~狩人殺し 激闘~
タタタタタタタ・・・
俺は《狩人殺し》目がけて走る。
「ヴヴヴ・・・ヴバゥ!」
黒猫もどきは唸り、犬のような前足で素早い「お手」みたいな攻撃をしてくる。
「・・・っ!!」
当たる寸前に身をひねってかわし、そのまま黒猫もどきの側面に回る。レベルが上がり、身体能力が上がったからこそできる、現実では絶対にできない芸当だ。
レベルが上がると身体能力が上がるのは最近知ったことのひとつだ。道理でレモンが走るのあんなに速かったわけだ。
「うりゃっ!!」
黒猫もどきの側面にきた瞬間、走りながらバットを振る。
ゴン!
走りながらだったからかイマイチ手応えがない。
「ヴヴヴ・・・ヴヴァァァ!!!」
ボォォォォ
火を吐いてきやがった。
「!?」
火を吐くのは完全に予想外だ。
俺は回避がやや遅れ、少しダメージを食らってしまう。
(なんだよ!火を吐くとか聞いてねぇんだけど!)
HPはまだ大丈夫だろうかと少し心配になる。
(こういう系のゲームで大体火属性とかの攻撃を食らうと・・・)
Lv.20 HP:1878/2000 状態:火傷"軽"(毎秒微ダメージ)
やっぱり!!!
俺は心の中で叫ぶ。
なんでこういうゲームには火の攻撃食らうと「火傷」ってなるんだよ!ちくしょう!ポーション持ってねぇよ!
このゲームはリアルな所も多々あり、火傷も自然に完治するのは現実と同じく時間がかかる。
(だが、"軽"なら大丈夫か?)
そう、状態異常にも程度はあるのだ。
極軽、軽、中、重、極重、回復不可の6つがある。
回復不可以外なら回復はできるが、自然回復なら時間が、ポーションやマジックアイテムによる回復ならば量や質が、といったように程度によって変わってくるのだ。
そして火傷"軽"ならばそこまで時間のかかるものではないのだ。長くても一時間もあれば完全に回復できる。
(ポーションは持っていないし、近くに水場もないから患部を冷やすことも出来ない。とりあえず火傷は放置だ!)
そう決めて俺は攻撃を続ける。
(走りながらの攻撃は難しい、やはり止まって攻撃したいが、そうするとスキが出来てしまう・・・)
なかなか思うようにいかない世の中である。
「ヴヴヴ・・・」
唸る《狩人殺し》。側面をとられるのを警戒しているのか自分から攻撃しようとはしない。
なら、こっちからいってやる!!
「てりゃぁぁぁぁ!」
俺は勢い良く走り出し、渾身の力を込めてバットを振る。
「・・・ッッ!!」
(今だ!!)
俺はバットを《狩人殺し》に当てる寸前にどうにか止め、上を見上げる。
(やっぱりジャンプだったな!!)
やはり《狩人殺し》はジャンプ力がすごい。かなり上の方まで跳んでいる。走り高跳びの世界記録をはるかに超えているだろう。
俺はバットを構え、落ちてくる《狩人殺し》を待ち構える。
(いくら何でも空中で自由な行動はできないだろ!)
「ヴヴヴ・・・ヴバァァァ!!」
ボォォォォォォォォ!!
《狩人殺し》は空中で火を吐いてくる。しかもさっきよりも火の威力が強そうだ。
(くそっ!これは食らったらまずい!)
とっさにかわし、その場を離れる。
ドォォォッッッ!!
火が地面を焼く。そして周りにある木々をも焼く。一気に一面大火事になった。
(こいつどうやって倒せばいいんだ!?あの火さえなければ!!)
《狩人殺し》の三日月型の口が俺を嘲笑っているような気がした。
読んでくださった方は本当にありがとうございます。
こんな駄目な駄作ですが、よろしくお願いします。