~狩人殺し 再遭遇~
俺は狸のモンスターを探して森の中をただひたすらに走る。
(どこにいる?出てこい!出てこい!)
ガサガサガサガサ
「!?」
突然前方から草がこすれる音がした。
「先手必勝!うりゃぁぁ!」
ガン!
「っ!?硬っ!」
とてつもない硬さだ。ダイヤモンドでもあったのか?
そこにいたのはヘビだった。だが、こんなところにいるのだ、当然ただのヘビではない。全身銀色のいかにも硬そうなヘビである。
「なんだこのヘビ。めっちゃ硬い。おりゃっ!」
もう一度バットを振り下ろす。
ガンッ!
またもやバットは弾かれる。硬すぎる。
「シャーーー!!」
ヘビがキレた。
「うおっ!」
俺はとっさに足を引く。その瞬間俺の足があった場所をヘビが噛み付く。
「うらっ!」
俺はヘビの頭を横に吹き飛ばす様にバットを振る。ヘビの頭が下の方にあるので見た目がゴルフをやってる人みたいになってしまう。
カーーーン!!!
めっちゃいい音がする。
「はっ!どっかに飛んでいけ!」
勝ち誇ったようにそう叫んでいると、
「シャー!」
まだいた。
(嘘だろ!?本気で振ったのに!どんだけ重いんだよ!)
硬くて重い=これは勝てない。俺はそう判断すると再び戦略的撤退を遂行する。
「はぁっはあっ・・・」
なんとかヘビから逃げ切った俺は少し休憩をする。
「ここの森のモンスターは強すぎるんじゃないか?これボスに勝てるのか?無理じゃないか?」
そう独り言を呟く。
ガサガサガサガサ
「またか!?」
いつにも増して敵と遭遇するのが多い。まったく、休憩ぐらいさせて欲しい。
(クマ、ヘビと来て次は何が来るんだ?)
ガサッ
人だ。人間だ。
「お前、プレイヤーか!?」
とっさに俺はそう質問する。
「ああ、そうだ。お前もプレイヤーか。こんな森まで何しに来たんだ?」
軍人みたいな装備をしているプレイヤーも質問する。
「俺は《狩人殺し》を倒しに来た。お前は?」
「俺もそうだ。どこにいるか知ってるか?」
「いや、知らない。そっちは?」
「俺も知らないな。」
まさか目的が同じ人がいるとは。
「どうだ?一緒に倒さないか?」
軍人プレイヤーはそう提案してくる。
「いいぜ。一緒に倒そう。」
俺は賛成する。この軍人プレイヤーの武器は見たところ銃だ。レモン達は反対していたがやはり銃はかっこいい。
「さて、どこをどう探すか・・・」
「適当に歩いていればその内会えるんじゃないか?」
「だといいがな。時にお前は《狩人殺し》がどんな姿なのか知っているか?俺は出会ったことがないから分からないんだ。」
「ああ、狸の姿だったよ。んで、放っておこうとしたら背後から一撃を食らった。」
「なるほど。よく攻撃食らって生きてたなお前。まさかレベル結構高いのか?」
「いや、まあ、ギリギリ生きてたって感じだけどね。全身骨折にもなっちゃったし。」
そんな会話をしていると、
ガサッガサッ
狸が出てきた。
「いた!」「こいつか!」
軍人プレイヤーは銃を、俺はバットを構える。
決して油断はしない。もう痛い目は見ない。失敗は一度で十分だ。ここで死にたくはない。今度こそ殺してやる。
遂に俺は《狩人殺し》と再会した。
ここまで読んで下さった方は神でしょうか。
感謝致します。本当にありがとうございます!