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リアル・オア・バーチャル  作者: ネガティブ
13/32

~狩人殺し 戦闘開始~

「油断はするなよ。」

 俺はそう軍人プレイヤーに忠告する。

「分かってるよ。こいつの一撃で俺は死ぬかもしれないんだ。油断なんて出来るかよ。」

 軍人プレイヤーもそう答える。

 俺たちの警戒をよそに狸は全くの無警戒。

 しばしの間お互いの睨み合いが続く。

「俺が仕掛ける。俺が弾を撃ち終わったら合図をする。追撃は任せたぞ。」

 軍人プレイヤーがしびれを切らして、そう言った。

「お、おう。分かった。」

 俺も頷く。俺ももう攻撃したいと思っていたところだった。

 軍人プレイヤーは油断なく少しずつ距離をつめる。軍人プレイヤーが持っている銃はショットガンだ。近距離で発砲すれば外れることはまずない。

 少しずつ少しずつ近づき、狸が射程範囲に入った。

「死ねぇ!」

 バガン!バガン!

 軍人プレイヤーはショットガンを二発発砲する。

「!!!」

 狸は弾丸をまともに食らい苦しみで呻いている。

(・・・?こんなに弱いのか?)

 軍人プレイヤーはさらに発砲し続ける。

(これなら倒せるかもしれない!)

 俺は追撃のため狸の死角に回ろうとその場を離れ、背後に回るために移動する。そして見つからないように草むらに全身を隠す。

(あとは合図が出たら背後からバットで一撃を食らわして倒す!いける!いけるぞ!)

 そう思っていた瞬間、ポンッと音がした。次の瞬間、

 ドッ!ドサッ

 鈍い音がし、続いて何かが落ちるような音がする。

「おい、大丈夫か?」

 思わず顔を出して確認してしまう。

 そこには今まさに灰になっている軍人プレイヤーがいた。

「っ!?おい!嘘だろ!?」

「少し油断しちまった・・・近づきすぎた・・・くそっ!死にたくねぇよぉ・・・」

 そう言って軍人プレイヤーは消えた。

(まずい、まずい、まずい!!どうする!?いやまずあいつはどこにいる!?近くにいるのか!?)

 慌てて周りを見回すが近くにそれらしき姿はない。

(よし。ひとまず大丈夫そうだ。)

 すぐに立ち上がり歩き出す。先程いた場所に戻ってみようと考えたのだ。

「いた・・・のか?」

 先程の狸のいた場所に戻ってくると、そこには狸とは違う何かがいた。大きさこそそこまで違わないにしても、見た目がどう見ても狸ではない。

 まず黒く丸い顔に丸く白い目が二個ついており、鼻のような部位はとても小さく見える。口は三日月型に笑った様な形で、歯は肉食動物のような牙が生えている。耳は猫耳が近いが、胴体や尻尾は犬のような印象がある。完全にモデルが現実にはおらず、オリジナルで作られたモンスターだろう。

「本当にこいつなのか?」

 しかしどうにも信じ難い。こいつが《狩人殺し》なのか?もしかしたらこの森の強い部類のモンスターじゃないのか?

「クゥーン・・・」

 鳴き声は犬みたいである。しかも結構かわいい系の。

(本当にこいつが一撃であの軍人プレイヤーを殺したのか?こんなにちっちゃいやつが?)

 あの軍人プレイヤーは防弾チョッキみたいな防具を着けてたし、頭にはヘルメットも着けていた。防具的には俺よりもよっぽど上だった。

(一応攻撃するか?敵だったらレベルが上がるかもしれないし。)

 そう思いながら近づいていく。と、

「ヴヴヴ・・・」

 めっちゃ警戒され始める。敵対モードだ。

「やっぱお前敵か。なら倒してやる!やぁっ!」

 先手必勝!とばかりに素早く動き、バットを振る。

「・・・ッ!!!」

 ブンッ!

「!?」

 俺の振ったバットは黒猫もどきには当たらず空を切る。

(どうなったんだ!?)

 周囲を見回し、黒猫もどきを探す。

(どこだ?どこにいった?)

 ヒュン・・・カサッ

「!!」

 黒猫もどきは目の前に落ちて、いや降りてきた。

(まさかこいつジャンプして俺が振ったをバットをかわしたのか!?)

 もしそうなら恐るべき身体能力。俺が周囲を確認してた時はいなかった。つまり、十数秒は空中にいたことになる。

(こいつだ。こいつが《狩人殺し》だ。ここの森のボスだ。)

 この異常が多い森で一際異常な生物。それがこいつだ。今までの経験からしてこいつこそ《狩人殺し》に違いない。

「こっからは俺も本気だぞ。覚悟しやがれ!」

 あえて大声で叫ぶ。そうでもしないとビビってしまう。ただでさえその辺にいたモンスターにも勝てなかったのに、ここのボスにだけ勝てるという根拠はあるだろうか。いや、ない。

(正面からは恐らく無理だ。側面か背後のどっちかだが、そう簡単に背後を取らせてくれるか?いや、やってみないことには分からない!案外簡単に行けるかもしれない!)

 さっきの正面からの不意打ち攻撃がかわされた以上は、正面からの攻撃は当たらない。すると、側面か背後からの攻撃を選択するのは当然とも言える。

(さぁ、いくぞ!)

 俺は覚悟を決めて、走り出す。

ありがとうございました。本当にありがとう。

これを読んでくださっている方は心優しきいい人だと思います。本当にありがとうございます。

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