~狩人殺し 決着~
「うぉぉぉぉぉ!!」
俺は叫びながら《狩人殺し》に突っ込んでいく。
「ヴァァ!!」
《狩人殺し》は猫パンチを繰り出してくる。
「・・・っ!!」
俺はそれをジャンプしてかわす。かわされた猫パンチは木にヒットし、ドドォーン!という音と共に木が倒れる。威力が凄まじい。
「うらぁ!!」
俺はバットを《狩人殺し》目がけ、渾身の力で上から下へと振り下ろす。
ドコッッッ!!!
「グォォッ!!」
「入ったぁぁぁ!!」
俺の一撃は《狩人殺し》に見事に当たり、確実にダメージを与える。たまらず《狩人殺し》は苦痛のうめき声をあげる。嬉しさのあまりに思わず叫ぶ俺。
(いける!いけるぞ!勝機が見えた!)
そう、《狩人殺し》の死角は側面でも背後でもなかった。上だったのだ。
タタッ
俺はもう一度《狩人殺し》目がけて走り出す。
「ヴヴヴッ!!」
来た!猫パンチ!
猫パンチをまたもやジャンプでかわし、《狩人殺し》の頭上をとる。
「くたばれやぁぁぁ!!!」
俺はもう一度渾身の力を込めてバットを振り下ろす。
ドコォッ!!ドサッ
渾身の一撃が決まり、《狩人殺し》は遂に倒れた。後で聞いた話だが、元より《狩人殺し》は攻撃特化でHPが少なかったらしい。なのでそこまで多くの攻撃をしなくても倒せたのだ。
「やった・・・倒したのか・・・?」
またも濃い戦いだった。戦っていた時間は30分もいっていないだろうが、体感時間では2時間くらいは経っていたように感じる。
「やぁ、お疲れだったねぇ~。」
レモンがのんびりとそんなことを言いながらどこからともなく現れた。
「いや、マジで疲れたわ。しかも軍人みたいなプレイヤーが目の前で死んじまったし・・・」
あのプレイヤーが死んだのには少しも後悔がない訳では無い。あの時、俺が一緒にいればあのプレイヤーは死ななかったのではないか・・・などと考えてしまうのだ。
「青っちがいたっていなくたって多分あの人は死んでたよ。あの人は油断し過ぎていたからね。」
レモンが俺の心を読んだように慰めの言葉をかけてくれる。
「そうかな・・・?・・・ん?」
なぜレモンがその事を知っているのだろう?あの時レモンはいなかったではないか。まさか・・・
「おい、お前どっかで俺達のこと見てたのか?」
「そうだよ。気づかなかった?」
全然気づかなかった。
「まぁとにかく、おめでとう!合格だよ!」
「!?」
なんか急に合格とか言われても!?
「今から改めて君は[エネミーカラフル]の一員だ。[青]担当としてよろしくね。」
「え、あの、えーっと・・・どゆこと?」
意味がわからない。一体どういうこと?
「さっきまでのはテストだよ。で、君はそれに合格した。よって君は改めて正式なメンバーだ。よろしくね青っち。」
まてまてまて、じゃあ今までのはレベルアップのためじゃなくて、俺の強さを見るためにやってたってのか?うわーマジかー・・・。
「でも、レベルも結構上がったでしょ?《狩人殺し》を倒したし、多分30はいってると思うよ。」
え、やった。ちょっと確認しよう。
Lv.30 HP:3000/3000 状態:健康
「おおお!!《狩人殺し》ってすげぇ経験値あったんだな!一気に10レベも上がったぜ!」
やべぇぞ!めっちゃ興奮するわ!!
「そうだねー、《狩人殺し》は結構初心者の中では苦戦する相手だからねー、ボク達くらいになればすっごい弱いんだけどね。」
さりげなく自慢してきやがった。
「さて、じゃあ青っち、一旦アジトに帰ろうか。」
毎度の事ながら、読んで下さり本当にありがとうございます。
読んでくださることがここまで嬉しいことだとは思いませんでした。新発見です。
これからもよろしくお願いします。