白シーツの子は、身長はかなり小さめで、150センチくらいだろうか。自己紹介はしてくれないのかな?俺なんか嫌われるようなことやったっけ?いや、まだ何もしてねぇよな?などと考えていると、
「この子は白雲 雪っていうんだよ~。なんと12歳![白]を担当してるんだ。」
なぜかレモンが紹介してくれた。恥ずかしがり屋なのか?てか、小6くらいなのか?若いな。
「あ、そうだ。ついでに言っておくと、白ちゃんは日本1位だよ。」
「は?」
レモンが発した衝撃の言葉に俺はまた変な声を出してしまった。
読んでくださった方、誠にありがとうございました。
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